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「無印もはやカレー専門店」45種展開に400万食売上… 無印良品はなぜレトルトカレーに注力するのか?

レトルトカレー市場が遂にカレールウ市場超え さらに今年は初の超増産体制

 無印良品のカレー需要の高まりは、時代が追い風ともなっている。7月の日本食糧新聞によれば、レトルトカレーの市場規模が17年度にカレールウを逆転。さらに、19年度の家庭用レトルトカレー市場は前年比4.8%増と好調な伸び方をしている。新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要で、今後も伸長が予測されるとある。

「ステイホーム期間中は、弊社のレトルトカレーも想像以上に売上を伸ばしました。自粛解除後も、テレワークを続けられている会社が多いせいか、順調に推移しています。短い昼休みでも自宅で簡単に作れるレトルトカレーは利用しやすいのかもしれません。長らくカレーを担当していますが、売り切れ続出で生産が追いつかない現象は初めてで、かなりの増産体制で対応している状況です」
 レトルトカレーのヒットで、無印良品の購買層自体も広がった。かねてから人気がある菓子やスキンケアなどは女性客が多い傾向にあるが、カレーの登場で男性客層を多く取り込めたというのだ。また、「化学調味料を使わず素材の 良さを」という 考え方は、衣料品や文房具などにも通じる指標であり、世界のトレンドとも合致。同店のレトルトカレーは従来の他社商品と異なり、外箱がない。無印良品といえばシンプルなパッケージで統一されている印象があるが、単に“白”、“無地”というだけでなく、各部門が “無印良品 らしさ”を突き詰めた商品開発をしているのだ。

「必ずしもプラスすることが良いことではなくて、“削ぎ落とされたものの良さ”は共通して意識しているところではあります。食品で言えば化学調味料を使わずにどれだけ奥深い味わいを出せるか、衣料品で言えばオーガニックコットンなどの天然素材の良さを活かしながらどれだけ着心地を追求できるか、インテリアで言えば和室でも洋室でもどれだけ馴染めるデザインであるか…など、お客様それぞれの生活にフィットする“余白を残す”ということも大切にしています」

 同社の海外店舗数は、いまや国内479店を上回る550店を誇る。店舗や商品ラインナップを広げれば広げるほど、統一されたブランディングを維持することのハードルも上がっていきそうなものだが、唯一無二のブランドとして世界的に認知されていることを考えれば、その一致したトーン・遺伝子を組んでいるレトルトカレーの今の躍進もうなずける。余計なものを“削ぎ落とした”結果、売上も人気も購買層も消費者の生活も、さまざまなものが逆に“豊かに”なっていくのだ。


(文=衣輪晋一)

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