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50周年の『遠くへ行きたい』、裏側にあるテレビマンの矜持「人々の暮らしがある限り旅は終わらない」

4日放送の50周年SP前編では、VTRを見ながら50年間を振り返り(C)読売テレビ

4日放送の50周年SP前編では、VTRを見ながら50年間を振り返り(C)読売テレビ

50年続くテーマソング、「変わるとしたら、番組が終わる時」

 同番組と言えば、永六輔さんが作詞したテーマソング「遠くへ行きたい」も印象的だ。50年もの間テーマソングを変えない理由は、「そもそも番組タイトル自体がこの曲からの引用。変わるとしたら、番組が終わる時でしょうね。ただ、歌い手さんを変えることで、時代の写し鏡となっているのかなと思います」。デューク・エイセスに始まり、小林旭、さだまさし、元ちとせ、一青窈ら多くの歌手が同テーマソングを担当してきた。

 これまでに多くのタレントや著名人が旅人として出演してきたが、「旅で出会う様々な物事に興味を持ち、面白がってくれる人」が、オファーする基準だそうだ。「2500回も続いていると出演者や旅先にも困るのでは?と思われますが、年代や性別、その人の経験、また訪れる季節によって、同じ風景を見ても見方や感じ方は千差万別。これまで、一度も困ったことはありません」

 このように、50年変わらないこだわりを持ちながらも、一方で時代の変遷とともに変化していくこともあるという。

 「昨今では、視聴者のテレビの見方が変わり、じっくり話を聞くというよりもテロップで“見せる”形が主流。情報量とテンポの早さが重視される時代です。この番組では、そういった流れに対応しつつも、聞いてもらいたい話はじっくり聞かせる。緩急をつけることで、旅の情感が損なわれないよう気遣っています」

人々の歴史であり、テレビの歴史でもある

11日放送の後編では、「上野東照宮」への旅も

11日放送の後編では、「上野東照宮」への旅も

 国鉄からJRに変わり分社化された時は、よりバランスよく全国を回るように旅先の決め方も変わった。また、ジョイフルトレインと呼ばれる旅を楽しむ車両が登場したことで、その魅力を伝える撮り方を意識するようにもなった。コロナ禍で鉄道の旅にも影響が出ている現在も、「旅先に迷惑をかけない」というモットーのもと、可能な範囲での旅を続けている。『遠くへ行きたい』は、日本の鉄道とともに歩んできた番組とも言えるだろう。

 そんな同番組は、50周年を迎える10月4日と11日にはSP番組が放送される。おなじみの旅人・竹下景子、春風亭昇太、鈴木ちなみの3人が2500回を超える旅から選りすぐり&貴重な映像を振り返る。当時の風景はもちろん、今とは異なるファッションなどにも注目だ。

 「日本に人々の暮らしがある限り旅は終わらない。日本にはまだ知らないことがたくさんあります。予定調和ではなく、そこで見つけたものを見せる『遠くへ行きたい』に今後もご期待ください」と村田さん。50年間“日本を見てきた”と言っても過言ではない同番組。全国津々浦々の人々の歴史、テレビの歴史ともいえるこの宝が、いつまでも続くことを祈りたい。

(文/衣輪晋一)

『遠くへ行きたい』50周年スペシャル

<前編>
10月4日(日)日本テレビ 午前6:30〜/読売テレビ 午前7:00〜
<後編>
10月11日(日)日本テレビ 午前6:30〜/読売テレビ 午前7:00〜

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