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子ども人気は『鬼滅の刃』並み?4年目もヒット『ざんねんないきもの事典』、共感呼ぶ”ざんねん”な生き様
25万人の小学生の投票で1位に 当初はタイトルの『ざんねん』に反論の声も
――改めて、「ざんねんないきもの事典」シリーズの企画のきっかけを教えてください。
これまでの図鑑は、生き物がいかにすごい能力をもち、工夫を凝らして生きているか、その“すごさ”にスポットが当てられることがほとんどでした。弊社でもそのような図鑑を出していたのですが、それらの情報を調べていくなかで、そんな“すごい生き物”のなかにも「どうしてこうなった!?」と、思わず突っ込みたくなるような一面があることに気付きました。そして、この突っ込みどころは、生き物好きの子どもにとって、たまらなくおもしろいのではないかと考えたのがきっかけです。
出版当初から好調な売れ行きではありましたが、じわじわと広がっていったようには思います。実際に本を見た書店員さんがおもしろいと思ってくれて店頭での展開が広がり、たくさんの人の目にとまるようになり、そして本を読んでくれた人がそれを友達に紹介する……という、良い輪ができていきました。そのような売れ方をしてくれたので、第1弾の発刊から時間が経った今でも、どんどん読者が広がっていってくれているのだと思います。
――その後アニメ化もされ、「ざんねんないきもの」が、言葉通り“ざんねん”ではなく、各所で良い意味で捉えられているように感じます。
もともと「ざんねん」というのは、我々としては決して否定的な意味ではなく、生き物への愛情や尊敬の気持ちをもって付けています。「ざんねん」と付けるまでには、社内でも賛否両論、むしろ否定の方が多くありました。しかし、「頑張っているんだけど、なんだかちょっとざんねん」「そんなざんねんな部分があるからこそ、愛おしい」そんな生き物達の姿を本書では紹介したいと考えています。それは読者の方々にも伝わり、「生き物のことがますます好きになりました」という声もたくさん届いています。
生き物好きの子どもだけでなく親子3代で楽しめるテーマ性と情報の正確性
まずは、「生き物というテーマ自体の魅力」。年齢・性別問わず、みんな生き物が大好きなのだということを感じます。そして、生き物にはまだまだ私たちの知らないことがたくさんあり、5冊出た今でも新しい情報を紹介できるという、奥深さもあると思います。その中でも、本書は、ただ文章を読むだけでなく、そこで得た知識を動物園や水族館で確認したり、親や友達に自慢したり、クイズを出し合って遊んだりと、さまざまな楽しみ方ができること。そして、子どもだけでなく、お父さん・お母さん、おじいちゃん・おばあちゃんまで3世代に渡って楽しめるところも、今までの児童書と違う点だと感じます。
チーム総出で、さまざまな手段で探しています。監修の今泉先生にお話を聞くのはもちろん、さまざまな文献をあたり、おもしろそうな記事があればそれを深めて追っていきます。動物園や水族館に足を運ぶこともあります。間違った情報が混ざっていることも多いので、真偽の確認は慎重に行っています。
――動物だけでなく、植物なども掲載されてますよね。
生き物のことをもっと知ってほしいという思いから、第2弾では「恐竜」、第3弾では「植物」、第5弾では「野菜」や「細菌」と扱う種を増やしてきました。小学生がメイン読者なので、動物園などにいるメジャーな生き物がたくさん入るようにはしていますが、その一方で、日本にはいない生き物や珍しい生き物なども紹介するようにしています。例えば「サバンナモンキー」や「ニュウドウカジカ」などは、そんなに有名な生き物ではありませんが、本書で取り上げたところ大好評でした。
――制作担当者様のお気に入りの“ざんねんないきもの”を教えてください。
「ざんねんないきもの」の常連は「リス」です。第1弾では「シマリスのしっぽはかんたんに切れるが、再生はしない」、第2弾は「リスはドングリをうめた場所をすぐに忘れる」、第3弾は「リスはほお袋で食べ物がくさって病気になる」というように、同じ生き物でもたくさんのざんねんをもっているのです。個人的に好きなのは、第4弾で紹介した「クアッカワラビーは神対応すぎて心を病みがち」です。私も本書の制作で初めてこの生き物のことを知ったのですが、画像を検索したところ、本当にかわいくて、思わずパソコンのデスクトップ画像にしてしまいました(笑)。クアッカワラビーに会いに行くのが個人的な夢です。
――特に反響の大きかった“ざんねんないきもの”を教えてください。
読者の方にアンケートを取っているのですが、それぞれの巻での一番人気は以下の通りです。
第1弾では「ワニが口を開く力はおじいちゃんの握力に負ける」
第2弾では「ラッコはお気に入りの石をなくすと、ごはんが食べられなくなる」
第3弾では「リスはほお袋で食べ物がくさって病気になる」
第4弾では「カラスは頭がいいのに、やることはバカ」
第5弾では「トラはぬいぐるみが落ちているだけで道を変える」
これはネパールで本当にあった話だそうで、強くてかっこいいトラのイメージとのギャップに驚く読者がたくさんいるようです。