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【SMAP連載20】後輩たちへ、ファンへ 受け継がれるSMAPが蒔いた種

後輩もファンも“SMAPチルドレン”、朝日新聞広告にも一つの“花”が

 SMAPは、アイドルの活躍の場を歌番組やコンサートやドラマや舞台以外に、バラエティーに情報番組にと、テレビでの活躍の場を広げ、それまでティーン中心だったファン層を“オトナ女子”や“男市場”にまで開拓。コンサートやCDセールスで次々に新たな記録を打ち立て、災害があれば真っ先に行動し、後輩たちのことも積極的に引き立て、スターになってもなおたくさんの挫折を経験しながら、力を合わせて立ちはだかる壁を乗り越えてきた。そんな彼らに憧れ、背中を見て育った後輩は、明らかにSMAPの魂を受け継ぐ“SMAPチルドレン”なのだろう。以前このコラムで、“自分たちにできることを”と行動するファンもまた“SMAPチルドレン”だと書いたことがある。そして30日、朝日新聞に載った“SMAP応援プロジェクト”の広告に、SMAPスピリッツというかSMAPが咲かせた愛の花を見た気がした。そこに自分の名を連ねられなかったことを、激しく後悔した。

 花は、やがて実を結び、実の中には種が宿る。それが地中に蒔かれて芽を出し、いつかまた花を咲かせる。ファンのやっていることは自己満足とか慰めに過ぎないと、揶揄する人もまだまだ多い。もう彼らを解放してやれ、そっとしておいてやれよ、とそんな声も聞こえる。でも、例えばあの新聞広告で、ファンは“解散しないで”と嘆願しているわけでもないし、“戻ってきて”と強要しているわけでもない。SMAPが教えてくれた助け合いの精神を、「これからも私たちが受け継ぎます」と宣言しているだけだ。解散という事実は事実として受け止めながら、でもSMAPという花が一旦散った後に実った果実があって、その中に宿る愛の種は、後輩や、ファンの心にもう蒔かれてしまった。だから、その種が育って花を咲かせ実を結ぶ営みを、これからも決して絶やしたりはしないと、目に見える形で誓いを立てただけだ。

“SMAPのいない2017年”ではなく、種を抱き花を咲かせる時

 それにしても、つくづくSMAPは常に何かと戦っているグループだと思う。初期の頃、SMAPは瞬時に一斉を風靡した光GENJIという巨大な壁と比べられながら、アイドルという偏見と戦ってきた。人気者になってからも、メンバーが脱退したり、不祥事を起こしたり、アイドルのタブーを破ったり。“国民的”という看板を背負い、常に結果を出さなければならないプレッシャーもあっただろう。でも、彼らがずっと戦ってきたからこそ、私たちはいろんな“特別な景色”を見せてもらえた。ベストアルバム『SMAP 25 YEARS』も、騒動があったからこそSMAPの“人類愛”が炸裂した選曲になり、結果、奇跡のように美しいアルバムに仕上がっている。映像集『Clip! Smap!』にしても、“こんな映像が残っていたなんて!”というサプライズが満載で、現時点でファンには“スマロス”に陥っている暇などないと感じられるほど、SMAPの音楽と映像が周りには溢れている。この連載にしても、文章を書いてこんなに大勢の人から反響をいただいたのはライター生活でも初めてのことだ。読者との出会いもまた、SMAPがくれた種が咲かせてくれた花。そして何よりあの新聞広告は、本当に美しい大輪の花だ。不条理を乗り越えようとしてファンが咲かせた心の花である。それを見たとき、私はあまりの美しさに涙しそうになった。きっとSMAPは、ファンにとっても後輩にとっても、彼らに仕事で関わった人たちにとっても、永遠の“花咲か兄さん”なのだろう。

 後輩たちはSMAPの見せてくれた背中をずっとずっと追いかけ、ファンはSMAPがくれた愛の種を胸に生きる。形式上は解散しても、新曲を心待ちにできなくても、5人でのコンサートの予定がなくても、菊池風磨の言った通りSMAPは永遠にSMAPのまま。堂本剛と同様に、これからもずっと彼ら5人を愛し、生きていくだけなのである。
(文/菊地陽子)

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