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臨床心理士・松島雅美インタビュー『“目×ココロ” 話題のメンタルビジョンとは?』
目の働きをトレーニングしておけば、“視野の狭さ”が改善される
松島雅美例えば、自分が人より劣っていると感じている子どもがいたら、その親も同様に感じている人も多い。これが苦手なのはなぜか? どうすればその苦手意識を改善できるのか? を考えて、一緒に解消していくことが私の仕事なんです。
――どのように導くかが大事なんですね。
松島雅美その通りです。苦手なことが生じた場合、そこで止まってしまったら一生そのことを引きずる可能性だってある。そうならないためにも、出来るための別の行程を提示してあげることが重要になってきます。そうすることで、大人になったときに困難にぶち当たっても何か方法があるかもしれないという思考も持てるようになりますしね。大人でも落ち着きがなかったり、企画書の内容が頭に入ってこなかったりということをよく耳にしますよね。
――それこそ同著で書かれていた“視野が狭さ”がもたらす様々な弊害ですね。
松島雅美そうなんです。そういった意味でも子どものころから目の働きをしっかりとトレーニングしておけば、おのずと“視野の狭さ”を改善できるんです。
――確かに極度の緊張下に置かれた時って、周りが見えなくなったりしますもんね。だから、メンタルと目の働きって密接なんだなって改めて感じます。
松島雅美眼の機能が発達している子どもの頃からメンタルビジョントレーニングを行えば、大人になった際の社会生活でもきっと活かせると思ったんです。なので、そのトレーニング方法も、堅苦しいものではなく、“遊びの一環”として組み込めることが重要でした。スクールカウンセリングで実際にメンタルビジョントレーニングを行うと、45分くらいやってもみんなすごく集中してやってくれてますね。もちろん、子どもだけでなく、身体やメンタル機能を総合的に上げたいアスリートや眼の機能が衰え始めるシニアの方にも効果的です。
臨床心理って敷居が高いイメージがあるけど、もっと身近に感じてほしい
松島雅美そういう誤解を解きたいという想いもあってこのプログラムを作りました。私は、感情は気持ちの持ちようだけでは変えられない、課題を明確にして対処方法を見つけ行動に移さないとメンタルコントロールにはならないと思っているんです。心理学は研究学問なので本来科学的なものなので、身体のケアと同様に気軽にわかりやすく心のケアも受けてもらえるようになるといいなと思っています。
――心理学の専門家って、テレビなどで観るような心理学を駆使したマジックや、ドラマのキャラクターをみると、その発するコメントで心をコントロール出来る人みたいな印象を受けるんでうすけど、違うんですね。マッドサイエンティスト的な(笑)
松島雅美心理学を用いた演出ではありますよね。もちろん、そういった側面もないことはないですけど、心理学そのものは他者をコントロールすることが目的ではなく、自分や他者を「理解するため」の様々な研究結果を根拠とした科学的なものなんです。まだまだ臨床心理って堅苦しさと、敷居が高いイメージがあるので、もっと身近に活用してもらいたいですね。
――今回先生が出した本が凄く健全に見えたのはそういった要因があったんですね。心と体が直接リンクしているトレーニングなのでわかりやすい。
松島雅美そこはすごく意識した部分ですね。あきらめていたことでも、別の方法で出来るという“視点”を増やしたい。これは子どもたちだけではなく、40代50代の方にとっても、反応が遅くなったり視野が狭くなったことで「年をとってしまったから……」と諦めてしまっている方にこそ実施してほしいんです。今後は、子ども、アスリート、ビジネスマン、シニア、様々な場面でアタマとココロが元気でいるためのメンタルビジョントレーニングの考え方を普及していくことが私自身の使命だと考えています。
『1日5分でアタマとココロがすっきりする眼球体操』セブン&アイ出版
臨床心理士。京都女子大学大学院修了。阪神淡路大震災時に被災者のPTSD・依存症ケアなどに携わる。その時期に、眼球運動を用いる心理療法EMDRのトレーニングを受け、15年にわたりトラウマケアを行う。また医療・教育・福祉・一般企業など延べ20000人のカウンセリング経験で感じ続けてきた、心理学を科学的に活用してもらいたいという想いから、眼のトレーニング×メンタル機能向上のプログラムを作成。メンタルビジョントレーニングは、学習不振、ボディバランスの問題、発達の問題を抱える子どもたちからパフォーマンスアップを目指すプロスポーツ選手まで幅広く実践。