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視聴者・制作者も“ダーク”な魅力を容認 蛭子能収が重宝されるワケ

 映画『任侠野郎』(6月4日公開/徳永清孝監督)で、まさかの主演、ヤクザの元若頭役を務めるマンガ家でタレントの蛭子能収。『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京系)におけるユルすぎかつズボラすぎる言動もすっかり定着する一方で、ネットでは暴言などをまとめた“蛭子黒伝説”も大人気。各バラエティ番組でも“腹黒”や“ダークサイド”を前面に押し出した“黒キャラ”が公認された感もある。今回の主役抜擢も含めて、今まさに“全盛期”とも言える蛭子能収の“ダーク”な魅力を探ってみた。

ベテランながら主演映画でも責任感なし、演技での素人っぽさが武器

  • 蛭子能収

    蛭子能収

 映画『任侠野郎』は蛭子が主演だけに、とんでもないカルト映画かおふざけ映画と思う人も多いだろうが、半分は当たっている。脚本を担当する福田雄一氏は蛭子の起用について、「10分でできたいい加減な企画。ものすごくベタな流れの中で、ひとつだけ大きな間違いがあるって話が好きで。今回“ヤクザ映画の主役を一番やっちゃいけない人って誰だろう?”となった時、それが蛭子さんだった」と発言し、そもそもスタートからシュールかつラジカルであることを明かしている。一方の蛭子も、「毎日撮影があって、出番が多いなと思いました。仕方なく一生懸命演じました」と相変わらずノンキなコメントを放ち、共演する中尾明慶からも「共演シーンの撮影前に『ゴメン、俺の役名なんだっけな?』って言ってて」と暴露された。誰もが「あなた、主役ですから!」とツッコミを入れたくなるのも当然だろう。

 「(脚本の)福田さんと言えば、もともと『笑っていいとも!』(フジテレビ系)や『SMAP×SMAP』(同系)など、人気バラエティ番組の放送作家として活躍してきた人。劇団の座長として、構成から演出まで手がけた実績もあります。最近では『33分探偵』(フジテレビ系)や『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)の演出・脚本、映画『HK 変態仮面』などの監督を務めて、コメディタッチの作品では抜群の才能をもった“奇才”とも呼ばれてます。山田孝之さんや柳楽優弥さんといった若手俳優からの信頼も厚いし、“福田組”の常連、ムロツヨシさんや佐藤二朗さんをブレイクさせたのも福田さんですから」(ドラマ制作会社スタッフ)

 実は蛭子にしても、1987年の『教師びんびん物語』(フジテレビ系)で俳優デビューした“ベテラン俳優”であり、今まで100本以上のドラマ・映画に出演してきている。特に『おばさんデカ 桜乙女の事件帖』シリーズ(同系)で主演・市原悦子の夫役がハマリ役として有名だ。いかにも“のほほん”としていて、セリフも棒読みなのだが、一周回ってそれが“朴訥としたいい味”とまで言われているのだから、何とも不思議である。

 そして今回の『任侠野郎』では、蛭子は高倉健ばりの元ヤクザの若頭役を“大真面目”に演じているのだ。「決して演技がお上手とは言えませんが、俳優・蛭子さんにしか出せない素人っぽい“リアリティ”があるのは間違いないんです。セリフの棒読みや、普通すぎて逆に浮いて目立ってしまう“存在感”、そうしたものをいっそう引き立たせる豪華な共演陣など、蛭子さんの役どころや映画の趣旨を思えば、今回の『任侠野郎』の蛭子さん起用はさすがと言ってもいいですね」(前出のスタッフ)

伝説の名言「二度とギャンブルはしません!賭けてもいい」

 そんな蛭子も、一見優しそうな“いい人”キャラでありながら、平気で放送禁止用語をテレビで口走ったり、知人の葬式で笑いが止まらなくなったり、実の息子を自らの漫画の中で丸焼きにしたりと、これらの出来事は今やネットなどでは常識。そうした蛭子の“ダークサイド”も最近は和らげられることもなく、テレビ界、制作側にとってもある意味“公式キャラ”として認定された感すらある。そしてそこがまた蛭子の人気となっているのだ。

 「1989年に麻雀賭博で現行犯逮捕された時は、謝罪会見の際“こんなので捕まるのが納得いかない。みんなやってるでしょ!”的なことを初めて見るような憤怒の表情で逆ギレしてました。でも逮捕されて、警察官に“二度とギャンブルはしません。賭けてもいい”と言った直後、もうギャンブルをしている。懲りないと言いますか、ボケもあるし、憎めないのが最大の魅力でしょう」(前出のスタッフ)

 言ってみれば、蛭子は芸能界で一番自分に正直に生きている人間なのかもしれない。黒エピソードも含めて、なぜか“蛭子さんだから許される”といった部分があるようだ。むしろ「蛭子さんを許して面白がれる自分って、人間が大きいかも?」といったような、視聴者の優越感をも満たす存在としてあり続ける限り、蛭子能収の“暴走”はまだまだ続いていくのであろう。

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