打倒日テレ、各局“タテ編成”強化の4月改編

 各テレビ局の4月の番組改編が発表された。この時期に各局がタイムテーブルを見直すが、今回の改編では、王者・日本テレビの日曜夜に代表される理想的な“タテ編成”を意識したものが目立っており、「打倒日テレ」と言わんばかりの編成となっている。例えば、テレビ朝日はターゲットが被る番組を曜日ごとに集約させたほか、フジテレビが平日昼間に実施する15時間生放送も、やはり番組の“タテ”の連携を意識してのものだ。

フジは“タテ”も意識し平日昼15時間生放送の大胆改編

 各テレビ局の4月期の改編が出そろった。概ね小規模な改編の留まっているなかでも、今回は、フジテレビが平日のデイタイムを毎日15時間、生放送化するのが話題のひとつだ。同局は放送開始から31年続いた『ライオンのごきげんよう』と東海テレビ制作のドラマ枠、いわゆる“昼ドラ”を打ち切り、既存『バイキング』、『直撃LIVE グッディ!』を拡大。平日のあさ4時台の『めざましテレビアクア』から『みんなのニュース』の19時までの15時間を、すべて生放送で編成することを決定した。この狙いのひとつとして、「タテの流れを意識」「各番組が連携を取り相乗効果を狙う」と明かされているが、今回の改編ではこの「タテ」というのが重要なキーワードだ。

 フジのような大胆な改編とまではいかないものの、各局の4月のタイムテーブルは「タテの流れ」にこだわって改編したものが他にもみられる。例えば金曜日。日本テレビが長年夕方に編成していた『それいけ!アンパンマン』を金曜午前に移動し、『news every.』枠を拡大したのはゴールデンにつながる「タテ」の流れを強化したいからだ。TBSが『爆報!THEフライデー』から『ぴったんこカン・カン』『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』の流れが好調であるのに対抗したものになる。当たり前のように金曜夕方に『アンパンマン』にチャンネルを合わせていた子どもやその親にとっては寝耳に水といった話だが、ドラスティックな決断が下された。

 さらにテレビ朝日は『ロンドンハーツ』を火曜21時から金曜21時に。『金曜★ロンドンハーツ』にタイトルを変更し、『世界の村で発見!こんなところに日本人』と入れ替える。テレ朝の改編発表会では「若者の視聴者が『ミュージックステーション』からそのままの流れで見てもらう狙いがある」と説明があった。テレビ東京も金曜のテコ入れとして、定着しつつあった通称“モクハチ”『木曜8時のコンサート〜名曲!にっぽんの歌〜』を金曜に移動し、4月からは“キンナナ”として『金曜7時のコンサート〜』をスタートする。理由はやはり「タテの流れ」を意識したもの。改編説明会では「60代、70代の視聴者層に根強い人気のある番組から『金曜8時のドラマ』に直結させることで視聴習慣を促していく」と説明していた。

王者・日テレの手法を模倣? フライングスタートも日テレが元祖

 成功例の象徴としてあるのが、日テレの日曜夜のタイムテーブルである。今年50周年を迎える長寿番組『笑点』はマンネリするどころか未だに平均視聴率20%近くをキープし、その後に続く19時からの『鉄腕DASH!』、20時からの『世界の果てまでイッテQ!』、21時の『行列のできる法律相談所』も途切れなく高視聴率を叩き出している。この最強の「タテの流れ」が物を言わせ、今の1位独走につながっていると言っても過言ではない。さらにタテの流れを良くするための仕掛けと言えば、57分や58分などの“フライングスタート”や“またぎ”時間に番宣を放送するというもの。これに関しても日テレが先駆者であり、他局が追随するかたちで今では定番の手法となった。

 テレ朝は「トップの日テレとの差を縮め、1位を狙う」と断言しており、土曜夕方のニュース枠『スーパーJチャンネル』を30分から90分に拡大。かつての万年4位から今や2位をキープする同局は夕方ニュースを入口にゴールデンの視聴率を上昇させた成功体験を活かすというわけだ。同局は月〜金曜に『報道ステーション』が放送されているため、“タテ”を意識するとネックになる。とはいえ、『報ステ』は高視聴率をキープしている同局を代表する看板番組。富川悠太アナウンサーのキャスター就任を機に、若者の取り込みを狙った施策も行われるかもしれない。

 「タテの流れ」が各局の改編キーワードになっているのは、こうした視聴率引き上げのための施策が目に見える結果を得やすいことも大きい。しかし、数字を追い過ぎ、マーケティング論にばかり目が行くと、容赦ない番組の打ち切りが長期的にみて痛手になることもありそうだ。

(文/長谷川朋子)

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