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ハシゴの旅、イチゲンさん…“酒飲み番組”急増の背景とは?
「新橋駅前のサラリーマン」パターンの応用編
冒頭にあげた番組なども基本は同じで、酔っている一般人とのユルいコミュニケーションが中心。実はコレ、昔からテレビでは定番の“新橋駅前で酔っぱらいサラリーマンにコメントをとる”パターンの応用編とも言え、いわゆる“素人イジリ”の系譜に入るだけに、人材=ネタの宝庫だとも言える。「朝までハシゴの旅」では、カワイイ系の女子がそうしたオジサンたちと絡んで、打ち解けたりする意外性がウリで、モデル・佐藤栞里を人気タレントにのし上げた(現在は『笑ってコラえて!』のサブMCに昇格)。『イチゲンさん』も同様だが、散歩する人間がジャニーズのアイドルというギャップが最大の特徴だし、『夜の巷〜』では、マツコ・デラックスの想像を上回る酒豪ぶり(休日に350ml缶ビールを20本飲む)などが披露されたりする。
コスト削減の内情の表れ? 飽和状態の感も
ただこの酒飲み番組、最近ではあまりに増えすぎて飽和状態の感もある。そもそもは故・地井武男さんの『ちい散歩』(テレビ朝日系、現在は高田純次の『じゅん散歩』)で火が付いた“散歩系番組”の設定を夜にしたものとも言え、制作費削減の昨今にしてみれば、スタジオ代などのコストもかからず、酒が絡むぶんハジケたりもするので、各局が企画するのも当然だろう。いわば酒飲み番組の隆盛は、今のテレビ業界の不況ぶりを表わしているとも言えるのだ。
先の元祖・酒飲み番組『酒場放浪記』が人気になった際には、各BS局がこぞって類似番組を制作放映したが、今では居酒屋探訪家・太田和彦の一連の居酒屋番組が残るのみ(居酒屋紀行シリーズは酒場放浪記より前に開始)。おそらくこれら地上波の酒飲み番組もBS同様、今後は淘汰の段階に入っていくと思われる。果たしてどの番組がマスト化していくのか、と一杯やりながら見るのも、冬の夜長の一興かもしれない。
(文/五目舎)