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“キモさ”こそ芸人の真骨頂 脈々と受け継がれる“キモい系”芸人

 ここ数年のお笑い業界の中でも、堅実かつ確実に地位を築き上げているのが、“キモい系”の芸人たちだ。バナナマン・日村勇紀を筆頭に、フットボールアワー・岩尾望、アンガールズの田中卓志・山根良顕、NON STYLE・井上裕介、息長く活躍している代表格だが、最近では“白目”がウリのピスタチオ・小澤慎一朗やピン芸人の永野といったニュータイプまで登場。脈々と受け継がれてきたキモ芸の系譜を改めて振り返ってみよう。

出川や江頭は、キモさを客観的に分析し、戦略的なキャラ作りを徹底

 お笑い芸人コンビ・ピスタチオは、「私の好きな○○を発表したいです」と伊地知大樹が言うと、「ようやく聞けるのですね」と小澤慎一郎が返し、ボケとツッコミの合間に両者で白目を剥く……という何ともシュールなネタが「キモいけどクセになる」と人気急上昇。『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「ザキヤマ&フジモンがパクりたい芸人」ではNo.1にもなった。特に小澤の髪型は海苔が貼りついたようなワンレンショートボブで、この髪がバッサバッサした向こうに見える白目はたしかにキモいし、お笑いとしてもどこか新鮮味がある。また永野のほうも、全盛期の宅八郎を彷彿とさせるワンレンセミロングを振り乱しながら腰を前後に振りまくり、冷静に考えればつまらないネタを大声で叫ぶという芸風。見た目のキモさとやたらと開き直った自己完結感が妙にマッチし、確かに笑える。

 一方、キモい系芸人のベテラン勢たちは非常に息が長く、キモさが当たり前のキャラになっている。バナナマンの日村勇紀は、アザラシだかトドの写真の横に顔写真が並ぶだけで十分に笑いが取れ、特に小学校低学年の子どもたちのウケが良い。フットボールアワーの岩尾望はルックスと比較してオシャレすぎるところがまたキモいとされるが、一部の女性たちにはそれが“カワイイ”と評されることさえあるという。アンガールズの場合は、一時期は一発屋芸人になりかけたが、田中の“キモネタ”で見事復活。再浮上してから現在まで、そのキモキャラでポジションを確保し続けている。ノンスタの井上裕介に関しては、それほどキモいルックスでもないのだが、その勘違いのイケメン・ナルシストぶり、モテキャラを気取るあたりがキモいとされ、その徹底ぶりは大人でも笑えるのは事実。

 そのほか、出川哲朗や江頭2:50のような雑誌『anan』(マガジンハウス)の「抱かれたくない男ランキング」の上位常連者など、彼らが現在でも第一線で活躍できるのは、持ち前のキモさを客観的に分析し、戦略的なキャラ作りに徹底しているからだと思われる。つまり、自分のキモさを最大限に引き出そうと日々努力をしているのだ。ブレることなくキモさ=オリジナリティを貫き通してるところに視聴者からの支持も得られ、結果として現在のポジションに留まることができているのだと言えるだろう。

たけしも明言「ブサイクは芸人最高の武器。顔だけで笑える」

 反面、最近ではイケメン+スタイリッシュという、キモイ系芸人とは真逆の若手芸人たちの人気も高い。パンサーの向井慧に代表されるようなトリオ系芸人たちに多いようだが、女性の新たなファン層を獲得したという意味では成功しているとも言える。しかし、与えるインパクトという意味では、“イケメン”も“キモさ”も同等だ。その証拠に、エスパー伊東にしても、ピスタチオの伊地知にしても、かつては超人気ホストだった。要するに、それ相応の努力をしないと、イケメンにしてもキモさにしても簡単に飽きられ、淘汰されてしまうのは同じだということ。多少ルックスがいいだけのイケメン風芸人などは、今のままでは、“ちょっと気の利いた面白いことをいうただの若者”のままで終わる可能性すらある。そうした意味では、ビートたけしや明石家さんまなど大物芸人が言うように、「ブサイクは芸人最高の武器。顔だけで笑える」ことから、むしろキモイ系芸人のほうが有利だとさえ言えるのかもしれない。今でこそ国民的タレントとなったタモリにしても、初期はポマードベッタリの髪にアイパッチのルックスで、イグアナやイボイノシシの形態模写をするというかなりキモいキャラだった。

 一般的には「キモい」と言われることは否定の対象だが、そもそも芸人にとってはむしろ勲章であり、当たり前のウリであった。「吉本新喜劇」にしても、あからさまにおかしな容姿をしていたり、滑稽なしぐさをして笑わせるのが常套手段。多少まともなルックスの場合は、あえてとんでもないメイクをしたり、カブリものまでして観客の笑いと取る。要するに芸人はキモくてナンボ、バカにされたり、罵倒されてナンボ、の世界のはずなのだ。ましてや生まれ持ったキモさであれば、それは立派な芸人の才能とも言え、オリジナリティなのである。あとは、そのキモさ=才能をどこまで磨いていくことができるかにかかっているわけだ。

 昨今のイケメン・オシャレ芸人が悪いわけでも何でもないが、基本的に芸人は“キモい”ものであり、そこにこそ芸人の真骨頂があるのだということだけは忘れないでおきたい。そろそろ、イケメンをウリにしたり、コジャレたファッションをする若手芸人たちに辟易してきた感もある。子どもから年寄りまで、誰でも理解のできる“キモい芸人”枠は、これからも需要が高く、脈々と受け継がれていくだろう。

(文:五目舎)

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