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【前編】日本アニメの担い手・細田守監督が語る「映画を作る意味」

 興行収入が40億円を突破、動員340万人と大ヒットを記録している映画『おおかみこどもの雨と雪』(公開中)を手掛けたアニメーション映画監督・細田守が、ORICON STYLEのインタビューに登場。改めて嬉しさを噛みしめつつ、『時をかける少女』、『サマーウォーズ』などにみられる細田作品の根幹ともいえる「理想の共感」の重要性について語った。

アニメーション映画だからこそ「堂々と理想を語りたい」と力を込める細田守監督 (C)ORICON DD inc.

アニメーション映画だからこそ「堂々と理想を語りたい」と力を込める細田守監督 (C)ORICON DD inc.

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■非婚や少子化が進む世の中とは逆行したヒロイン

 親になりたいと願う細田監督の想いから完成した同作。監督は「作り手はきっと今の自分に足りないものを追い求めるんです。子どもがいないからこそ、できた作品です」と、作品作りの動機を明かす。

 主人公・花は、相手が「おおかみおとこ」であることを受け入れ、結婚、妊娠、出産を経験。子どもが人間とおおかみのハーフであることから、人間かおおかみか、将来どちらの道を選んで行くのか…その全てのジャッジにおいて子どもたちの主体性を尊重し、覚悟を持って受け止め、成長を見守っていく姿は、非婚や少子化が進む世の中とは逆行しているとも受け取れる。

 「だからこそ、子育てをする親を描くのが面白いと思いました。ただし、昔の“産めよ増やせよ”の時代を舞台にして『昔はよかった』という作品ではなく、ちゃんと舞台を現代に据えて、社会や学校で起こるさまざまな問題点も踏まえたうえで、『親になる』という覚悟や、ある種の潔さを見せたいと思いました」と、チャレンジを明かす。

■アニメ界の現実とおろそかにしてはいけない「理想の共感」

 「今のアニメは登場人物がいかにリアルか? また、現実に絡め取れるかということを切り口にしたものが多いように思います。その反面、理想を語るということをおろそかにしているような気がするんです」と、細田作品の根幹ともいえるテーマに話はおよぶ。

 「親はどうあるべきかに限らず『人間はこうあるべき』という事への批判的な切り口の作品は多いように思える。でも、そうじゃなくて『こんな風になれたらいいね』っていう憧れや、ちゃんと自分たちが頑張れば到達できる! そんな『理想を共有する』と言った事を切り口にする映画がもっとあっても良いのではないか」と、アニメーション映画が表現し得るテーマや表現の多様性と、その可能性について語る。

 細田監督の代表作『時をかける少女』では、誰もが憧れる青春を、『サマーウォーズ』では“親戚”というコミュニティの素晴らしさを真正面から描いてきた。「僕はこれが理想ですって堂々と語ることがあっていい」と力説し、「それが映画でしかできないことだし、アニメ映画という絵空事だから可能なんです。僕は男だから逆立ちしたって母親にはなれない。でも映画だからこそ堂々と描ける母親像があるのかな」と、作品に込めた想いを明かした。

>>【後編】『おおかみこども』のその後…日本アニメの可能性

 映画『おおかみこどもの雨と雪』

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