消化管出血のため21日に亡くなった俳優・長門裕之（本名・加藤晃夫 享年77）さんの告別式が23日、東京・元麻布の善福寺でしめやかに営まれ、約250人が参列した。俳優・奥田瑛二と共に弔辞を読んだ黒柳徹子は「スターだったあなたは、誰にも迷惑をかけず、まるでマジックのように消えた。私たちは、美しいおしどり夫婦がいたことを忘れません。面白いことをたくさんありがとう。素晴らしい兄弟愛を見せてくれて嬉しかった。じゃあね。いつか会ったとき、またね」と故人を偲び、見送った。

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　もともと長門さんの最愛の妻・南田洋子さんと仲が良く、2人が婚約したときから長門さんと友達になったという黒柳は、「シェイクスピアは『人生は芝居だ。芝居小屋だ』とおっしゃいましたが、あなたの一生を考えてみると本当にそうだと思ってしまいます。天才子役、映画スター、数々の賞、そしてテレビ。いつもあなたには光が当たっていた」と、長門さんの輝かしい役者人生を回顧。そして「洋子さんの介護が、生まれてから一番楽しかったって幸せそうに話してくれました。あなたの無邪気な笑顔は素敵でした」と語った。

　また、自身がプロデューサー、長女の安藤モモコが監督を務める作品で、長門さんの主演映画を撮影するつもりだったことを明かした奥田は、「今年の出演をお願いしていました。成功率50%の手術から無事生還して、今年春に入院なさり『今、一生懸命リハビリしているからいけるかなぁ？』って。長門さん・・・あなたが主役でした。若い娘と老人の話です。（復帰を）待っていました」と無念さをにじませた。それでも「長門さんの思いをもって、いつかその映画は撮影します。見守ってください」と今秋公開を目指しての制作することを天国の長門さんに誓った。

　出棺前には喪主を務めた弟で俳優の津川雅彦が「結局、長門裕之は南田洋子のもとにあっという間にいきました」と涙を流し、何度も言葉に詰まりながらあいさつ。「あんなに仲のいい夫婦は見たことがなくて、嘘だろうと兄弟ながら思っていた。いつか本性を暴いてやろうと思っていたけど、嘘だとしても最後まで突き通せば本物。兄貴は最後まで南田洋子を愛して死にました。ありがとう」と誇らしげに語った。

　棺には生前の長門さんが部屋に飾っていた芝居や映画でもらった大入袋のほか、長門さんが書き綴っていた日記10冊ほど、愛用の帽子、最愛の妻・南田洋子さんとの写真などが納められ、棺の上から南田さんが愛用していたダウンがかぶせられた。また、この日は津川をはじめ、津川の妻の朝丘雪路、長女の津川真由子、西田敏行、岸部一徳、五木ひろし、高橋英樹、竹野内豊、筧利夫、田村亮、渡瀬恒彦、雛形あきこ、蛭子能収、川中美幸、薬師寺保栄、安藤和子らが最後のお別れに訪れた。

　父は歌舞伎俳優の沢村国太郎さん、母は女優のマキノ智子さんという芸能一家に生まれた長門さんは、戦前より子役として活躍。1956年に公開された主演映画『太陽の季節』をはじめ数々の代表作があり、1960年には『第10回ブルーリボン賞』主演男優賞を受賞した。1961年には女優の南田さんと結婚。1965年から16年にわたってフジテレビ系音楽番組『ミュージックフェア』で南田さんと共に司会を務めるなど、芸能界きってのおしどり夫婦として知られていた。

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