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芥川賞が楊逸『時が滲む朝』に決定 中国人初の受賞者に

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 第139回芥川賞・直木賞(平成20年度上半期)の受賞作が、日本文学振興会により15日(火)に都内で発表された。受賞作はそれぞれ、芥川賞が楊逸『時が滲む朝』、直木賞が井上荒野『切羽へ』に決定した。

第139回芥川賞は、史上初の日本籍以外の著者となる楊逸の『時が滲む朝』が受賞した。 

第139回芥川賞は、史上初の日本籍以外の著者となる楊逸の『時が滲む朝』が受賞した。 

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 楊逸は、芥川賞の長い歴史上初めての中国人の受賞者となった。今回の受賞について選考委員会では、「国境を超えていなければ見えないものがあり、それを書いている」と作品を評価し、作者の国籍については勘案する材料にはならず、日本語で書かれた文学として選考されたことをコメントした。

 今回の芥川賞の選考会では、楊逸『時が滲む朝』と磯崎憲一郎『眼と太陽』が最後まで選考に残り、最終的に楊逸の作品に評価が集まった。しかし、選考委員のなかでは、受賞作にすべきかどうかで意見がわかれ、最終決戦投票では、この日の選考会を欠席した石原慎太郎を除く8人の委員中、5人が受賞を支持し、受賞作に決定した。

 楊逸は、1964年6月中国黒龍江省に生まれ、1987年に来日しお茶の水女子大学にて地理学を専攻。卒業後、日本の中国語新聞社で記者として勤め、後に中国語教師になる。これまでに『ワンちゃん』(2007年12月文学界)で第105回文学界新人賞を受賞。第138回芥川賞候補にも選ばれている。そのほかに日本語エッセイ、中国語のエッセイ、ミニ小説などを発表している。

 一方、直木賞は、1次投票で井上荒野『切羽へ』、山本兼一『千両花嫁 とびきり屋見立て帖』、和田竜『のぼうの城』の3作品が残ったが、決戦投票では満票を獲得して井上荒野の作品が受賞作に選ばれた。山本と和田の時代小説はあと一歩、受賞におよばなかった。

 井上荒野は、1961年2月東京の生まれ。1989年に『わたしのヌレエフ』で第1回フェミナ賞を受賞し作家となる。これまでに第138回直木賞候補となった『ベーコン』(2007年集英社刊)、第27回吉川英治文学新人賞候補となった『誰よりも美しい妻』(2005年マガジンハウス刊)など、数多くの作品を発刊している。

 昭和10年に制定され、今回で第139回を迎える芥川賞と直木賞。各新聞・雑誌に発表された作品のなかから(直木賞は単行本も含む)、芥川賞では純文学短編作品、直木賞では短編および長編の大衆文芸作品の優秀作を選定する。前回(平成19年度下半期)では、芥川賞を川上未映子『乳(ちち)と卵(らん)』、直木賞を桜庭一樹『私の男』が受賞している。

●第139回芥川龍之介賞 候補作品
磯崎憲一郎『眼と太陽』 文藝夏号
岡崎祥久『ctの深い川の町』 群像6月号
小野正嗣『マイクロバス』 新潮4月号
木村紅美『月食の日』 文学界5月号
津村記久子『婚礼、葬礼、その他』 文学界3月号
羽田圭介『走ル』 文藝春号
楊逸『時が滲む朝』 文学界6月号

●第139回直木三十五賞 候補作品
井上荒野『切羽へ』 新潮社
荻原浩『愛しの座敷わらし』 朝日新聞出版
新野剛志『あぽやん』 文藝春秋
三崎亜記『鼓笛隊の襲来』光文社
山本兼一『千両花嫁 とびきり屋見立て帖』 文藝春秋
和田竜『のぼうの城』 小学館



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