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日本最後のアナログレコード製造工場(その2)

<その1>

 CDが登場すると、アルバム1枚あたりの生産時間は18秒から3秒に。その生産性のメリットはもちろん、ユーザーにとっても扱いやすさの点などから、市場はどんどんCDに取って代わられていった。

 しかし、その当時のスタッフたちは

「LPレコードはなくなるだろうけど、シングル盤はずっと残ると思っていた」

 と見込んでいたそうだ。

 だが、見込みどおりにはいかず、シングルCDからも次々とヒット作品が生まれるようになった。周知の通りカラオケブームなどの影響も大きい。ついにはアナログレコードの製造をやめてしまう会社が相次ぎ、唯一残ったのがここ東洋化成となったのだ。




 これはアナログレコードの原盤を作るカッティングマシーン。レコードプレーヤーのようなものだが、ターンテーブルに乗せられるのは、まだ溝のないツルツルのラッカー盤。カッティング専用の針で溝が作られていく。状況は顕微鏡で確認するほど繊細な作業。オーディオマニアの間では、「アナログレコードはカッティングによって音の品質が変わる」なんて言われているそうだ。



 アナログレコードにとってそんな肝心な作業を担っているのが、カッティングエンジニアの手塚和巳さん。「およげ!たいやきくん」も手塚さんがカッティングした。

 アーティストから届いた音源を、アナログレコードにするためには、独特の技術を要する。アナログならではの味わいは、この作業にかかっているともいえる。そして、そんな職人的技術を要するこのカッティングエンジニアのプロフェッショナルは、今では手塚さんだけと言われている。最近になってテレビや雑誌の取材も増えているそうだ。


次々と出てくる椎名林檎と斉藤ネコの「平成風俗」。



 最近では、オーディオの高級志向ブームなどによって、レコードプレーヤーも商品として人気。そんな背景もあって、アナログならではの味わいを求める傾向も実際に強まってきているという。名盤LP100選と銘打ったキャンペーンも行われ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー・アルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』が、完全予約限定生産のLP(アナログ盤)で復活するというニュースも記憶に新しい。洋楽だけではなく、井上陽水、沢田研二など、邦楽アーティストの作品もLP(アナログレコード)化されているのだ。


ここで生まれたアナログレコード、そうそうたる面々。
今なお、ピクチャーレコードなどの依頼があるという。
「サザンの桑田さんからの依頼は、非常に凝っていて大変です(笑)」

 東洋化成がアジアで唯一のアナログレコード製造工場となった今、注目度はかえって高まりつつあるのかもしれない。日本人ならではの職人気質が、世界中から求められるような日が来ることを期待したい。

■名盤LP100選オフィシャルサイトはこちらから
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