間もなく最終話を迎える仮面ライダー生誕50周年記念作品の『仮面ライダーリバイス』(毎週日曜 前9:00、テレビ朝日系)で屈指の人気を集めているのが門田ヒロミだ。仮面ライダーデモンズに変身し、途中退場後も待望論が出たほど。そんな門田ヒロミを演じる俳優の小松準弥(28)にORICON NEWSが動画インタビューを行い、“変身失敗おじさん”やトレンドトークなど、さまざまなことを聞いた。
■まさかの“変身失敗おじさん”が1話で大人気「愛のあるイジりが面白かったです」
――間もなく『仮面ライダーリバイス』も最終話となります。
【小松】もう1年経つんですね。あっという間だなと実感しています。『仮面ライダーセイバー』の先輩方に「1年があっという間だから楽しんで」と言ってもらえたんです。1年間、1つの役を演じさせてもらう機会って、なかなか経験できることじゃない。自分の中でも、どういう1年になるのかなと思っていたんですけど、やってみたら本当にあっという間で本当に濃い、俳優人生でも小松準弥の人生の中でも忘れられない宝物のような時間を過ごさせてもらいました。
――ヒロミさんは『仮面ライダーリバイス』の中でも屈指の人気キャラクターです。
【小松】ありがたいですね。『仮面ライダーリバイス』の出演が決まって、門田ヒロミという役を演じさせてもらうとなった時に、誰よりも僕が門田ヒロミを愛して、そのヒロミをカッコよく生きたいと思っていました。作品に入る前は、とにかく門田ヒロミの人生、生き様みたいなものを表現できたらと思っていた。それが皆さんの心に響いたのかなと思ったら、やってきたことに間違いはなかったのかな、と。ヒロミの人気が出たら、それが『仮面ライダーリバイス』、そして『仮面ライダー』という作品が盛り上がるかなと思っていました。本当に感謝です。
――テレビシリーズを振り返りながら、いろいろお伺いできればと思います。第1話「家族!契約!悪魔ささやく!」では…。
【小松】変身失敗ですね(笑)。変身したい、という思いがあってオーディションも受けさせていただいた。まさか、1話で誰よりも先に「変身」と言うとは思っていなかったです。そこに関しては、すごくうれしかったです。でも、失敗してしまうというところが…。『仮面ライダーリバイス』という物語は、ここから全てが始まったと思うので、あの変身失敗は忘れられないです。そして、まさかあんなに「変身失敗おじさん」が話題になるとは(笑)。パワーワードですよね。皆さんから、あんなに反響があると思っていなかったです。1話が終わって、多くのコメントが来て、そこから「○○おじさん」というワードが出て、愛のあるイジりが面白かったです。
――年齢的には、まだ「おじさん」ではないような気もしますが。
【小松】どうなんでしょうね(笑)。僕自身は、まだまだ若くて頑張りたいぞ、という気持ちがあるんですが、拳(一輝役の前田拳太郎)や亘(大二役の日向亘)は、まだ若くてレギュラーキャストの中で最年長。みんなより1つ上の世代になっているんだなと作品の中でも、小松としても実感しました。
――トレンドを席巻する「ヒロミさん」旋風の第1弾でしたね。
【小松】毎回、ありがたいことにトレンド入りさせてもらっています。一輝に言われました。「ヒロミさん、ズルい」と(笑)。
――7話「窃盗!?スケボー!?俺はカゲロウ!」では、ついに仮面ライダーデモンズに変身しました。
【小松】悲願の変身でした。過去に3回ぐらい仮面ライダーのオーディションを受けさせてもらいました。3回中2回が最終オーディションの残り3人まで残っていた時期があったんです。諦めかけた時もあったんですけど、諦めなくてよかったなと本当に思えた瞬間でした。初変身のシーンは100回以上見ています。「変身した!スゲー!」みたいな。
――「変身」というせりふを言った感想は?
【小松】「変身」っていう言葉は、僕が幼いころから仮面ライダーごっことかで言ってきたせりふではあります。でも、いざ変身をする時に言う「変身」という言葉の重みみたいなものを感じました。仮面ライダーの歴史や、歴代の仮面ライダーの方々がつむいできたものが「変身」には込められているんだなと思いました。軽々しく変身って言えないなという思いがあったのは覚えています。ただ、ヒロミを生きるというのが自分の核としてあった。感じていた重みとは別に、ただ大二というか仮面ライダーエビルを止めるために死ぬ覚悟でいっぱいだったので、覚えている部分と覚えていない部分があるんです。不思議だなって思いますね。
■ラブコフとは「相思相愛ということで」 若林司令官演じた田邊和也との撮影秘話
――13話「フェニックス危機一髪!」では、ラブコフ好きが判明しました。
【小松】「ヒロミ、ラブ〜」って言ってくれるから僕も大好きです(笑)。ビジュアルもかわいすぎます。ラブコフは、さくらの弱い部分を象徴しているような悪魔なので弱いんです。そこでヒロミの守りたいという思いがあふれています。ヒロミ自身が昔はいじめられっ子で、誰もヒーローが来てくれなかったということで、自分自身がヒーローになった時に弱い者を守るというのが心の中にある。弱いラブちゃんを守ると同時に「かわいすぎるだろ」ってヒロミ自身もなっていると思います(笑)。「確かに…、かわいかったしな」とボソッと言うぐらいですから。相思相愛ということで!
――14話からは衝撃展開が続きます。まさか若林司令官はカメレオン・デッドマンがなりすましていたとは…。
【小松】あのシーンは今も印象に残っているシーンです。ヒロミの人間性や、どういうふうに生きてきたかとかは、のちのち描かれましたけど、同期の中でも劣っていたり、エリートではなかった。その時に背中で語ってくれていたのは若林司令官。一見、威厳のある厳しそうだけど愛あふれる方。その人の裏切りってヒロミとしては信じられないし、信じたくない。そこで葛藤して「なんでですか!」ってなったら、実はすでに死んでいてなりすまされていた。もう情緒が、どうにかなりますよ(笑)。
――若林司令官を演じた田邊和也さんの怪演も話題になりました。
【小松】鼓膜破れるんじゃないかと思いました(笑)。淡々と「門田」って言っていた若林司令官が「グラシア〜ス」と。夢かと思いました。捕まっていたので、音だけでなりすましていたんだと実感がわいてきました。悔しさ、悲しさ、イラ立ちでいっぱいになりました。放送を見たら、こんな顔をしていたのかと。迫力がすごすぎましたね。和也さんとは、あのシーンが終わったあとに「よかった、楽しかったよ」と握手をしてもらえました。しんどかったですけど、あのシーンはできてよかったです。
――その後、体内年齢が80歳という驚きの事実が明らかになります。
【小松】80歳って、どうなっているのかって感じですよね。しんどいですよ…。若林司令官の後に同期にも裏切られたり、心の中がぐちゃぐちゃなのに体内年齢が80歳という事実を突きつけられて…。ジョージ狩崎は知っていて、それを僕にやっていた。掴みどころない人だと思っていたけど、まさかそこでも裏切られていたとは。どんどん孤独になっているヒロミがかわいそうで…。演じていてつらかったです。「僕が隣にいるぞ、ヒロミ」という感覚になっていました(笑)。条件付きで変身できるというのは知っていたので、ついにこの時が来てしまったか、と。いろいろな感情になりました。
――21話「我が命をかけて、想いを託して」では、仮面ライダーデモンズに変身したオルテカにやられ、崖の下へ落ちていきます。
【小松】「門田ヒロミとは違うのです。門田ヒロミとは」と門田ヒロミを2回も言われましたからね(笑)。つらかったです…。ヒロミとしては、オルテカの策略で同期に裏切られた上にギフテリアンにされて、許せない宿敵になっていた。それが最終的に、デモンズドライバーを奪われて崖から落ちるっていう…。
でも、あの時って実は一時退場だったじゃないですか。もしかしたら死んでしまうのではないかとファンの方々に心配されていた。放送後、どういう反応かと思っていたんです。「心配」という反応だったのが、崖から落ちた瞬間に「やった〜」となっていた。ファン的に「崖落ち」と「水落ち」は生きているんですよね(笑)。そういう反響もうれしかったです。
――訓練された仮面ライダーファンにとって「崖落ち」と「水落ち」は生存フラグですから(笑)。
【小松】仮面ライダーと「崖落ち」「水落ち」は生存ルートなんですよね(笑)。頑張ろうと思いました。
――落ちる直前の「あとは頼んだぞ、五十嵐三兄妹」もいいシーンでした。
【小松】ヒロミとしては体内年齢が80歳で変身できない体になっていた。あの時点のヒロミとしては仮面ライダーに変身して戦う、命を懸けるのがヒーロー。それは1話の時点で悪魔がいなくなってしまっていて、正義が暴走していたことにつながるんですけど。変身して戦うのがヒーローだけど変身できずにオルテカにもやられてしまった。自分は、もう戦えないけど、お前たちなら大丈夫だという意味で「あとは頼んだぞ、五十嵐三兄妹」と。小松準弥としても、そこで撮影現場からは一時離脱してしまう。上から目線というわけではないんですけど、五十嵐三兄妹は撮影現場で誰よりも吸収して成長していた。刺激も受けていました。そんな「お前なら大丈夫だ。『仮面ライダーリバイス』を任せられる」という意味も。いろんな意味を持った「あとは頼んだぞ、五十嵐三兄妹」というせりふでした。
■トレンド入りすぎて謝罪?「みんなで獲得したトレンドです!」
――そしてBlu-ray特典のヒロミの帰郷物語『DEAR GAGA』で生きていることが判明しました。“実家にいた”が話題となりましたが。
【小松】僕もびっくりしました。『DEAR GAGA』があることを東映さんから伝えられて、どういう話なのか聞いたら「実家に帰ります」と(笑)。変身しないヒューマンドラマという新しい展開でした。でも、そこで門田ヒロミの計り知れない挫折や恐怖を感じて「もう戦わない」という思いもわかった。それはヒロミ自身にしかわからないこと。正義に暴走していた。命を懸けてきた人が折れてしまうって相当だと思います。お母さんだったり、地元の子どもだったりの愛に触れて命の尊さや人の思いにもっと敏感にならないといけないなとヒロミ自身は感じました。そういう人の思いを聞けてなかったと反省し、母の愛を取り戻して本編に復帰しました。だから、『DEAR GAGA』の前と後でヒロミの芯の太さと種類が変わってる。門田ヒロミを生きさせてもらう中で『DEAR GAGA』は、すごく大事な時間でした。
――ヒロミの記憶を取り戻すため、という理由で29話「クランクイン!メモリー・オブ・ヒロミー!」で思い出ムービーを作りました。ジョージは、まさかのエクササイズで…。
【小松】あれ、すごいですよね(笑)。「腕が下がってきてるんじゃな〜い?」とか。実は記憶はあったので、何を見せられているんだ、と思ったはずです(笑)。でも、一輝、大二、さくら、バイスがヒロミのために作ってくれて、ヒロミの存在が大きかったんだなと感じました。みんなの愛情に救われました。ジョージも体内年齢80歳にエクササイズさせておいて「腕が下がってきてるんじゃな〜い?」と(笑)。個人的には楽しかったです。たぶん狩崎も思い出ムービーの中で謝ってくれていると思う。ヒロミは、スゴくマジメなので「やってみるか」と頑張ってたと思いますよ(笑)。狩崎のぶっ飛んでいる部分はヒロミにはないところ。噛み合っていないようで、うまく歯車は合っているのかな、という関係性ですよね。
――37話「激戦必至!決死の悪魔奪還ミッション!」では、いよいよテレビシリーズに帰ってきました。
【小松】僕もテレビシリーズに早く戻りたかったので、撮影の時に「帰ってきたな〜」と思いました。僕がいない間も『仮面ライダーリバイス』のキャストやスタッフさんは戦ってきた。それが目に見えました。作品としてレベルが一段も二段も上に行っているなと感じました。心強かったです。大きな背中になっていて、うれしくなったのと同時にプレッシャーも感じました。自分がいない間に、みんなの熱量が上がっていて。僕もそこに合わせていかないといけない。皆さんの反響も、どうなるかと思っていたので、うれしかったです。皆さんの声援は、しっかり届いています。温かく迎えてくださったということで、また気を引き締めて頑張りたいなと思いました。
――先日のインタビューで前田さんと日向さんが「すぐにトレンドを持っていく」とプチクレームを入れていましたが…(笑)。
【小松】プチクレーム入ってましたか(笑)。この場をお借りして、本当にごめんなさい(笑)。ヒロミはあの瞬間に戻ってきましたが、小松は直前の2人の熱いシーンも見ていた。兄弟げんかのシーンは胸が痛かったですが、いいシーンだなと思いました。「ただいま」でトレンド入りして、ごめん!でも、ヒロミだけのトレンドではなくて、2人のシーンの流れがあったからこそ。みんなで作り上げた空気感と熱量でのトレンド入り。ヒロミだけじゃなくて、みんなで獲得したトレンドです!
――44話「全身全霊をかけて、決断の行方」では、大二を救うために仮面ライダーデモンズに変身します。
【小松】うれしかったです。体内年齢が80歳なので変身できないのかなと思っていました。一時退場前は仮面ライダーに変身して戦うことがヒーローだったのが、『DEAR GAGA』を経ていろんなヒーローがいると思うようになった。自分にしかできない守り方があると思っていた。ヒロミ自身は強く変身したいと思っていないと思うんです。自分なりの戦い方があると。44話では大二を救うために、変身します。死んで守ると、死ぬ気で守るの違いというか。命があるからこそ戦える。ヒロミは、いろんな人に気づかせてもらったからこそ、大二にも気づいてほしい。寄り添えるのはヒロミだけかな、と。正面からぶつかるために1度きりでも変身して正面から語り合わないといけない。あの変身は意味のあるものだと思いました。それで大二が戻ってきてくれて、本当によかったなと思います。
■最終回直前にまさかの展開 これからの小松準弥の目標も語る
――ギフは倒しましたが、47話「狩崎の反乱、変身の代償」では再びジョージ・狩崎(濱尾ノリタカ)が変身します。
【小松】まさかギフを倒した後に、狩崎が…。でも、濱尾よかったな、と思います(笑)。うれしいです。変身したいという思いって『仮面ライダーリバイス』キャストって全員、持っていたと思います。みんなが変身する姿は僕自身もうれしいんです。濱尾ノリタカは仮面ライダーが大好きで、大好きで。それは作品の中でも、プライベートでも感じていました。そして変身するのが、仮面ライダージュウガ。彼は『仮面ライダークウガ』が好きなので東映さんからのプレゼントなのかな。熱いですよね! 一輝は不穏になっていますが…。もう語るのが難しいです。1年が濃すぎて(笑)。
――1年間、門田ヒロミを演じた感想をお願いします。
【小松】『仮面ライダーリバイス』キャスト全員に言えると思うんですけど、1年間すごく成長できたと思います。ヒロミ自身も成長しているし、小松準弥としても成長させてもらえたのかなと思います。ヒロミが成長しているのに、自分自身が成長しないと追いつけない。一緒に成長していくことで作り上げられるものがあると思う。そういう機会を与えていただいたことに感謝しています。仮面ライダーという作品の大きさや偉大さ、ファンの皆さんの愛情の深さを1番、近くで感じさせてもらえた。この1年間は、いろんなところで僕の糧になっていくんだろうなと思います。この時間は忘れられないし、初心に帰るという意味でも思い返しながらやっていきたいなと思いました。
――今後、やってみたい役などありますか?
【小松】いろんな役をやってみたいです。ありがたいことに「優しい」「いい人」と言ってもらえることが多い。それを生かしてみたなと思っています。本当にいい人を演じるのも面白いんですけど、いい顔をして裏でいろんな工作をしている悪者も演じてみたいです。ヒーローをやっていたからかもしれないですが。犯人とか、サイコパスとか、不良モノもやってみたいです。もう、全部やりたいです(笑)。一つずつやっていきたいと思います!
――俳優として、ここだけは負けないというアピールポイントは?
【小松】運の強さです。いい人とめぐり会わせてもらっています。関わってくださる方が、みんな温かい方で勉強させてもらえる。ステキな方が多いんですよ。だから運の強さは負けないです。
――今後の目標は。
【小松】日本アカデミー賞を受賞したいです。仮面ライダー作品に参加して、改めて作品が届けられることの素晴らしさや、皆さんの心が豊かになること、勇気や励みになることに気づきました。いろんなジャンルの作品に出て、いろんな役どころをやってみたいなと思うようになりました。そういう賞を取れるぐらい力をつけたいと。大きいことを言っちゃいましたけど、言霊なので言っていきましょう!
――最後にファンにメッセージを。
【小松】1年間、応援ありがとうございました。皆さんの愛情の大きさ、声援のパワーはスゴくて、撮影をしながらみんなで話をしていました。それを励みに撮影をしていました。1年間、『仮面ライダーリバイス』の世界で戦わせていただいたことって僕自身の中でも宝物です。これから先も背中を押してもらえたような感覚です。この場を借りて、心からの感謝を伝えたいです。これからも『仮面ライダーリバイス』、そして次の『仮面ライダーギーツ』、今後の『仮面ライダー』も応援してもらえたらうれしいです。よろしくお願いします。
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■まさかの“変身失敗おじさん”が1話で大人気「愛のあるイジりが面白かったです」
――間もなく『仮面ライダーリバイス』も最終話となります。
【小松】もう1年経つんですね。あっという間だなと実感しています。『仮面ライダーセイバー』の先輩方に「1年があっという間だから楽しんで」と言ってもらえたんです。1年間、1つの役を演じさせてもらう機会って、なかなか経験できることじゃない。自分の中でも、どういう1年になるのかなと思っていたんですけど、やってみたら本当にあっという間で本当に濃い、俳優人生でも小松準弥の人生の中でも忘れられない宝物のような時間を過ごさせてもらいました。
――ヒロミさんは『仮面ライダーリバイス』の中でも屈指の人気キャラクターです。
【小松】ありがたいですね。『仮面ライダーリバイス』の出演が決まって、門田ヒロミという役を演じさせてもらうとなった時に、誰よりも僕が門田ヒロミを愛して、そのヒロミをカッコよく生きたいと思っていました。作品に入る前は、とにかく門田ヒロミの人生、生き様みたいなものを表現できたらと思っていた。それが皆さんの心に響いたのかなと思ったら、やってきたことに間違いはなかったのかな、と。ヒロミの人気が出たら、それが『仮面ライダーリバイス』、そして『仮面ライダー』という作品が盛り上がるかなと思っていました。本当に感謝です。
――テレビシリーズを振り返りながら、いろいろお伺いできればと思います。第1話「家族!契約!悪魔ささやく!」では…。
【小松】変身失敗ですね(笑)。変身したい、という思いがあってオーディションも受けさせていただいた。まさか、1話で誰よりも先に「変身」と言うとは思っていなかったです。そこに関しては、すごくうれしかったです。でも、失敗してしまうというところが…。『仮面ライダーリバイス』という物語は、ここから全てが始まったと思うので、あの変身失敗は忘れられないです。そして、まさかあんなに「変身失敗おじさん」が話題になるとは(笑)。パワーワードですよね。皆さんから、あんなに反響があると思っていなかったです。1話が終わって、多くのコメントが来て、そこから「○○おじさん」というワードが出て、愛のあるイジりが面白かったです。
――年齢的には、まだ「おじさん」ではないような気もしますが。
【小松】どうなんでしょうね(笑)。僕自身は、まだまだ若くて頑張りたいぞ、という気持ちがあるんですが、拳(一輝役の前田拳太郎)や亘(大二役の日向亘)は、まだ若くてレギュラーキャストの中で最年長。みんなより1つ上の世代になっているんだなと作品の中でも、小松としても実感しました。
――トレンドを席巻する「ヒロミさん」旋風の第1弾でしたね。
【小松】毎回、ありがたいことにトレンド入りさせてもらっています。一輝に言われました。「ヒロミさん、ズルい」と(笑)。
――7話「窃盗!?スケボー!?俺はカゲロウ!」では、ついに仮面ライダーデモンズに変身しました。
【小松】悲願の変身でした。過去に3回ぐらい仮面ライダーのオーディションを受けさせてもらいました。3回中2回が最終オーディションの残り3人まで残っていた時期があったんです。諦めかけた時もあったんですけど、諦めなくてよかったなと本当に思えた瞬間でした。初変身のシーンは100回以上見ています。「変身した!スゲー!」みたいな。
――「変身」というせりふを言った感想は?
【小松】「変身」っていう言葉は、僕が幼いころから仮面ライダーごっことかで言ってきたせりふではあります。でも、いざ変身をする時に言う「変身」という言葉の重みみたいなものを感じました。仮面ライダーの歴史や、歴代の仮面ライダーの方々がつむいできたものが「変身」には込められているんだなと思いました。軽々しく変身って言えないなという思いがあったのは覚えています。ただ、ヒロミを生きるというのが自分の核としてあった。感じていた重みとは別に、ただ大二というか仮面ライダーエビルを止めるために死ぬ覚悟でいっぱいだったので、覚えている部分と覚えていない部分があるんです。不思議だなって思いますね。
■ラブコフとは「相思相愛ということで」 若林司令官演じた田邊和也との撮影秘話
――13話「フェニックス危機一髪!」では、ラブコフ好きが判明しました。
【小松】「ヒロミ、ラブ〜」って言ってくれるから僕も大好きです(笑)。ビジュアルもかわいすぎます。ラブコフは、さくらの弱い部分を象徴しているような悪魔なので弱いんです。そこでヒロミの守りたいという思いがあふれています。ヒロミ自身が昔はいじめられっ子で、誰もヒーローが来てくれなかったということで、自分自身がヒーローになった時に弱い者を守るというのが心の中にある。弱いラブちゃんを守ると同時に「かわいすぎるだろ」ってヒロミ自身もなっていると思います(笑)。「確かに…、かわいかったしな」とボソッと言うぐらいですから。相思相愛ということで!
――14話からは衝撃展開が続きます。まさか若林司令官はカメレオン・デッドマンがなりすましていたとは…。
【小松】あのシーンは今も印象に残っているシーンです。ヒロミの人間性や、どういうふうに生きてきたかとかは、のちのち描かれましたけど、同期の中でも劣っていたり、エリートではなかった。その時に背中で語ってくれていたのは若林司令官。一見、威厳のある厳しそうだけど愛あふれる方。その人の裏切りってヒロミとしては信じられないし、信じたくない。そこで葛藤して「なんでですか!」ってなったら、実はすでに死んでいてなりすまされていた。もう情緒が、どうにかなりますよ(笑)。
――若林司令官を演じた田邊和也さんの怪演も話題になりました。
【小松】鼓膜破れるんじゃないかと思いました(笑)。淡々と「門田」って言っていた若林司令官が「グラシア〜ス」と。夢かと思いました。捕まっていたので、音だけでなりすましていたんだと実感がわいてきました。悔しさ、悲しさ、イラ立ちでいっぱいになりました。放送を見たら、こんな顔をしていたのかと。迫力がすごすぎましたね。和也さんとは、あのシーンが終わったあとに「よかった、楽しかったよ」と握手をしてもらえました。しんどかったですけど、あのシーンはできてよかったです。
――その後、体内年齢が80歳という驚きの事実が明らかになります。
【小松】80歳って、どうなっているのかって感じですよね。しんどいですよ…。若林司令官の後に同期にも裏切られたり、心の中がぐちゃぐちゃなのに体内年齢が80歳という事実を突きつけられて…。ジョージ狩崎は知っていて、それを僕にやっていた。掴みどころない人だと思っていたけど、まさかそこでも裏切られていたとは。どんどん孤独になっているヒロミがかわいそうで…。演じていてつらかったです。「僕が隣にいるぞ、ヒロミ」という感覚になっていました(笑)。条件付きで変身できるというのは知っていたので、ついにこの時が来てしまったか、と。いろいろな感情になりました。
――21話「我が命をかけて、想いを託して」では、仮面ライダーデモンズに変身したオルテカにやられ、崖の下へ落ちていきます。
【小松】「門田ヒロミとは違うのです。門田ヒロミとは」と門田ヒロミを2回も言われましたからね(笑)。つらかったです…。ヒロミとしては、オルテカの策略で同期に裏切られた上にギフテリアンにされて、許せない宿敵になっていた。それが最終的に、デモンズドライバーを奪われて崖から落ちるっていう…。
でも、あの時って実は一時退場だったじゃないですか。もしかしたら死んでしまうのではないかとファンの方々に心配されていた。放送後、どういう反応かと思っていたんです。「心配」という反応だったのが、崖から落ちた瞬間に「やった〜」となっていた。ファン的に「崖落ち」と「水落ち」は生きているんですよね(笑)。そういう反響もうれしかったです。
――訓練された仮面ライダーファンにとって「崖落ち」と「水落ち」は生存フラグですから(笑)。
【小松】仮面ライダーと「崖落ち」「水落ち」は生存ルートなんですよね(笑)。頑張ろうと思いました。
――落ちる直前の「あとは頼んだぞ、五十嵐三兄妹」もいいシーンでした。
【小松】ヒロミとしては体内年齢が80歳で変身できない体になっていた。あの時点のヒロミとしては仮面ライダーに変身して戦う、命を懸けるのがヒーロー。それは1話の時点で悪魔がいなくなってしまっていて、正義が暴走していたことにつながるんですけど。変身して戦うのがヒーローだけど変身できずにオルテカにもやられてしまった。自分は、もう戦えないけど、お前たちなら大丈夫だという意味で「あとは頼んだぞ、五十嵐三兄妹」と。小松準弥としても、そこで撮影現場からは一時離脱してしまう。上から目線というわけではないんですけど、五十嵐三兄妹は撮影現場で誰よりも吸収して成長していた。刺激も受けていました。そんな「お前なら大丈夫だ。『仮面ライダーリバイス』を任せられる」という意味も。いろんな意味を持った「あとは頼んだぞ、五十嵐三兄妹」というせりふでした。
■トレンド入りすぎて謝罪?「みんなで獲得したトレンドです!」
――そしてBlu-ray特典のヒロミの帰郷物語『DEAR GAGA』で生きていることが判明しました。“実家にいた”が話題となりましたが。
【小松】僕もびっくりしました。『DEAR GAGA』があることを東映さんから伝えられて、どういう話なのか聞いたら「実家に帰ります」と(笑)。変身しないヒューマンドラマという新しい展開でした。でも、そこで門田ヒロミの計り知れない挫折や恐怖を感じて「もう戦わない」という思いもわかった。それはヒロミ自身にしかわからないこと。正義に暴走していた。命を懸けてきた人が折れてしまうって相当だと思います。お母さんだったり、地元の子どもだったりの愛に触れて命の尊さや人の思いにもっと敏感にならないといけないなとヒロミ自身は感じました。そういう人の思いを聞けてなかったと反省し、母の愛を取り戻して本編に復帰しました。だから、『DEAR GAGA』の前と後でヒロミの芯の太さと種類が変わってる。門田ヒロミを生きさせてもらう中で『DEAR GAGA』は、すごく大事な時間でした。
――ヒロミの記憶を取り戻すため、という理由で29話「クランクイン!メモリー・オブ・ヒロミー!」で思い出ムービーを作りました。ジョージは、まさかのエクササイズで…。
【小松】あれ、すごいですよね(笑)。「腕が下がってきてるんじゃな〜い?」とか。実は記憶はあったので、何を見せられているんだ、と思ったはずです(笑)。でも、一輝、大二、さくら、バイスがヒロミのために作ってくれて、ヒロミの存在が大きかったんだなと感じました。みんなの愛情に救われました。ジョージも体内年齢80歳にエクササイズさせておいて「腕が下がってきてるんじゃな〜い?」と(笑)。個人的には楽しかったです。たぶん狩崎も思い出ムービーの中で謝ってくれていると思う。ヒロミは、スゴくマジメなので「やってみるか」と頑張ってたと思いますよ(笑)。狩崎のぶっ飛んでいる部分はヒロミにはないところ。噛み合っていないようで、うまく歯車は合っているのかな、という関係性ですよね。
――37話「激戦必至!決死の悪魔奪還ミッション!」では、いよいよテレビシリーズに帰ってきました。
【小松】僕もテレビシリーズに早く戻りたかったので、撮影の時に「帰ってきたな〜」と思いました。僕がいない間も『仮面ライダーリバイス』のキャストやスタッフさんは戦ってきた。それが目に見えました。作品としてレベルが一段も二段も上に行っているなと感じました。心強かったです。大きな背中になっていて、うれしくなったのと同時にプレッシャーも感じました。自分がいない間に、みんなの熱量が上がっていて。僕もそこに合わせていかないといけない。皆さんの反響も、どうなるかと思っていたので、うれしかったです。皆さんの声援は、しっかり届いています。温かく迎えてくださったということで、また気を引き締めて頑張りたいなと思いました。
――先日のインタビューで前田さんと日向さんが「すぐにトレンドを持っていく」とプチクレームを入れていましたが…(笑)。
【小松】プチクレーム入ってましたか(笑)。この場をお借りして、本当にごめんなさい(笑)。ヒロミはあの瞬間に戻ってきましたが、小松は直前の2人の熱いシーンも見ていた。兄弟げんかのシーンは胸が痛かったですが、いいシーンだなと思いました。「ただいま」でトレンド入りして、ごめん!でも、ヒロミだけのトレンドではなくて、2人のシーンの流れがあったからこそ。みんなで作り上げた空気感と熱量でのトレンド入り。ヒロミだけじゃなくて、みんなで獲得したトレンドです!
――44話「全身全霊をかけて、決断の行方」では、大二を救うために仮面ライダーデモンズに変身します。
【小松】うれしかったです。体内年齢が80歳なので変身できないのかなと思っていました。一時退場前は仮面ライダーに変身して戦うことがヒーローだったのが、『DEAR GAGA』を経ていろんなヒーローがいると思うようになった。自分にしかできない守り方があると思っていた。ヒロミ自身は強く変身したいと思っていないと思うんです。自分なりの戦い方があると。44話では大二を救うために、変身します。死んで守ると、死ぬ気で守るの違いというか。命があるからこそ戦える。ヒロミは、いろんな人に気づかせてもらったからこそ、大二にも気づいてほしい。寄り添えるのはヒロミだけかな、と。正面からぶつかるために1度きりでも変身して正面から語り合わないといけない。あの変身は意味のあるものだと思いました。それで大二が戻ってきてくれて、本当によかったなと思います。
■最終回直前にまさかの展開 これからの小松準弥の目標も語る
――ギフは倒しましたが、47話「狩崎の反乱、変身の代償」では再びジョージ・狩崎(濱尾ノリタカ)が変身します。
【小松】まさかギフを倒した後に、狩崎が…。でも、濱尾よかったな、と思います(笑)。うれしいです。変身したいという思いって『仮面ライダーリバイス』キャストって全員、持っていたと思います。みんなが変身する姿は僕自身もうれしいんです。濱尾ノリタカは仮面ライダーが大好きで、大好きで。それは作品の中でも、プライベートでも感じていました。そして変身するのが、仮面ライダージュウガ。彼は『仮面ライダークウガ』が好きなので東映さんからのプレゼントなのかな。熱いですよね! 一輝は不穏になっていますが…。もう語るのが難しいです。1年が濃すぎて(笑)。
――1年間、門田ヒロミを演じた感想をお願いします。
【小松】『仮面ライダーリバイス』キャスト全員に言えると思うんですけど、1年間すごく成長できたと思います。ヒロミ自身も成長しているし、小松準弥としても成長させてもらえたのかなと思います。ヒロミが成長しているのに、自分自身が成長しないと追いつけない。一緒に成長していくことで作り上げられるものがあると思う。そういう機会を与えていただいたことに感謝しています。仮面ライダーという作品の大きさや偉大さ、ファンの皆さんの愛情の深さを1番、近くで感じさせてもらえた。この1年間は、いろんなところで僕の糧になっていくんだろうなと思います。この時間は忘れられないし、初心に帰るという意味でも思い返しながらやっていきたいなと思いました。
――今後、やってみたい役などありますか?
【小松】いろんな役をやってみたいです。ありがたいことに「優しい」「いい人」と言ってもらえることが多い。それを生かしてみたなと思っています。本当にいい人を演じるのも面白いんですけど、いい顔をして裏でいろんな工作をしている悪者も演じてみたいです。ヒーローをやっていたからかもしれないですが。犯人とか、サイコパスとか、不良モノもやってみたいです。もう、全部やりたいです(笑)。一つずつやっていきたいと思います!
――俳優として、ここだけは負けないというアピールポイントは?
【小松】運の強さです。いい人とめぐり会わせてもらっています。関わってくださる方が、みんな温かい方で勉強させてもらえる。ステキな方が多いんですよ。だから運の強さは負けないです。
――今後の目標は。
【小松】日本アカデミー賞を受賞したいです。仮面ライダー作品に参加して、改めて作品が届けられることの素晴らしさや、皆さんの心が豊かになること、勇気や励みになることに気づきました。いろんなジャンルの作品に出て、いろんな役どころをやってみたいなと思うようになりました。そういう賞を取れるぐらい力をつけたいと。大きいことを言っちゃいましたけど、言霊なので言っていきましょう!
――最後にファンにメッセージを。
【小松】1年間、応援ありがとうございました。皆さんの愛情の大きさ、声援のパワーはスゴくて、撮影をしながらみんなで話をしていました。それを励みに撮影をしていました。1年間、『仮面ライダーリバイス』の世界で戦わせていただいたことって僕自身の中でも宝物です。これから先も背中を押してもらえたような感覚です。この場を借りて、心からの感謝を伝えたいです。これからも『仮面ライダーリバイス』、そして次の『仮面ライダーギーツ』、今後の『仮面ライダー』も応援してもらえたらうれしいです。よろしくお願いします。
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
2022/08/21