来年1月3日から東京・新橋演舞場で予定されている新作歌舞伎『プペル〜天明の護美人間』(1月20日まで上演)に出演する市川海老蔵、市川ぼたん、堀越勸玄の親子3人がそろって稽古(けいこ)の合間に取材に応じた。ぼたんと勸玄はともに「はる(原作のルビッチ)」役を初のこうご出演(ダブルキャスト)で演じる。稽古を一緒にしながら「ライバル関係はない」と話したぼたんと勸玄。お互いの良いところを「真似したい」と話す姉弟の姿に、海老蔵は目を細めていた。 『プペル〜天明の護美人間』の原作は、キングコング・西野亮廣による絵本「えんとつ町のプペル」。ゴミ人間プペルと、父が遺した言葉を信じる少年ルビッチが、お互いの友情を信じ、新たな世界に飛び出してゆく奇跡のファンタジー物語。歌舞伎として舞台化するにあたっては、原作の西野自らが脚本を担当している。主人公のプペル役ほかを海老蔵が演じる。 ぼたんは「緊張して、せりふを覚えるのも大変だったんですが、たくさん練習したので大丈夫かな」と稽古をすることで自信が湧いてきた様子。勸玄も「僕も緊張してて、でもだいたいせりふは覚えて、あとは稽古で動きをちゃんとして、頑張ろうと思っています」と話した。その二人に海老蔵は「初日までの2週間、これからどんどん成長する。準備は個人的にしたのかな」と期待を高めていた。 ライバル心よりも「勸玄的には自然にやっているのに面白いところがたくさんある。そういったところを真似したい」(ぼたん)、「お姉ちゃんの例えばかわいいところとか、笑顔のところとか、そういう場面を真似してみたい」と互いにほめ合った。 もちろん、稽古には厳しさも伴う。「泣いたりしちゃうこともあるけど、お父さんは私たちを良くするために教えてくれているので、頑張りたいなと思う」と、ぼたん。海老蔵は「悪いところはないのよ、より良くするためにね。教えて上げる必然、厳しくしなくちゃいけないところもありまして、今の時代合わないかもしれないが、伝統文化なので、節目節目で言わなければならないことはある。彼らが悪いわけではなく、的確に指摘しなければいけない、業務的です」と話した。 今回の親子共演は“話題を呼ぶ”だけでなく、「歌舞伎的な手法である“だんまり”に初挑戦していたり、歌舞伎的な要素も多々散りばめてある。新作の中でだんまりをさせる立ち回りを体験する、歌舞伎的なせりふまわしを経験しておくことで、古典に入った時に役立つ。土台を作る土台を仕込んでいるところ。うっすら横目でみながらしめしめと思っています」(海老蔵)と真の狙いを明かしていた。
2021/12/21
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