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NHK初主演の銀杏BOYZ・峯田和伸、圧倒的なリアリティで俳優としても重宝

 パンクバンド・銀杏BOYZのボーカル&ギターである峯田和伸が、NHK BSプレミアムの新ドラマ『奇跡の人』でドラマ初主演する。ミュージシャンとしての峯田を知らなければ、「へぇ〜、てか誰?」と言う人もいるだろう。しかし彼を知る人たちからは、「峯田くんマジかぁ!! NHK出ていいのか?」「大丈夫なのだろうか、いろいろwww」などと、ネットで期待と不安の声が多数あがっている。ミュージシャンとして熱狂的なファンを持ちながら、なぜ役者としてもここまでの期待感の心地よい危うさをもたらしているのだろうか?

俳優としても活躍する銀杏BOYZ・峯田和伸 (C)ORICON NewS inc.

俳優としても活躍する銀杏BOYZ・峯田和伸 (C)ORICON NewS inc.

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◆大御所・小林薫をも唸らせたプロには不可能な演技

 ミュージシャンとしての峯田は、1996年、GOING STEADY(通称・ゴイステ)というバンドを結成したことから始まる。“ゴイステ”は、青春時代の若者の甘酸っぱい思いや心の叫びをパンクロックにのせて歌うスタイルで、モヤモヤした若者たちに絶大な支持を受け、サンボマスター、オナニーマシーンとともに“性春パンク御三家”としてインディーズシーンで活躍。2002年、シングル「童貞ソー・ヤング」が最高位3位を獲得し、同年の『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演するなどブレイクしたが、2003年に突如解散、その後、現在の銀杏BOYZを結成する。

 峯田はステージ上でつい全裸になってしまうクセ(パフォーマンス?)があり、過去に何度も書類送検の憂き目にあっているが(それでもまた何度も脱ぐ)、そのことが峯田を伝説化される要因のひとつとなっていると同時に、先述の「NHKに出ていいのか?」という心配の声にもつながるのだ。

 2003年に峯田は、みうらじゅんの漫画を原作に宮藤官九郎が脚本、田口トモロヲ初監督の映画『アイデン&ティティ』で主演を務め、役者デビューを果たす。峯田自身を“地”でいくような破滅型ロックミュージシャンの役で、かわいくて献身的な彼女(麻生久美子)がいながら、平気で追っかけの女性ファンと野外で“行為”に及ぶダメなロッカー。バンドのメンバー(中村獅童大森南朋)に罵詈雑言を浴びせて切り捨てるようなヤツだが、音楽的才能はピカイチ……といったクセのある役を熱演した。

 本作の演技が高く評価されると、峯田は『色即ぜねれいしょん』や『ピース オブ ケイク』など田口トモロヲ監督作品の常連となり、花沢健吾原作の漫画を映画化した『ボーイズ・オン・ザ・ラン』でも主役を務めた。「何だか泣けてくる演技がいい」「脇役ながら印象に残る演技」「正直、峯田和伸がここまでいい演技をすると思ってなかった」など、峯田の演技は徐々に評判になっていき、小林薫や松坂桃李池松壮亮らの俳優陣からも絶賛され、小林薫をして「尊敬しちゃいましたね。役者って何なのかなって思うほど」とまで言わしめたのである。

◆圧倒的な存在感、絶対的なリアリティはロック界が放つ“最終兵器”

 また、『週刊SPA!』の「みうらじゅん×リリー・フランキーのグラビア魂homme(オム)」にも出演。通常は女性タレントのグラビア写真が掲載される企画だが、峯田がベッド上でTシャツを脱ぐシーンから始まり、Tバック水着でシャワーを浴びたり、水着姿でベッドに寝そべる姿など、写真家・藤代冥砂氏による5枚のグラビアが掲載された。みうらじゅんとリリー・フランキーは、「ずっとグラドルに苦言を呈してきたけど、本来彼女たちが持ってなきゃいけないピュアなものを、峯田君が全部持ってます」「峯田君には忘れられがちな“聖”がある。何で男のグラドルがいなかったんだろう」と峯田を手放しで絶賛したのだ。

 「峯田さんの演技が特別に上手かと言えば、私はそうは思いません。ただ、俳優的な技術がないからこそ出る圧倒的な存在感、絶対的なリアリティがあるんですね。そして彼にしか出せない、鬼気迫る狂気のようなものも感じさせます。小林さんが言うように、役者とは何だろうという“本質”を考えさせられる演技なんです。そうした意味では、同じミュージシャンのピエール瀧さんや、イラストレーターのリリー・フランキーさんの演技に通じるものがあるかもしれません」(ドラマ制作会社スタッフ)

 つまるところ役者・峯田の魅力は、不器用かつ破天荒なパンクロッカーの自分そのままに、役をこなしているところにあるのだろう。“永遠の童貞”とも言うべき、ある種“青臭い”純粋さを貫き通す生き様が、峯田の最大の魅力なのである。先述した『奇跡の人』は、ヘレン・ケラーの有名な同名作をモチーフにした現代ドラマ。峯田が演じるのは“サリバン先生を目指すダメ男”。ここでも峯田は、「一生懸命やるだけです。よろしくお願いします」といかにも彼らしいコメントを残すのみだが、ロック界が放つ“最終兵器”、38歳になる峯田和伸は、その変わらないスタンスを貫き通すことで、俳優としても自然と道が開けていくのだろう。

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