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「世界に一つだけの花」現象にみる1億総評論家時代の“民意の力”

 ベッキーの不倫騒動やSMAPの解散騒動など、大きなニュースが続いた2016年の年明け。“1億総評論家”と言われるネット時代において、ネガティブな話題はSNSを通して瞬く間に拡散され、バッシングの集中砲火を浴びるが、その一方でSMAPの「世界に一つだけの花」がランキングで急上昇したように、世の中の人々が一致団結して大きな力になることもある。もちろん、道徳に反する行為を犯してしまった人に対して何かしらの意見を述べたい気持ちはわかる。しかし、衝撃的なニュースが続いているからこそ、負のパワーではなく、もっと前向きなパワーに変えられないものか、と感じてしまうのだ。

■ポジティブで埋め尽くされた情報を“疑う”風潮

 間もなく2016年1月が終わろうとしているが、年が明けてからのこの1ヶ月というもの、大げさかもしれないがまるで1年分のビッグニュースが詰め込まれたかのような濃い話題が続いた。こうした中で改めて感じたのが、情報の伝達速度の異様な早さと、受け手側の情報の受け取り方の変化だ。ネットがここまで普及していなかった時代は、主にテレビや新聞、週刊誌など正規メディアから発信された情報であれば「疑う」という考えすら出てこないほどすんなり信用していたものだが、昨今はメディアから発信された情報をまずは疑ってかかるようになった。それはなぜか?

 昨今、かつてはたくさんいた“音楽評論家”がいなくなったと言われている。昔は新譜レビューで音楽評論家がマイナスコメントをして、アーティストが評論家と犬猿の仲に……なんてことがよく話題となったものだが、昨今、音楽などのレビューは褒め称えるものばかりで、評論は絶滅しつつある。もちろん、それも書き手の素直な意見ではあるのだが、ポジティブな意見ばかり述べられては、逆に不安になってこないだろうか? 何か新しい商品を買う時、むしろネガティブな意見を参考にする人は多いのではないだろうか?

 ブログやSNSで誰もが意見を発信できるようになった今、視聴者は非常に賢くなった。誰もが評論家として、ネットサーバーを介して自由に意見を交わし合う。そして議論をする中で、情報の矛盾に気づいてしまい、がっかりすることも多い。正規の情報よりも、口コミなど個人から発せられた生の声を信用してしまうのは、当然の流れなのかもしれない。

■短期間で見えた視聴者が“考える”時代の長所と短所

 こうした中で次々と報じられたニュースは、1億総評論家時代の長所と短所を見事にあぶりだしていたと思う。例えば、不倫疑惑に関しては、もちろん本当ならば許されたことではないが、自分が何かされたわけではないのに特定個人を一致団結して“とことん追いつめてやろう”という雰囲気に、少し恐怖すら感じた。そしてその風潮が生まれた後に報じられるネガティブな情報は、不確定でも全て信じてしまっていることに、どこか危うさを感じてしまう。

 その一方で、国民的アイドルグループ・SMAPに関しては、一致団結して何か形として表すことで“解散を阻止しよう!”と、ファンを中心に奮起。ヒット曲「世界に一つだけの花」の購買運動を行い、結果として2/1付オリコン週間ランキングで12年ぶりにTOP3入りを果たした(他の旧作も急上昇)。海外ではFacebookなどを通して呼びかけたことが大きな力を生んだ、という報道をよく見かけるし、日本でも過去に似たような事例はある。ここまで目に見える実績として示されたことは、1億総評論家時代の“民意のパワー”の強さを改めて感じさせられた。

 何か一致団結してパワーを生むなら、できるだけポジティブなパワーを感じたいもの。2016年はあと11ヶ月、できるだけ明るいニュースを耳にしたいものだ。



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