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“ひな壇番組”の功罪 バラエティ番組はどう変わる?

 一時期、バラエティがひな壇に芸人が並ぶスタイルの番組ばかりだったこともあったが、最近はその勢いが衰えてきている。『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の成功を機に、制作費を極端に抑えられるため、各局がこぞってフォーマットを模倣してきた。ただ、視聴者にも飽きがきたのか、かつての勢いがなくなってきているのが現状だ。

■次第に淘汰されていったひな壇芸人たち

 トークバラエティのスタイルとして、いわゆる“ひな壇バラエティ”はすっかり定番となった。複数人のゲストを出演させる時に、ひな壇であればスタジオセットも組みやすいし、大まかなテーマはあるにせよ、司会の仕切りのもと基本的にはフリートークとなる。何よりも“ひな壇芸人”のギャラは高くても3ケタに届くことはないと言われているため、低コストで面白い番組が制作できるというメリットがあるのだ。そんな理由もあって、ひな壇番組が急増した時期があった。ちょうどネタ見せ番組のブームの終焉や制作費・人件費削減によるロケ番組の減少も重なったことで、各局がこぞって制作。芸人もひな壇を盛り上げるわき役ポジション取りに力を入れ、「ひな壇芸人」なる言葉まで生まれた。そしてトーク術を磨き、キャラクターを確立する芸人が増えていった。

 しかし、あまりにも安易な模倣が続くと、“金属疲労”を起こしてしまうものだ。どのチャンネルを見ても、似たような顔ぶれの芸人たちが出演するひな壇バラエティを放送していれば、視聴者から「つまらない」「面白くない」というネガティブな声が出てくるのも当然のこと。細かい台本を必要としないフリートークには芸人自身に高いトークスキルが求められるが、制作者側がそこをあまり理解せずに安直に芸人にトークを預けすぎてしまった結果、ひな壇バラエティに新鮮さや面白みがなくなり、視聴者が飽きてしまったのだ。

■“ひな壇”に代わって素人いじりのロケ番組活況 一方で同じ状況に陥る危うさも

 制作側もバラエティ番組がひな壇芸人のフリートーク頼みになっている状況に危機感を覚えたのか、ここのところ“脱ひな壇”バラエティの動きが加速しているようだ。例えば、素人を巻き込んでのロケ番組が増えていることもそのひとつ。『吉田類の酒場放浪記』(BS-TBS)や『ローカル路線バスの旅』(テレビ東京)といった番組の成功もあって、『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)の「朝までハシゴの旅」や、ジャニーズタレントがメインの『〜突撃!はじめましてバラエティ〜イチゲンさん』(テレビ東京系)、マツコ・デラックスの『夜の巷を徘徊する』(テレビ朝日系)などオールロケに振り切った番組が支持されるようになっている。

 少数の出演者と素人で成立する番組スタイルは、BPOに引っかからない範囲内で、いかにコストを安く抑えて、ひな壇バラエティに変わるような面白い番組ができるかを追求した結果とも言えるかもしれない。ただ、ひな壇バラエティのように、ヒットすると同じような番組が多発し、混戦状態になるといずれは廃れてしまうことも多い。このままロケ番組が増えていけば、ひな壇バラエティの二の舞になる可能性だってあるのだ。

 なお、ブーム収束により昔ながらのスタイルが復活することも多く、お笑いに関してはひな壇バラエティが衰えると同時にネタ見せ番組が再び力をつけてきた。まず、これまで優勝してもあまりその後のブレイクにつながっていなかった、ひとり芸日本一を決める『R-1ぐらんぷり』出身芸人が、脚光を浴びるようになってきた。あばれる君や本田選手モノマネでブレイクしたじゅんいちダビッドソン、とにかく明るい安村など、上位に入った芸人が今やバラエティ引っ張りだこの存在となっている。さらに今年は5年ぶりに『M-1グランプリ』も復活するなど盛況だ。定期的に潮目が変わるテレビバラエティの世界では、芸人がいかに意識を持って、その“流れ”に順応していくのかが常に問われている。

(文/長谷川朋子)



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