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「演歌男子」台頭で世代交代に拍車? 山内惠介&三山ひろし『紅白』出場による地殻変動

 今年の大晦日に生放送される『第66回NHK紅白歌合戦』に若手男性演歌歌手の三山ひろし、山内惠介が初出場する。いわゆる若手の演歌歌手でこの10年に『紅白』に初出場を果たしたのは2005年の北山たけし、2008年の黒人演歌歌手・ジェロ、2013年の民謡演歌歌手・福田こうへいの3組のみ。王道演歌の若い日本人歌手としては、久しぶりに“新顔”が加わったことになる。ともにここ数年、若手演歌界を引っ張ってきた2人だが、三山は2009年のデビュー時からエースとして注目を集めてきた一方で、山内はデビュー15年を迎える中堅。そんな対照的な2人の若手歌手の『紅白』初出場は、演歌界に何をもたらすのだろうか?

■デビュー作でブレイクした三山、子どもの頃から家計を支えてきた苦労人

 「演歌男子」として若手演歌界をけん引する2人の歌手は実に対照的だ。デビュー前より『NHKのど自慢』など数多のカラオケ大会で注目を集めていた高知出身の三山ひろしは、上京後、作曲家・中村典正氏に弟子入りし、中村氏の妻・松前ひろ子の「LIVEレストラン青山」で働きながら演歌歌手を目指すようになる。「東京の両親」と話す中村氏、松前のもとで修行したのち、2007年に行われた日本クラウン創立45周年記念新人オーディションで準グランプリを受賞し、2009年6月に「人恋酒場」でデビュー。“ビタミンボイス”と呼ばれる昭和の流行歌手を思わせる温かみのある歌声で瞬く間に人気を集め、「人恋酒場」は演歌の新人としては異例の日本レコード協会「ゴールドディスク」(10万枚)にも認定された。最近では“けん玉”を使ったパフォーマンスで注目を集めている。

 三山はデビュー後こそ順風満帆だが、小学生のときに両親が離婚し、家計を助けるために新聞配達をしたり、高校卒業後はいったん地元で就職したりするなど、子どもの頃は大変な苦労を強いられたようだ。しかし、当時、祖父母に演歌を聞かされて育ったことが、結果的には演歌歌手を目指すきっかけとなった。過去に三山にインタビューした際、「“演歌”は日本人の一番身近な音楽。例えばおばあちゃんが演歌を聴いていて、それを見ていた孫が『誰の曲?』と聞くことで会話が生まれて、家庭のなかで物語ができていく。こういう関係希薄な時代だからこそ、演歌がひとつのコミュニケーションツールになってくれることが理想」と話していたが、そんな自身の経験とも重ね合わせているのかもしれない。

■高校生でデビューするもヒットに恵まれなかった山内 北海道でブレイク

 一方の山内は、デビュー後、なかなか一歩抜きん出ることができずに苦労してきた歌手だ。氷川きよしらの師匠として知られる作曲家・水森英夫氏のもとでレッスンを重ね、まだ高校生だった2001年4月に「霧情」でデビュー。デビュー時のキャッチフレーズは「ぼくはエンカな高校生」だ。ただ、「霧情」では総合シングルTOP100入りしたものの、セールス面では長らく停滞の時期が続いていた。そんな彼が飛躍的に知名度を伸ばすきっかけとなったのが、2008年、『NHK歌謡コンサート』をきっかけに北川大介、竹島宏と結成した演歌・歌謡曲ユニット「イケメン3」。情報番組でも取り上げられるほどの人気となった。そしてその人気を決定づけたのが、2009年発売の「風蓮湖」。北海道・根室半島に実在する湖を舞台にした楽曲で、ラジオやキャンペーンなど北海道でのプロモーションを重点的に実施したことで、北海道地区では並み居るJ-POPの強豪を抑えシングル最高3位を記録。山内自身は福岡出身だが、今では道内のラジオやテレビでレギュラー番組を持つほか、道内ツアーも開催している。なお、昨年発売の「恋の手本」、今年発売の「スポットライト」は、ともにシングルTOP10入りを果たしている。

 最近ではファンへの丁寧な対応が様々なメディアで取り上げられているが、やはり彼の武器はファン、スタッフ、マスコミなど、誰に対しても真心をもって接する人柄だろう。デビュー当時からキャンペーンに力を入れてきた中、特に「風蓮湖」以降はショッピングモールでのキャンペーンに注力。その地道な努力が若いファンの心を動かした。本数は年間100本以上。前回のインタビューでは「キャンペーンで歌っているときが一番輝いている気がします。自分の原点」とし、「よく水森先生に言われたのが、お前はデビューが早かったし、内弟子生活もそんなに長くなかったから、お客様に磨かれて育ててもらうんだなって。この言葉をもらって長くなりますけど、本当にその通りだと思うんです。狙ったり、なれ合いでやってたりすると、すぐばれますし、ファンの方に喜んでもらえる歌を歌っていくにはどうすればいいのか、いつも追求しています」と話していた。

 実は三山、山内ともに、ここ数年はオリコン年間ランキングの演歌・歌謡曲でTOP10常連となっていた。例えば三山の「あやめ雨情」は昨年、福田2作・氷川2作・水森かおりに続いて6位を記録。五木ひろしの「桜貝」を挟んで8位に山内の「恋の手本」となっている。売上だけならベテラン勢を凌駕していたのだが、現在、『紅白』の常連となっているベテラン歌手も、基本的にはTOP20内につけてくる歌手ばかり。“演歌枠”が減少していると言われる中で、なかなか若手が入り込むすきはなかった。しかし、当落ラインだったことはおそらく事実で、CS番組『演歌男子。』をきっかけに「演歌男子」というジャンル自体が注目を集めたという追い風もあって、初出場に至ったと考えられる。演歌・歌謡シーンが衰退していると言われる中で、ファンを増やしていくためには若手の投入により新しい風を吹かせていくことは必要不可欠。そういう意味では、2人は演歌界の“新陳代謝”の象徴として、未来の演歌界に希望を与えたと言えるだろう。



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