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ボランティア経験者は就職に有利って本当?

 8月1日から始まった大学生の就職活動も終盤戦。売り手市場と言われた今年だが、人気企業に応募が集まるのはいつの時代も変わらない。希望の企業に入社するために、学生たちはさまざまな“アピールポイント”を身に付けようと必死だ。なかでも「ボランティア経験者は就職に有利」という説は、ひと昔前からまことしやかにささやかれているが、果たして本当なのか? 青年海外協力隊を派遣している独立行政法人国際協力機構(JICA)に話を聞いてみた。

 ボランティア活動の中でも、特に入念な事前準備が必要な海外ボランティアは「就職に有利だから」という気持ちだけでは参加できないもの。なかでも青年海外協力隊は任期が原則2年間ということもあり、学業やキャンパスライフにも大きく影響を及ぼす。そもそも、青年海外協力隊は合格するまでが大変で、語学力のほか“求められている技術や知識”を持ち合わせているかが問われる。応募後は技術審査・語学力審査・健康診断審査が行われ、それらに合格した人が面接を含む二次選考へ。晴れて合格してからも、派遣前訓練が70日程度行われるなど、赴任するまでのステップが多い。

 だが、そんな状況を知りつつも応募し現地に赴任した隊員たちは、現地で培われた問題に対する対応力、度胸などを買われ企業側から求められることも多い。またJICAも、帰国した隊員を対象に進路開拓支援活動を行っているほか、協力隊経験者を採用時に優遇する制度を設けている自治体もあるという。

 では、隊員たちは実際に、どのようなところに就職しているのだろうか。青年海外協力隊員の合格者を多数輩出している摂南大学で、彼らを指導している浅野英一教授に聞いてみると、「経験者の多くは卒業後、中学校や高校の教員になっています。また、海外経験を活かして商社や旅行会社に就職したり、自治体などの公務員になる者も多いです」と語る。

 同大学は2006年度からの9年間で32人の学生を青年海外協力隊として送り出してきたが、この海外ボランティアの経験は、学生たちにさまざまな形で影響を与えていると浅野教授は言う。「自分探しの旅ではないですが学生らは皆、“海外ボランティアに行けば何かが変わるかも”と考えます。しかし、現地に行くだけでは何も変わらないものです」。何も変わらないから帰国後も苦悩の日々は続く。悩み、考えたその先に、自分なりの答えを見出すのだという。

 勉強に対する向き合い方もそのひとつ。「帰国後、休日でも図書館に通って勉強する者もいます」と浅野教授。貧困層や途上国の現状を目の当たりにし、自身の恵まれた環境や当たり前のように勉強ができる喜びを実感しながら、真摯に物事に向き合っていくようになるという。

 海外ボランティアに向いている気質について、JICAは「青年海外協力隊は、開発途上国の厳しい環境のなかで自発的に活動を進めていかなければなりません。開発途上国の人たちと共に活動する過程で、日本では経験できない貴重な経験を積むことができる一方で、言葉や習慣の違い、さまざまな制約、困難に直面するなど、大変なことの方が多いかもしれません。その大変さを、明るく、前向きに、謙虚に乗り越えていこうと努力できる人が向いていると言えるでしょう」と話す。

 JICAがいう“海外ボランティア向きの気質”は、そのまま社会での仕事に通じるもの。語学力や経験はもちろん、海外で鍛えられたこの気質が、就職活動で目に止まる“強み”なのかもしれない。



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