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アイドル卒業後に女優で大成するのは狭き門?

 AKB48出身の前田敦子や大島優子らが、女優に転身しドラマや映画出演を重ねていくなか、先ごろSKE48を卒業した松井玲奈も「今後は女優として、NHK大河ドラマや朝ドラ出演が目標」と発言し、注目を集めた。現在も多種多様なアイドルグループがデビューし、アイドルブームが長期化。それだけに今後もアイドル卒業後、女優を目指すケースは増えそうだが、アイドルとして一時代を築いたとしても、女優として大成できるケースは非常に稀だと言わざるを得ない。

アイドルグループから女優へ転身し成功した元東京パフォーマンスドールで女優の篠原涼子(写真:鈴木一なり)

アイドルグループから女優へ転身し成功した元東京パフォーマンスドールで女優の篠原涼子(写真:鈴木一なり)

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◆篠原涼子や永作博美、満島ひかり……グループアイドルからの成功者は一握り

 アイドルグループから女優転身の成功例としては、篠原涼子(元東京パフォーマンスドール)、永作博美(元ribbon)、満島ひかり(元Folder5)がいる。篠原はTPD卒業当初はソロ歌手と女優を並行。また、グループ時代から『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)などのバラエティ番組に出演し、天然系の明るいキャラがウケていた。だが、30歳で初主演ドラマ『光とともに… 〜自閉症児を抱えて〜』(日本テレビ系)で自閉症児の母を演じて以来、『anego』(日本テレビ系)『アンフェア』(フジテレビ系)など凛とした女性役が続き、女優としてのイメージを確立した。

 永作がいたribbonは、“解散”せず自然消滅。永作自身も明確なアイドル卒業がないまま、童顔もあって『さんかくはぁと』(テレビ朝日系)では、24歳で女子高生役を演じていた。そこから脇役で演技力と存在感を高め、かつ外見は変わらぬまま。『週末婚』(TBSテレビ系)での連ドラ初主演から30代にかけては“可愛らしい大人”の代名詞として活躍。39歳女性と19歳男性の恋愛を描いて話題を呼んだ映画『人のセックスを笑うな』での演技は、彼女ならではと言えるだろう。

 満島はFolder5時代、No.2のポジションだった。グループの活動休止後、初めて出演したドラマは『ウルトラマンマックス』(TBS系)のアンドロイドの隊員役だった。以後なかなか大きい役に恵まれず、映画『デスノート』でも夜神月の妹役で出番は少なかった。だが園子温監督に見出され、映画『愛のむきだし』でヒロインの新興宗教に洗脳される女子高生役に抜擢。鬼気迫る演技で『毎日映画コンクール』で新人賞などを受賞し、一躍注目された。また、ドラマ『Woman』に主演した際は、一部で「演技がリアルすぎて重い」と言われるほどの迫真の演技を披露、今や20代の実力派女優の第一人者だ。

◆ファンに支えられるアイドルから、自ら大衆を振り向かせる女優へ転向は容易ではない

 逆に言えば、それだけ演技力のある満島でさえ、アイドル卒業から『愛のむきだし』まで6年かかっている。篠原のTPD卒業から連ドラ初主演までは10年。永作も女優として評価を高めたのは30代以降だ。極論すればファンに喜ばれればいいアイドルから、不特定多数の視聴者に認められる女優になるのは簡単でなく、本来時間がかかるもの。前田や大島は卒業して性急に数字や演技力を求められ、篠原らが歩んだ“プロセス”が飛ばされているのは少々気になるところ。国民的アイドルグループの元エースとして人気も知名度もあるため、最初から主役級でキャスティングされるわけだが、本人たちにとっては、酷なことなのかも知れない。

 アイドルは年齢的にいつまでも続けられず、現在数多くあるアイドルグループから卒業して「女優を目指します」ということは増えている。しかし、それを当然のコースと考えるのは安易だ。アイドルの競争以上に女優の競争は厳しいし、ライバルもより多い。複数人で人気を得るアイドルグループに対し、女優は個人の力量がより問われる。アイドル時代の経験や人気が力になることもあるが、前田や大島でも「所詮はアイドル」と先入観を持たれることが多く、時には“アイドル出身”はマイナス要素にもなる。篠原らが活躍する裏で、“女優デビュー”が一時的に話題になっても、いつの間にか消えていった元アイドルは多い。

 ORICON STYLEでは、10代から50代の男女を対象に、『アイドルが女優へ転向することに賛成か、反対か?』という調査を実施。その結果、【賛成】が62%、【反対】が38%と賛成論が過半数を上回る結果に。【賛成】の主なコメントとしては、「本人が決めたことなら応援したい」(東京都/20代/女性)、「違った活動が見れるので嬉しい」(千葉県/10代/女性)と新天地での活躍を期待する声や、「いつかは転向するか引退するかなので、ひとつの生き方としては正しいと思う」(東京都/50代/男性)、「いつまでもアイドルではいられない」(岩手県/30代/男性)とアイドルの“賞味期限”をあげ、容認する声もあった。

一方、【反対】派からは、「アイドルとしての才能はあっても女優としての才能があるとは限らない」(北海道/30代/男性)、「演技の勉強をせずに出演して、下手な演技を見せるのは失礼」(京都府/10代/男性)と、いち女優としての演技力を求める声が多かった。また、「女優に転向って気軽に言いすぎ」(大阪府/30代/女性)、「女優が簡単になれるものと思っていることがいや」(奈良県/20代/女性)と安易に転身することへの嫌悪感も見受けられた。

 アイドルは“ヘタでも頑張る”姿が、時に人気を呼んだりもするが、女優は“ヘタ”の烙印を押されたらすぐに替えられる。ファンに支えられるアイドルから、自ら大衆を振り向かせる女優へと目指すならアイドル時代とは違う覚悟と素養が求められる。そして、アイドルは短期勝負だが女優は長期戦。時間をかけても“アイドル”を本当の意味で卒業し、壁を自力で乗り越えて初めて、篠原らのような一流女優への道も開けてくるだろう。

(文:斉藤貴志)

【調査概要】
調査時期:2015年9月8日(火)〜9月11日(金)
調査対象:合計500名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代、50代の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査

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