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華原朋美、16年半ぶり小室哲哉とのタッグで葛藤も「“死んでしまいたい”というワードも…」

 デビュー20周年を迎える歌手の華原朋美が、シングル「はじまりのうたが聴こえる」を5月20日に発売。同作では、「I’m proud」や「I BELIEVE」など、数々の大ヒット作を生み出した小室哲哉とのタッグを16年半ぶりに復活させ、作詞は華原本人、作曲は小室が手がけた。“リアル”を追求した作詞作業での着地点の見えない葛藤や迷走、さらに過去の恩讐を越えてたどり着いた境地を明かす。

◆痛みや苦しみが消えたわけではないが、今は感謝という気持ちに

――新曲は16年半ぶりの小室哲哉さんとのタッグ。制作はどのように進めていったんですか?
【華原】 まかせたほうがいいのかなと思いつつ、「こんな感じの曲がいい」っていうリクエストはしました。でも、小室さんのなかではたぶん、どんな曲調にするのか出来上がっていたんじゃないかな。口に出して言わなくてもわかる部分は大きいし、細かく打ち合わせをする曲作りをしなくてもいいんだなっていうのは曲を頂いたときにすごく感じました。ただ、そこに歌詞を書いていく作業は大変で……。

――書けなかった?
【華原】 最終的にどこに着地するか自分でもわからなかったんです。テーマとして、自分にあったことをリアルに書くということを最初から決めていて。そのために過去のことをひとつずつノートに書いていったんですが、これがキツかった。実は私、精神的に一番苦しかった時期にも、自分の想いを書き出していくという作業をしたことがあるんですよ。

――書くと楽になるっていいますよね。
【華原】 そのときも少し楽になりました、でも、今回の作詞でまた同じようなことを書いていたら、だんだん具合が悪くなってしまって(苦笑)。途中で“死んでしまいたい”とかすさまじいワードも出てきて、これは苦しみもがいて終わる曲になってしまうのかなって。でも、書いていくうちにだんだんと気持ちが変化していって。

――どんな風に?
【華原】 過去に辛いことがあったからこそ、私は今こういう言葉を書けているし、こうして話すこともできる。それはたぶん“華原朋美”にしてくれた小室さんのおかげなんだなって。もちろん痛みや苦しみが消えてしまったわけではないし、忘れちゃいけないこともあるけれど、最後には感謝というところに辿り着けたんです。

◆もがき続けた痛みや苦しみを、小室作曲の曲で書かないといけないと思った

――書いて吐き出すうちに、いろんな感情が浄化されていったのかもしれないですね。
【華原】 そのとおりで、書いてるときは憎しみや苦しみの感情しか出てこなかったり、逆に自分を良い人間に見せたくて優しい言葉だけを連ねてしまったりして、何を書いていいのかわからなくなってしまったんですね。でも、そうやってウミガメが卵を生むように、ひと文字ひと文字書いていく作業をすることで、だんだんと素直になっていって。何年も暗闇の中でもがき続けた痛みや苦しみを、小室さんが作曲してくれたこの曲だからこそ書かなくてはいけない。それが今の私のやるべきことだなと思って書き上げた結果、旅立ち、そして新たにはじまっていくという歌詞に着地できた。そこは自分でも嬉しかったです。

――「ウミガメが卵を生むように」って絶妙な例えですが、書き上げたことで小室さんへの感情も変化しましたか?
【華原】 以前、父から「憎しみの気持ちを持ち続けている人は幸せになれない」って言われてハッとしたことがあって。傷ついた経験や気持ちを消すことはできないけど、それだけで人生を終らせるのはとても惨めでたまらないなと思ったんですね。その想いを歌詞として伝えられたこともよかったし、小室さんもそれを見て「いいんじゃない」って笑顔で言ってくださったみたいなので、たぶんもう大丈夫なんじゃないかなと。

――聞いている側としてはいろいろ感慨深いです……。
【華原】 もう16年以上前の話ですから。その年月の中で私ひとりが過去を風化できない日々を送ってしまったけれど、女性って辿り着いてしまうと急に平気になってしまったりするじゃないですか。

◆小室との再タッグは、いろんな想いを経て、今だからこそできたこと

――16年半の間、小室さんとの再タッグは考えていました?
【華原】 自分が成長する過程の中で、小室さんの曲を二度と歌いたくないと思ったり、逆に小室さんの曲じゃなきゃイヤだと思った時期もあって、それぞれの年代ごとに気持ちの推移はありました。そういう混沌の時代を経て、やっと“今だ”と思ったのが、このタイミングで。そういう意味では本当に「はじまりのうたが聴こえる」は今じゃないとできなかった作品です。

――曲が完成したことで、気持ち的にはすでに次の段階へと進んでいますよね。
【華原】 たぶん、私も小室さんも、おたがいの中で起こったいろんな出来事自体は今はもうどうでもいいんですよ。それよりもアーティストと作曲者という関係の中での真実というか、あるがままの“リアル”を直球で伝えていく。そこを描けるのは小室さんしかいないし、私が詞を書くことでさらにそれが強まった気がしていて。だから今は、これまでの2人の事情を知っているファンの方や先の見えない状況にいる方たちと、この曲を通していい意味で共感しあって前を向いていきたい。その想いは先日、NHKホールでこの曲を初めて歌ったときにも確信しました。

――歌うことで、より曲のビジョンが見えたと。
【華原】 そう。実は実際にこの曲を人前で歌うまでは、自分がどんな気持ちになるのか想像がつかなかったんです。でも歌い終わったら自然と笑顔になって、これは前を向ける曲なんだなって初めて実感できたんです。だから、これから始まるデビュー20周年ツアーも楽しみです。

(文:若松正子)



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  • 16年半ぶり小室哲哉とのタッグを組んだ華原朋美(写真:西田周平)
  • 華原朋美(写真:西田周平)
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