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大衆芸能発祥の地・浅草でロングラン、20代が中心の虎姫一座とは 「歌も演劇もお笑いも」

 昨夏、日本の大衆芸能発祥の地である浅草六区に設立されたアミューズ カフェシアターは、カフェとシアターが融合した劇場。そこでは、20代のメンバーがメインの女性11名、男性2名からなる虎姫一座が、古き良き昭和歌謡のリバイバルをコンセプトにしたレヴューショーをほぼ毎日公演している。

 カフェシアターに一歩足を踏み入れると、ゆったりと落ち着いて食事を楽しめる空間になっている。座席から見渡せる場所にある大きな窓からは、浅草の風景が一面に広がる。しかし、ショーが始まると、その窓を背にしたスペースがステージへと一変するのだ。

 毎日ここで公演をしている虎姫一座は、若いメンバーながら2010年の結成以来、浅草を拠点に通算1400回を超える公演を行ってきている人気と実力を兼ね備えたユニット。レヴューでは、昭和の名曲をメインに歌い、その歌唱力にまず引き付けられる。メンバーは歌を勉強してきた人たちだろうと思いきや、実は彼らの生い立ちは様々。浅草を拠点に機織りのパフォーマンスをしていたメンバーもいれば、太鼓芸能集団・鼓童の出身で日本の伝統音楽を演奏してきたメンバー、民謡歌手、新体操やチアリーディングをしていたメンバーなどで結成されている。メンバーのしゅくは「観に来てくださる方それぞれに思い入れのある昭和歌謡がメインのレヴューだからこそ、大事に歌わないといけない。だから、歌の練習にも力が入ります」と語る。

 この日、そんな彼らのレヴューの最初のパートで歌われたのは、シュープリームスの名曲「ストップ イン ザ ネイム オブ ラブ」やショッキングブルーの「ビーナス」など、日本でも知られたポピュラーな洋楽だった。

 歌だけでなく、第二部は昭和の古き良き家族をモチーフに、映画音楽の楽曲を合わせた「ちゃぶ台ミュージカル」が繰り広げられる。この演目は、俳優の小倉久寛のナレーションとともに進んでいくが、小倉の優しい語り口と、ちょっと懐かしい雰囲気の昭和家族の物語との相性がピッタリ。小倉は、虎姫一座のスタート時からナレーションや映像出演などに関わってきた。

 レヴューの最終のパートでは、懐かしい昭和歌謡のオンパレードに。「情熱の花」「恋のフーガ」などの楽曲や、男性陣の力強い太鼓の演奏、また女性陣のフレンチカンカンなど、華やかな演目が続く。しかし、これだけでは終わらない。ついさきほど力強い太鼓の演奏をみせていた男性ふたりも、女性と同じくキャミソールにスカートという姿で登場。全員でフレンチカンカンの足上げパフォーマンスを繰り広げて、観客をあっと驚かせた。

 その後、キャンディーズの「春一番」や、イルカの「なごり雪」、矢野顕子の「春咲小紅」など、春に関連した昭和名曲のメドレーでこの日のレヴューは締めくくられた。メンバーも客席に降りてきてハイタッチをしたり一緒に歌ったりと、観客との一体感を感じさせるステージになっていた。

 レヴューが終わっても、そのままその余韻を楽しみながら食事が続けられるのもこのカフェシアターの特徴だ。ハンバーグやグラタンなど、味も本格的なのだが、こうした料理をさっきまでパフォーマンスしていたメンバーが作ったり、運んだりしてくれるのもうれしい。レヴューの振付やミュージカルの脚本にメンバーが携わることも多くなっているというが、このカフェシアターができてからは、カフェの厨房に入ったり、ホールを担当したり、受付なども虎姫一座の仕事だ。意外なところでは、棚卸までメンバー自らが行っているという。そんな体制になってからは、虎姫一座のメンバーも、観客からの感想を直接聞けたりするのも楽しみで、活動の励みになっているという。

 前出のしゅくは、「浅草は芸能文化を発信し続けてきた場所。アミューズ カフェシアターでの虎姫一座の公演も、そんな浅草の伝統の火をともし続ける場所にしたい」という。20代が中心の彼らだが、浅草で活動を始めてから、日本の良さを再発見しているとのこと。かつてのバラエティ番組『シャボン玉ホリデー』のように、「歌もあり笑いやコントもありという形態は新鮮だし、昭和の歌謡曲は知れば知るほどかっこいい。そんな文化を、若い世代の人にも知ってもらえれば」と熱く語っていた。



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