フジテレビ系“日9”枠の『オモクリ監督〜O−Creator’s TV show〜』（毎週日曜　後9：00）が、年末年始をはさんで1ヶ月ぶりに放送が再開される。『OV監督』のタイトルで深夜番組ながらコアなファンに熱烈な支持を受け、昨年10月に“ゴールデン”に昇格。その1回目の放送冒頭で千原ジュニアが「短命ですよ」と言い放っていたが、無事、年を越せた。それどころか、番組からヒット作が生まれる兆しも見えている。

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　同番組は、劇団ひとり・ジュニア・バカリズムの3人のレギュラー監督とゲスト監督らが、与えられたお題に関する「オモブイ（面白いVTR）」を作成し、誰のVTRが一番面白いかを競うバラエティー。2度の深夜特番、昨年4月から月曜深夜のレギュラー番組を経て、ゴールデン昇格を機に、『HERO』女優の吉田羊を進行役に、さらに“世界のキタノ”ことビートたけしを審査委員長に据え、新しいコーナーも積極的に試して先鋭的なことをやり続けている。

　ヒットの兆しというのは、例えば、ゲスト監督のロバート・秋山竜次によるオモブイの中で披露された「TOKAKUKA」という歌。テクノ調のメロディーと、さまざまな施設が「都（がやっているの）か区（がやっているの）か？」という内容の歌詞が、一度聞いたら忘れられないと、ネット上でも話題になった。その後、「TOKAKUKA」のプロモーションビデオが作られ、12月にはお台場で“リサイタル”まで開催されたのだ。

　1ヶ月ぶりのきょう25日の放送では、そのリサイタルに密着したVTRを放送し、幻の“2番”がテレビで初披露される。先に行われた収録では、ゲスト審査員のKis-My-Ft2・北山宏光も大ウケ、大絶賛していた。また、歴代No.1作品をたけしが決定する総集編のような内容になっており、初見の人も古参の人も楽しめるはずだ。

■“世界のキタノ”撮りおろし新作に期待

　番組で披露されるオモブイは、あまりのクオリティーの高さに、「本当に芸人たちが作っているのか？」と疑われるくらいだが、塩谷亮プロデューサー（P）は「全部、ガチです」と断言する。

　「ひとりさん、ジュニアさん、バカリズムさん、皆さん、レギュラー番組をたくさん抱えて本当に忙しいのに、時間を割いて取り組んでくださっている。芸人さんにとっては、初出しのネタをテレビで披露してウケるか、スベるかの真剣勝負。番組スタッフは、監督たちがやりたいことを最大限実現するために、持っている知識や経験を提供し、作業を担っているだけ。レギュラー監督の3人をはじめ、クリエイティブな発想をする人の頭の中、考えることってこんなにも面白いのか、その発想の豊かさに、感心させられるばかりです」（塩谷P）。

　もちろん、審査委員長のたけしの批評もガチだ。「たけしさんはVTRが面白ければ大笑いして素直に褒めて下さるし、映画監督的視点、お笑い芸人的視点の両方から『俺ならこうする』と具体的で的確なアドバイスをしてくださる。番組制作に携わる者にとってもものすごくためなっています」（塩谷P）。

　番組を観ているとたけし自身も楽しそうで、「俺もオモブイを作る」とやる気をみせている。新作映画『龍三と七人の子分たち』（4月25日公開）も控えるたけしが、番組のために新たな映像作品を発表するという新展開も期待される。

　いまや、スマートフォンなどを使った動画の撮影が手軽になるとともに、編集という一手間を加えた“作品”の発表を楽しむ人たちが増え、それで生計を立てている人もいる「一億総映画監督時代」（塩谷P）。同番組は、“作品”づくりの面白さに目覚めた人にも参考になるに違いない。

　塩谷Pは「誰でも公式サイトから投稿できる『おもしろ6秒動画』を募集しています。面白い作品は番組内で紹介しますし、『オモブイ』の監督をオファーすることもあるかもしれません。市町村役場の方や大学の学園祭の実行員会など、面白い映像作ってほしいという依頼も受け付けています。映像で面白いことをクリエイトするのがこの番組ですから。浸透するまでしっかり続けて、じわじわ広げていきたい」と話していた。