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能年玲奈、主演作に明暗 『海月姫』と『ホットロード』の違いとは?

 能年玲奈の主演映画『海月姫』が苦戦している。昨年12月27日に公開され、公開週末(土・日2日間)の動員は4万2332人(興収5692万円)で、週末興行ランキング9位止まり。その翌週も9位に留まったが、3週目にしてTOP10から姿を消した。『あまちゃん』ムーブメントから常に世の中の関心、話題を集めている能年に何が起こったのか?

◆『ホットロード』と大差がついたいくつかの要因

 今作は国民的ブームを起こしたNHK朝ドラ『あまちゃん』後の2作目。前作『ホットロード』は昨年8月16日に公開され、同じ2日間の動員は28万4367人(3億8924万2000円)と『海月姫』の約7倍。ランキングも2位だった。その後も好調を続け、最終的には興収25.2億円で年間15位に。能年にとっては『あまちゃん』に続くヒットとなった。それに比べると、『海月姫』の出足は鈍いが……。

 作品の評判は、『ぴあ』の初日満足度ランキングで1位など、悪くはない。能年はイラストレーター志望のクラゲオタクという役で、男子禁制のボロアパートで他のジャンルのオタク女子たちとゆるく暮らしている。そんな日常に女装の美男子と童貞エリートの兄弟が現れて……というコメディだ。

 能年自身がインドアで絵を描いたり洋服を作る趣味もあり、オタク役はハマりそうといわれていた。実際、熱帯魚店で「(クラゲの)クララが死んじゃう!」と店員と目を合わせずゾンビのように押し入るところなど、そのコメディエンヌぶりに笑えるシーンは多い。かつ、後半のオタク女子たちが逆襲する展開には感動もある。肩の力を抜いて楽しめる良作に仕上がっていた。

 それでも『ホットロード』と大差がついたのには、いくつか要因がある。『あまちゃん』後、10ヶ月ほどの空白を経た『ホットロード』公開時には、ファンの待望感が高まっていたのも一因だが、『ホットロード』は“能年新作”1本で推していたわけはない。映画館では、原作(80年代の伝説的コミック)世代や女子中高生が目についた。相手役の登坂広臣(三代目J Soul Brothers)のファンも多かった様子。EXILE TRIBEでも女性人気が高い三代目JSBのなかで、登坂はメインボーカル。彼の俳優デビュー作という側面は、能年の話題の裏で実はかなり大きかった。

 加えて、『ホットロード』は大手の松竹が夏の1本として力を入れていた作品で、全国302スクリーンで公開。製作委員会には日本テレビと系列局も名を連ねていて、主題歌の「OH MY LITTLE GIRL」(尾崎豊)が流れるCMもよく目にした。

◆可愛いだけでない才能の一端を開花させた宣伝活動

 『海月姫』は中堅のアスミックエースの配給で全国216スクリーン。製作委員会にテレビのキー局は入っていない。CMも『パルコ』とのタイアップを打ちつつ、あまり多くは見かけなかった。オタク役の能年はメガネにおでこ全開で出ていて、パッと見で能年と気づかない視聴者もいたかもしれない。劇中の後半では、メイクを施され本来の彼女の美しさに息を呑むシーンもあるのだが……。

 加えて、公開が年の瀬の12月27日で、話題が埋もれた感もある。この時期に上位だった映画は、大ブームのアニメ『妖怪ウォッチ』の劇場版やディズニーの新作『ベイマックス』、それに最大手・東宝の作品群などで、すでに公開されていた人気作ばかり。年末年始は安心して楽しめる作品に足が向きがちだ。とくに、公開3週目だった『アオハライド』が3位と健闘を続けていたのは、若者向きデートムービーとしてターゲットがカブる『海月姫』には、影響が大きかったかもしれない。

 とはいえ、そもそも女優の名前1本で観客を呼ぶことは、今の映画界では難しい。当代きっての人気女優・綾瀬はるかでも、主演した『万能鑑定士Q−モナ・リザの瞳−』は苦戦していた。能年ばかりが注目されがちだが、興行の結果はもちろん彼女ひとりによるものではなく、すべてを背負わせるような論調は酷であり、的外れだろう。『海月姫』は2週目(1月3日・4日)も9位をキープして、いろいろ不利な条件下で健闘したとも言える。

 能年は今回も『海月姫』宣伝のため、数々のバラエティ番組に精力的に出演していた。トークは相変わらず小声でポツリポツリという感じだが、『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日系)の年末企画「芸能人サバイバル大賞」には、共演した篠原ともえとのコンビで参加。離島で2泊3日の自給自足0円生活に挑み、見事に優勝した。

 宣伝の域を超えた番組だったが、能年は『あまちゃん』以来の素潜りで魚や巨大シャコ貝を「獲ったどー!」とノリノリ。潜水用の全身タイツで銛を持っておどけたりもしていた。『海月姫』の取材でも「コメディにたくさん出たい」と訴えていた能年。可愛いだけでない才能の一端は『海月姫』内にも現れていて、今後の新たな展開も期待される。
(文:斉藤貴志)



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