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現代の「医療の現場」はチーム制 教育時の取り組みは?

 女優・米倉涼子が主演する『ドクターX 外科医・大門未知子』が高視聴率をマークするなど、医療ドラマはいつの時代も一定の人気を誇っている。とはいえ、実際の医療現場は多種多様な症例があり、医師1人で抱えるには限界がある。そのため、人気ドラマ『医龍-Team Medical Dragon-』(フジテレビ系)にみられたように、さまざまな分野のエキスパートが集まり、チームで病に対峙していくスタイルを取っている病院が多い。そんなチーム制の現場に対応できるよう、学校教育でもさまざまな授業が行われているという。

薬学部と看護学部の学生たちの連携教育システム「IPE教育」を実践している摂南大学

薬学部と看護学部の学生たちの連携教育システム「IPE教育」を実践している摂南大学

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 「もう薬剤師って、薬を与えることだけが仕事じゃないんです」と語るのは、摂南大学薬学部薬学科長である河野武幸教授。「“この薬を与えているから治る”と従来の薬剤師的発想で考えていては、現実はうまくいかない。患者の中には、心理的な要因で薬に抵抗がある患者がいたり、飲むことを覚えていられない環境の人がいたりと、状況はさまざま。患者の日常生活を無視して質の高い医療を提供することは限界があるのです」(河野教授)。

 そのため、看護や医療など各職のプロが集結して患者の命を救う“チーム医療”が重要となるのだが、学生の間に“チームで動く”という視点を学んでおかないと、現場に出た時に独りよがりな行動をとってしまう恐れがある。そのため、摂南大学では、薬学部と看護学部の学生たちの連携教育システム「IPE教育」を実践。低学年時に基礎をしっかりと身につけたうえで、高学年には診療計画書を薬学・看護協働で作成し一緒に治療計画を立てるなど、合同での作業に慣れるプログラムを多用している。

 「実習で薬学部の方と同じ患者さんについて意見を交換した時、すごく丁寧で細かい意見が出て驚きました。わからないことを薬剤師の方に教えていただいたりして、たくさんの気づきがあったんです。以前は看護ケアしか見えてなかったのですが、お薬についての看護上の注意などは特に新鮮で参考になりました」と語るのは、看護学部の高木裕加さん。

 一方、薬学部の加藤宏樹さんも「薬・看合同のカルテ読解演習では視点が全く違っていたよね。僕たちの場合、どうしても薬や病態にまず目が行きます。でも患者さんたちは、食事やトイレなどを含めた日常生活の中で薬を飲むという動作がある。患者さんたちと多くの時間を共有している看護師さんたちは、僕たちの知らないことを知っています。お互いの意図を理解しあって情報を共有し、伝達の行き違いをなくすことは、医療の正確性に通じます」と連携教育の手ごたえを感じている。

 「IPE教育はみんなで治すという発想です。職域を理解し合うと、融合すべきところと分離すべきところもはっきりする。大切なのは、各医療従事者が患者さんのために倫理観・使命感を共有することですから」と河野教授。単独の教育では得られなかった経験をもとに、学生たちはそれぞれ新しい一歩を踏み出そうとしている。

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