登場以来、急速に市場を拡大させてきたBD市場だが、本年に入り若干、その勢いも緩やかになってきている。こうした市況のなか、長くBD市場をけん引したアニメジャンルでは、旧作のBD BOX商品に、新たに注目が集まっている。

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■NBCユニバーサル・エンターテイメントでは14年年内に一挙16タイトル発売

　エンタテインメントビジネス誌『オリジナル コンフィデンス』に毎月掲載している月間アニメBDランキングTOP10でも、10月度だけを見て『『PSYCHO-PASS サイコパス』Blu-ray BOX』（売上0.8万枚、売上金額2.9億円）、『魔法少女リリカルなのは Blu-ray BOX』（同0.9万枚、同2.9億円）の2作品がTOP10入りするなど、ほぼ毎月1作品は高額のBD BOXが月間1億円以上を売り上げ、上位にランクインしている。

　実際、『機動戦士ガンダム』をはじめ、人気IPを多数持つ、バンダイビジュアルでも、毎月のように、初BD化作品をBOXで発売しており、NBCユニバーサル・エンターテイメント（NUE社）でも「名作アニメ「ハコ買い」キャンペーン」と題し、14年末に一挙16タイトルを発売するキャンペーンを実施するなど、BD市場でBOX商品の存在感が増してい
る。

　全国に113店舗（14年12月現在）を展開するアニメイトの担当者は「ひと口にBOX商品と言っても、一昨年あたりに放送された比較的新しい作品と、すでにTV初放送から10年以上経過した作品があり、特に古いアニメ作品は放送話数も多く、5万円を超えてしまう作品もあります。とはいえ、初DVD化の頃に比べれば、価格も下がっていますし、購買層も40代以上になっており、価格がハードルになるケースは少ないですね」と傾向を説明する。
　また、「購買のモチベーションとなるのは“あの作品がBOXになったのか”という驚きや感動」と説明するのは、神保町、秋葉原に個性的な3店舗を展開する書店・書泉の担当者だ。今回のNUE社のキャンペーンならば『元気爆発ガンバルガー』、『破裏拳ポリマー』等が、そうした作品にあたる。

　「近年はケースもコンパクトになり、ディスク6枚にブックレットがついても、やや厚めの単行本程度にまで抑えられていて、収納しやすく、自宅の棚に並べる楽しみもBOXの魅力の1つとなります」（アニメイト担当者）

　「書泉では、まだ白黒放送だった頃の『パーマン』や、昭和時代の『仮面ライダー』など特撮のBOXも取扱いましたが、どちらも大変好評でした。アニメイトさんとは異なり、当店では“ついで買い”の方も多く、関連の書籍などと並べて展開するなど、店頭で“懐かしさ”を感じていただけるように心がけています」（書泉担当者）

■BD BOXは単巻売りより幅広い層に訴求できる

　両担当者はともに「パッケージの購入から離れてしまった層に、再び興味を持っていただくきっかけになる」とBOX商品への期待を語る。加えて、自宅の棚に並んでいる状態をイメージすることができたり、手に持った時の重量感を味わえるなど、BOX商品はリアル店舗向けの商品でもあり、さらに、「単巻の購買層よりも、幅広い層に訴求できる」
という。

　コアなコレクターズアイテムであることは間違いないものの、一旦、DVDやBDから離れてしまった層へもリーチできるという強みを活かすためにも、書泉の担当者は「作品によってはBDにこだわらず、よりライトなファンの方にもご購入いただけるように、可能な限り価格を抑えたDVD BOXでも良いのではないか、という思いもあります」と語る。

　日本のアニメには素晴らしい作品が多数あり、いまだパッケージ化されていない作品も多い。今後も、発売タイトルが増えていくことが予想され、来年以降、BOX商品が映像パッケージ市場の活性化に寄与していく可能性は高い。

　『アニメイト』／全国に113店舗（2014年12月現在）を展開するアニメ・コミック・ゲーム関連グッズの専門店。
『書泉』／神保町、秋葉原に個性的な3店舗を展開する書店。アイドル・グラビア、コミック・ラノベなどの品揃えが豊富。

（ORIGINAL CONFIDENCE 14年12月15日号掲載）