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アニメ版もヒット『妖怪ウォッチ』 あなどれない小学生の口コミ力

 一連のブームの火付け役ともなったアニメ版『妖怪ウォッチ』(テレビ東京系)。アニメ放送を観た子どもたちを夢中にさせる 、綿密に練られた仕掛けによって、ゲームや玩具は爆発的な売れ行きを見せ、今や社会現象にもなっている。子供たちのツボを刺激するポイントを探った。

アニメ版『妖怪ウォッチ』/テレビ東京系(毎週金曜18時30分〜)/原作:レベルファイブ、監督:ウシロシンジ、シリーズ構成:加藤陽一(C)L5/YWP・TX

アニメ版『妖怪ウォッチ』/テレビ東京系(毎週金曜18時30分〜)/原作:レベルファイブ、監督:ウシロシンジ、シリーズ構成:加藤陽一(C)L5/YWP・TX

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■「昨日観た?」と話題にする小学生の口コミで拡大

 『イナズマイレブン』『ダンボール戦機』に続く、レベルファイブのクロスメディアプロジェクト『妖怪ウォッチ』。ニンテンドー3DS版ゲームは販売本数100万本を超え、関連玩具「妖怪メダル」は本年1月の発売から3ヶ月で700万枚を販売。主題歌「ゲラゲラポーのうた」のシングルは初登場4位を記録(5/12付)するなど、次々とヒットを記録している。ゲーム自体は昨年7月に発売されており、堅調に売上を伸ばしていたが、本年1月にアニメが放送されると、ゲームや関連グッズの売上が急伸長し、一気にヒットコンテンツに成長した。

 アニメは開始当初から視聴率6%台を記録するなど、アニメ作品としては高い数字を叩き出し、その後、水曜19時から金曜18時30分に枠移動した4月以降も安定した視聴率をキープしている。テレビ東京アニメ局局長の川崎由紀夫氏は今回のヒットを次のように分析する。

「この作品はネットやスマートフォンに頼らない、小学生による口コミという極めてアナログな方法でヒットが生まれました。マルチメディア展開を含めたアニメの成功に必要なものは定時視聴と定期視聴。“いつでもその時間にやっている”ということが重要です。リアルタイムで観ることが習慣になると、学校のクラスで作品を話題にするグループが増えていき、人気が一気に広がります」

■キャラクターのわかりやすさとギャグもポイントに

 小学生が自然と話題にしたくなるツボをしっかりと押さえているのもヒット要因に挙げられる。日常生活で起こる出来事が題材となっており、小学校低学年にも分かりやすいギャグがふんだんに使われ、登場するキャラクター名も覚えやすいものが多い。

「子供たちはお笑い好き。くだらないことで面白がります。いくら時代が変わっても子供の気質は変わらないものです。本作も同様で、男女問わず盛り上がっています」

 いつ観始めてもわかりやすいように、30分枠の中で6〜7分の1話完結ものがショートコント風に何本も入るスタイルを取っている。これは「観やすさをより強調した結果」という。こうした工夫もあって、未就学児にも広がり、玩具の売れ行きにも大きく貢献しているようだ。

「こうした現象は『ポケモン』『遊戯王』以来、10数年ぶりの経験ですが、ヒットが拡大していくスピードは早まっている印象です。マルチメディア展開は実はなかなかうまくいくものではないのですが、今回は火の付き方も早かった。レベルファイブと小学館、バンダイと組んだマルチメディア展開はゲームで大人も含めた幅広い層にリーチし、コミックで小学生〜中学生、さらにアニメでは未就学児も意識することで、ファン層を縦へ広げることに成功しました」

 また、川崎氏は「今年に入り、男の子市場が再び盛り上がりの兆しを見せてきたと感じている」とも言う。

「数年前に『イナズマイレブン』等がヒットし、その後、『ジュエルペット』や『アイカツ』など女の子市場でのヒットが続きましたが、4月期からはボーイズアクションもののアニメも増えており、男の子市場は今後も大いに注目していきたいですね」

『妖怪ウォッチ』では、当然、海外展開も視野に入れており、すでにアジアや北米、ヨーロッパから引き合いを受けているという。国内外を含め、この勢いはまだまだ続きそうだ。

(ORIGINAL CONFIDENCE 14年6月2日号掲載)

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  • 小学生による口コミという極めてアナログな方法でヒットが生まれた」と語るテレビ東京 アニメ局 局長の川崎由紀夫氏

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