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「ワンセグ」スタート ケータイでテレビが見れる「ワンセグ」って何!?

 地上デジタル放送のうち、携帯端末・移動体受信機向けのサービスが「ワンセグ」だ。地上デジタル放送、通称「地デジ」は2003年12月1日にサービスが始まったデジタル放送。4月1日からワンセグが視聴できるのは、関東広域圏、中京広域圏、近畿広域圏など29都府県。その他の地域でも地上デジタル放送が始まるのに合わせてサービスを開始する予定で、今年12月までには全国で「ワンセグ」放送が見られるようになるはずだ。
 一方で、ワンセグがどんなものなのか、あまり知られていない面もある。従来からあった携帯電話で視聴できるアナログ地上波のテレビ放送や、他の地上デジタル放送とは何が違うのだろうか。

■地上デジタル放送を携帯端末で見る

 日本の地デジはISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)という独自に開発した放送方式を使っている。1チャンネルを、今までのテレビの電波帯域と同じ6MHz(メガヘルツ)という周波数の幅を利用しているものの、放送波をデジタル化することによって、アナログ放送の4倍以上の情報量が送れるようになる。その6MHzの帯域幅を13のグループに分け、一つひとつをセグメントと呼ぶ。その13セグメントの真ん中の1セグメントを使って、映像や音声、データを送る携帯向けサービスを行うことから「ワンセグ」という愛称が付けられた。

 いま、家庭などに置かれた地デジ対応テレビに向けては、ワンセグ用に確保されている1セグメントを除いた12セグメントを使って、ハイビジョンの高画質番組を放送している。さらに、地デジでは、4つのセグメントを使った標準画質の番組を最大3つ同時に放送することができる。標準画質の番組は、現在のアナログ地上波の番組と同程度の画質になる。ワンセグ放送が始まるまでに視聴されてきた地デジの番組は、ハイビジョン画質(HDTV)か標準画質(SDTV)のどちらかというわけだ。

 ワンセグ放送は、ハイビジョンまたは標準画質の地上デジタル放送と同じ番組を携帯端末にも提供するものだ。同時に同じ番組を流すことから、サイマル放送と呼ばれている。とはいっても、今までにもアナログ地上波のテレビ放送を受信できる携帯端末は、携帯電話からカーナビゲーションシステム、携帯テレビ、ポータブルDVDプレーヤーなどまで数多くあった。これらのアナログ放送受信テレビと、ワンセグ端末は何が違うのだろうか。

 アナログ放送は、電波が届く範囲でもビルが多い場所や山間部などでは画面の二重写り(ゴースト現象)が起きたり、ノイズが乗って番組が見にくくなることがある。これに対して、ワンセグはデジタル放送であり、データの受信を補正する技術が搭載されているので、安定したきれいな映像の放送を視聴することができる。同様にクルマでの移動中やビル内など、アナログ放送が不得意としている場所でも安定した映像を受信できるようになる。

 また、ワンセグならではの特徴として、独自のデータ放送が利用できる、狭い放送帯域を使うので機器の消費電力が少なくてすむ、といった点が挙げられる。一方で、ワンセグには、通常の地デジ放送に比べて画面解像度が低く、秒当たりの表示コマ数が少ないといった、携帯向けサービスとしての限界もある。電波が入らなくなると、突然放送が切れたり、デジタル波特有のブロックノイズが出る場合もある。

 また、アナログ地上波に比べて画質はいいのは間違いないが、携帯電話など小画面の端末で受信することが前提である以上、画質面の制約はある。

 地デジのハイビジョン放送はデータ量は17Mbps程度であるのに対して、ワンセグでは300Kbpsぐらいの伝送量になる。データ量としては50倍以上の差があるわけだ。

 解像度で比較すると、フルハイビジョンといわれる1080pの解像度は1920×1080ドットであるのに対して、ワンセグ放送の解像度は320×240ドット(4対3の映像)または320×180ドット(16対9の映像)と低いため、テレビの画面などに大きく引き伸ばすと、画像のエッジがにじんで、ぼやけた映像になってしまう。

 ただ、一般的なハイビジョン受信端末に比べて、ワンセグ放送が想定している携帯電話などの端末は表示画面は小さいので、解像度の低さなど、それほど気にならない程度の画質といえるだろう。

 さらにデータ量が小さいということは、受信機が処理する情報も少なくてすむということだ。データ処理量が少なければ、それほど高性能のCPUは必要なくなり、消費電力を抑えることができる。最終的には、携帯電話などのような受信機器のバッテリー駆動時間を延ばすことにもつながるのだ。画質はある程度妥協し、デジタル放送を携帯端末で見るために現実的な対応をしたのがワンセグなのである。

 当面は、地デジの番組をそのまま携帯端末向けに放送する(つまり、大半はアナログ地上波と同じ番組になる)ことになるワンセグだが、技術的に、サイマル放送しかできないということではない。これは、各放送局が総務省から受けた免許基準で決まっているためで、テレビCMに関してもワンセグだけを別のものに差しかえることはできないからだ。

 しかし、放送免許は5年に1度の更新で、前回は2003年に交付されている。次回の更新の2008年には、サイマル放送という枠は外されるかもしれない。

■放送開始に合わせて、ワンセグ対応製品を相次いで投入

 4月1日のワンセグ放送開始に合わせて、携帯電話キャリア3社はワンセグ対応製品を相次いで投入している。

 NTTドコモはパナソニック モバイルコミュニケーションズ製のFOMA端末「P901iTV」、au(KDDI)は三洋電機製の「W33SA」と、日立製作所製の「W41H」の2つのCDMA 1X WIN端末を発売済み。また、ボーダフォンはワンセグ開始時には間に合わなかったものの、6月にシャープ製の3G端末「905SH」を発売する。テレビ視聴を考慮して、液晶サイズは2.4インチから2.7インチと大きめだ。テレビ視聴時間は3時間程度のものが中心だ。映画やスポーツ番組でも視聴できる駆動時間だ。

 パソコンでは、ソニーがカスタマイズ専用の「VAIOオーナーメードモデル」でワンセグチューナー搭載の携帯ノートパソコン「VGN-TX91PS」を発売している。パソコンでは、ワンセグチューナー搭載モデルはこの製品だけだ。

 ポータブルDVDプレーヤーでは、松下電器産業が「DVD-LX97」を発売した。従来も、アナログ地上波対応の製品はあったが、それをワンセグ対応にしたものだ。

 ほかにも、パイオニアが地デジ対応のカーナビゲーションシステム「GEX-P7DTV」でワンセグ放送の受信が可能になる「バージョンアップサービス」を行っている。

 これら発売済み製品以外でも、任天堂が携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」で、ワンセグ受信機を年内に発売する予定だ。ゲームソフトを入れるスロットに受信機を差し込んで使うもので、2つの画面のひとつにテレビ番組を映し出し、もうひとつにチャンネルを表示する。具体的な発売時期や価格は明らかになっていないが、出荷台数の多いゲーム機のオプションのため、ワンセグ普及に貢献することが予想される。

 これらはまだワンセグが始まる前に発売されたもの。4月1日以降には、ワンセグ対応製品がどんどん登場するのは間違いない。

 
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