観に行きたい映画は『ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ』、読んでいる本は橋本治の『二十世紀』、いろいろなファッションに興味がある──若手の演技派女優として世界から注目を浴びている二階堂ふみは、独特な個性があってどこか大人びている。そんな彼女が1年前の『ヒミズ』撮影をふり返りながら17歳の今を語る！

10年後、20年後に伝わればいいな

• 

• 

──ヴェネチア国際映画祭でのマルチェロ・マストロヤンニ賞（最優秀新人俳優賞）受賞について、当時はどんな気持ちだった？どんな感動があった？
二階堂急にワーッと注目を浴びたので、最初は「急になんだよ、大人って！」と思っていました（笑）。だけど、純粋に嬉しかったですね。それまで世界へ行きたいと漠然と思っていたのが、分かりやすく目に見える形となった瞬間でもあったので。それから、自分は「ここに行きたい」という目標が少し明確に見えた感じもしていて。“ここ”がどこなのかは今は言えないんですけど、10年後、20年後に「二階堂ふみは、あのときあそこに行きたかったんだな」って伝わればいいなって思います。

──受賞後はもっと仕事が忙しくなっていると思います。学業と女優業の両立は大変？
二階堂現場と学校とのギャップが大きくて、自分がどこにいるのか分からなくなるときもあります。でも、学校があるから映画がある、どこかでつながっていると思っています。砂漠と湖みたいに。高校卒業後の進路は……今のところ大学に行きたいです。

──『ヒミズ』で母性ある中学生を演じたことで二階堂さん自身に変化はあった？
二階堂私はまだ17歳なので、この撮影で母性を感じて演じられたのは、ある意味奇跡に近いことだと思うんです。現場を離れると、今の自分には母性は必要ないので、もしかしたらもうなくなってしまったのかもしれないけれど、またそういう役がきたり、結婚して子どもが産まれたりしたときに、きっと何倍にもなって返ってくるのかもしれないですね。変化という意味では、いろんな人から『ヒミズ』があったから今の私があるというふうに言われるんですけど、もちろんそれもあります。でも、それが全てではなくて。『ヒミズ』は私にとって通過点のひとつで、それをいつまでも引きずることはできない。次に進まなくてはならないと思っています。

映画、本、食事…今興味を持っていることは!?

• 

• 

──前回のインタビューでは『ムカデ人間』が好きと聞いて驚きましたが（笑）、最近はどんな映画に興味を持っている？
二階堂最近はなかなか時間がなくて映画館に行けていなんですけど、イメージフォーラムで『ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ』をやっていて、あれは絶対に行きたい！もうすぐ公開の『ムカデ人間2』ももちろん興味あります（笑）。予告映像を観て、いっぱいつなげるんだったら、みんなつなげて平等にしちゃえばいいのにって思ったりしますけど。

──ほかに今興味を持っているものは？食べ物、本、ファッション……何でも。
二階堂和菓子が好きなんです。今は（撮影が控えているので）ガマンしなくちゃいけないんですけど、終わったら和菓子を食べたいです。

──本は何を読んでいる？
二階堂自分と似ているとよく言われる知り合いに薦めてもらった、橋本治の『二十世紀』を読んでいます。20世紀がどういう世紀だったかという世界史を詳しくしたような感じのものすごく分厚い本。気分によっては違う本を読んだりもします。でも、現場に入っているときは本は持ち込まないです。

──今日の衣装はシックで大人な感じですね？
二階堂いろんなファッションが好きで、いろいろ着てみたいんですけど、今日の衣装はとくに大好きです。でも、森ガールみたいなファッションは苦手。アンチがいない服装は嫌いなんです（笑）。

ヘアメイク：池上豪／スタイリスト：望月恵
衣装協力：FOR flowers of romance（045-402-2915）naughty（03-3793-5113）

⇒　前のページへ 【ムチムチするように体重を増やした】
（文：新谷里映／写真：逢坂 聡）

関連リンク

・撮り下ろしフォトギャラリー
・PROFILE
・DVD公式サイト