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橋本愛 SPECIAL INTERVIEW 女優をやっていてよかった――出会いから実感できる瞬間
私の父親に似ている部分もあるんです(笑)
【橋本】 作品のテイスト同様明るかったですね。福田監督自身も冗談を言ったりしながら、わいわい進めて行った感じでした。
──父・シズオ役の堤真一さんと、祖父・志郎役の石橋蓮司さんとは共演シーンも多いですね。
【橋本】 そうですね。3人の食事シーンとか、家のなかのカットもけっこうありました。現場での堤さんは、役柄のようなおもしろい表情で楽しませてくれたりすることもありましたけど、基本的にはいつもフラットで自然体の方。温かい空気で和ませてくれました。お話もさせていただいたんですけど、優しい方だなという印象が強いです。もちろん石橋さんともいろいろ世間話とかをさせていただいていました。居心地よく、楽しく過ごすことができた現場でした。
──42歳、バツイチで子持ち。「本当の自分を探す」と勢いで会社を辞めちゃうシズオですが、ああいう父親ってどう思いますか?
【橋本】 うーん……人柄としてはわりと私の父親に似ている部分もあるんですよね。仕事やめて「マンガ家になる」って言っちゃいそうなタイプ(笑)。父はいつも冗談ばっかり言ってるユニークな人なんです。
──まさか身近に似た方がいたとは……(笑)。でもシズオほどふりきれたダメ男となると、一味もニ味もちがいますよね。そんな父と暮らす鈴子という役は、演じるうえで難しい点はありましたか?
【橋本】 父を見る目線ですね。どういう気持ちで父のことを見るかという点は考えました。おじいちゃんが「鈴子はシズオのことを諦めている」という風なことをいう場面がありますけど、鈴子の本心はわからない。本当に諦めているのかどうか、自分なりに感情を探る作業をしました。表面を明るく見せるだけじゃないコメディの奥深さを、そういう角度から考えるようにしていました。
──そういった鈴子の感情をスクリーンに投影するためにとくに意識したことは?
【橋本】 シズオのことを5歳児だと思い込んで演じていました(笑)。
観る人によって思わぬトゲを持ち帰ることも
【橋本】 知らないおじさんだったら「常識ないな」って思って終わりですけど(笑)、父親だから、鈴子も貸してあげちゃうんです。そのためにバイトをしているくらいだから、父親思いですよね。
──ちなみに先ほどシズオとお父さんが似ているとおっしゃっていましたが、最近は熊本にいるそんなお父さんとお話されたりしましたか?
【橋本】 祖母と母とは毎日電話をするんですけど、父は忙しいので、時々しゃべる程度ですね。たいていそのとき公開されている作品のこととかを聞かれるかな。「反響どうだった?」とか。毎日父のことを考えているわけじゃないんですけど(笑)、仲はとてもいいんです。ストレートにいろいろ言い合える関係ですね。
──女優の仕事をしていると、役といえど様々な家族を経験できますよね。この仕事ならではのおもしろさ。
【橋本】 確かにそうですね、今まであまり考えたことありませんでした。今、朝ドラ(NHK連続テレビ小説『あまちゃん』)に出演させていただいていますけど、そこでもまた別の家族を経験させてもらっています。家族役に限らず、共演者の方々との出会いには、「この仕事をしていてよかった」と実感できる瞬間を与えてもらっているので、本当にありがたいです。
──女優をしてよかったと実感する瞬間というのは?
【橋本】 一緒にお芝居をしていて、感動したときです。笑わせてもらったり、苦しませてもらったり、心を動かしてもらったときですね。私自身はおもしろいタイプではないので、笑いは自分からはしかけられないんですけど。
──日々現場でいろいろな刺激を受けているんですね。それでは、最後にメッセージをお願いします。
【橋本】 この映画は、ライトな気分で観られる作品だと思うんです。でも、観る人によって思わぬトゲを持ち帰ることも。登場人物の誰に感情移入するかによって、ずいぶん感じ方もちがう、深い作品だと思います。だから、みなさんそれぞれの角度で作品を堪能していただければと思います。
(文:奥浜有冴/撮り下ろし写真:逢坂 聡)
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