Tik Tokの“なかの人”が語る「め組のひと」ヒットの背景
ダウンロード数は世界で約2億 日本のユーザーの66%が動画を投稿
音楽業界では、近頃の倖田來未「め組のひと」のヒットを生んだプラットフォームとして注目を集めている。同曲を使った動画はTik Tok内だけでも再生回数2億5000万超、投稿数55万4000件超(18年7月現在)と今年春から起こったムーブメントと考えれば、これがいかに爆発的な数字かわかるだろう。
このブームは「仕掛けではなく、まったくの自然発生」
「Tik Tokは基本的にユーザージェネレイティッドコンテンツ(以下UGC)であり、ユーザーが作った動画をユーザーがシェアや“いいね”をすることで、大きなムーブメントへと育っていくのが通常です。『め組のひと』もリリースは2010年と決して新譜ではないですし、ブームの起点も1人の“とあるユーザー”の投稿だったと考えられます。楽曲を高速再生して、面白さや可愛さを演出するという意外性のあるアイデアもまさにUGCならではですよね」(井藤氏/以下同)
“とある1人のユーザー”の1投稿がなぜここまでのバズを起こし得たのか。井藤氏は楽曲や振付のキャッチーさに加え、Tik Tokならではのエンゲージメントの高さを指摘する。
「Tik Tokの月間アクティブユーザー数が世界で約2億(7月時点)。日本のユーザー(ユーザー数非公表)の66%が動画を投稿しており、さらに90%以上がシェアやコメント、“いいね”をしているといった非常にアクティブな使われ方をしています。SNS内でのコミュニティを大切にし、そこでの流行を信頼し、自分もこの流行に参加したいという現代の若者の趣向にTik Tokはマッチしたのだと思います」
過去に発生したTik Tok内での主なブーム
再生回数:1億2000万回超/投稿数:2万9000件超
【#だれでもダンス】
再生回数:5億3000万回超/投稿数:16万7000件超
【倖田來未「め組のひと」】
再生回数:2億5000万回超/投稿数:55万4000件超
※2018年7月現在
音楽アーティストとの連携キャンペーンも増加
「国内でもピコ太郎さんやDA PUMPさん、倖田來未さんなどといったプロモーション活用事例が徐々に増えてきました。また韓国のYGエンタテインメントとはグローバル契約を結んでいて、BLACK PINKはPVではなく、自分たちの新曲を使った面白動画を限定配信するなど、Tik Tokユーザーにとって特別感を感じてもらえるような活用をされています。ユーザーはTik Tokをパーソナルなツールとして捉えてくれているので、上手に活用していただくことでアーティストとユーザーの深い関係を築くのにも貢献できるのではないかと思います。また、通常の動画は15秒ですが、公式アカウントを取得すると30秒の動画が配信できるようになります」
なお、現在のユーザーは圧倒的に中高生だが、次なるボリュームが来るのは「20〜30代のミレニアル世代」であると井藤氏は予測する。
「すでにInstagramerと呼ばれる方々がTik Tokに興味を示しているのを感じています。やはり自分を可愛く盛れるTik Tokの機能は、この層にとって魅力なのでしょう。今後は各企業さんとのパートナーシップがさらに進んでいくと思いますが、一番重要なのはユーザーにとってパーソナルなツールであり続けること。UGCとしての原点を見失わずに、このプラットフォームを日本でも育てていきたいと思います」
日本では2017年夏にサービスを開始し、若い世代を中心に人気となっているショートムービーアプリ。ユーザーは個性溢れる動画を撮影し、多彩なフィルターやエフェクト、ユニークな音楽を活用して編集し、約15秒のオリジナルビデオとして友達にシェアすることができる。
中国でのサービス開始以来、日本、韓国、東南アジアをはじめとする多くの国・地域で人気を博している。グローバルでのユーザー数:2億人を突破。