- ──初舞台ということで、不安になったりはしていませんか?
- 【長澤】 やるって決めたときはすごく不安だったんですけど、今はもう稽古に入るのも本番に入るのも楽しみだなぁって思えるようになりました。年女なので、今年は自分にとっていい節目なのかなって思っていて(笑)。これまでできなかったことにいろいろ挑戦できることになっているので、一つひとつを楽しみたいと思っています。
- ──どういう物語なのか、まだほとんど明らかにされていませんね。
- 【長澤】 私もまだプロットしか読んでいないので、物語についてはあまり詳しくわかっていないんです(笑)。私の役は結城という女流作家なんですけど、作家さんというともう少し年上なイメージを持っていたんですね。まだ自分には早いんじゃないかな、私で大丈夫かなと。でも、世の中には若い作家さんもいるわけですから、私ぐらいの年齢の作家ということで思い切り演じられたらなと思います。台本ができたら全然違う年齢の設定になっているかもしれないですけど(笑)。
- ──タイトルが『クレイジーハニー』ということですが、長澤さんの役がクレイジーなんですか?
- 【長澤】 突拍子もないことをやり始めるところが、わかりやすくクレイジーですかね。自分の思っていることをぶちまけてしまうような感じの子で、ちょっと皮肉っぽくて、考え方が他の人とずれているんです。自分と似ているかなと思うのは、ちょっと悲観的なところですね。他にも共通点がけっこうある気がするので、友だちには「あんたじゃん」って言われそうです(笑)。ただ、結城は悲観的で残念だなと思う反面、そこがかわいいなとも思われるような人物だと思うんです。女性の誰もが持っているような“根”の部分が描かれていると思うので、そういうのをうまく表現できたらなと思っています。
- ――もともと舞台をやってみたいと思っていたんですか?
- 【長澤】 舞台を観るということそのものが楽しくて大好きです。終わった後に知り合いの俳優さんたちに挨拶に行くと、皆さんすっきりした顔をしていて、すごく達成感や充実感があるんだろうなというのを感じていました。どうしたら舞台に出られるんだろうなぁって思っていた頃に、たまたまお話をいただいて。なかなかお話をいただく機会もないと思ったので、挑戦したいって思いました。
- ──本谷有希子さんは、女優さんの新しい一面を引き出す演出家だと言われています。そういう方とお仕事するのはいかがですか?
- 【長澤】 長澤まさみっていうと、一緒に仕事をするときにかまえる方もいらっしゃるんですね。本谷さんもきっと心配していると思うんですけど、こういう場に呼んでもらえたわけですから、気付かないうちに人に気を遣わせちゃうような存在になってしまった自分を、もう少し開けていけたらいいなぁって思うんです。とくに本谷さんは開いていってくれそうな気がするのですごく楽しみです(笑)。それと、本谷さんにダメ出しばっかりされるんじゃないかと心配していたんですけど、先日のポスター撮影で誉めてもらえたのでうれしかったです。本番でも誉めてもらえるようにがんばります。
(文:岡 大/写真:逢坂 聡)