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堀内賢雄、ブラッド・ピットの吹替を担当して25年「どれもこれも難しい」

ブラッドピットの吹替を25年担当している堀内賢雄 (C)ORICON NewS inc.

ブラッドピットの吹替を25年担当している堀内賢雄 (C)ORICON NewS inc.

 25年間ブラッド・ピットの日本語吹替声優を務める堀内賢雄。映画『ブレット・トレイン』(9月1日公開)のプロモーションのため、3年ぶりに来日したブラッド・ピットと、8月23日に京都で行われたジャパンプレミアで初対面を果たした。作品を通して、ブラッド・ピットの魅力に触れてきた堀内に、映画『ブレット・トレイン』の見どころや、印象に残っているブラッド・ピット作品について聞いた。

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――初めてブラッド・ピットを観た作品は?

堀内『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年、日本公開は93年)だったと思います。こんなに美しい俳優さんがいるなんて、という印象でしたよね。作品もすばらしかったです。監督のロバート・レッドフォード(1970年代にハリウッド屈指の美男俳優として活躍)は自分の再来だと思って、主演の一人に起用したのかな、(ロバート・レッドフォードに)似ているな、と思ったのと、こういう二枚目の役はまず僕に来ることはないだろうな、と思ったことを覚えています。
――初めてブラッド・ピットの吹替を担当した作品は?

堀内『スリーパーズ』(1996年)だったと思います。少年院で性的虐待を受け、心に深い傷を負ったまま大人になった4人が、それぞれの方法で看守たちに復讐していく話。フジテレビの『ゴールデン洋画劇場』(1999年4月放送)でした。それから、『12モンキーズ』(1995年)、『ファイト・クラブ』(99年)、『セブン』(95年)(※順不同)と立て続けにやらせてもらえるようになったんですが、ブラッド・ピットの方から意識的に爽やかイケメン路線から外れていったような気がして、それを機にやらせてもらえるようになったかな、という気がしています。

 何、この路線変更は?というくらい変わっていくじゃないですか。単にカッコイイと言われるんじゃなくて、演技で評価してもらいたいんだ、という思いがあったのかな? 20代の若さで自分の演技の幅を広げていった。お芝居が好きなんだろうな、と思いました。あの見た目でこの狂気さって合うのかな?と思うような、難しい役どころばかり、あえて選んでいるのように思いました。吹替するのもどれもこれも難しくて、それで25年、やらせていただいています。

――どのように役作りをしているのですか?

堀内いままでブラッド・ピットの吹替をやってきたから、ということはあまり関係ないんです。彼自身、作品ごとにガラッと変わるから、ブラッド・ピットじゃなくて、劇中のキャラクター、『ブレット・トレイン』だったらレディバグという役をどう演じるかで、勝負しないといけない。

 それが一番大事なんですが、でもブラッド・ピットなんです。やっぱり彼はカリスマであり、スターであるから、芝居を重視するあまり、これまでのブラッド・ピット本人のイメージとかけ離れすぎてしまうと、またちょっと違うものになってしまう。そのさじ加減が難しいな、と思いながら芝居をしています。
――『ブレット・トレイン』のレディバグはどんなキャラクターだと思いますか?

堀内情緒不安定で少しメンタルを病んでいて、いつも不安。そういった部分が出てくると、かわいく見えてくるんですよね。僕も演じながら、かわいいな、って思えるキャラクターでした。ところがピンチに陥って開き直ると、むちゃくちゃ強い。ここだけは踏ん張らなきゃいけないってところは頑張るけど、それ以外は弱気だし、愚痴ってばかりだし、けっこうへなちょこ。そのギャップがかわいいんでしょうね。レディバグの強さというのは、格闘家のような力強さというより、一生懸命な強さ。なんとかしなきゃという必死さとのバランスが絶妙で、とてもかわいいキャラクターになっていると思います。

――原作は伊坂幸太郎さんの小説『マリアビートル』ですが、映画の見どころは?

堀内東京発・京都行き、時速350キロで爆走する超高速列車を舞台にしているというのもあるけれど、一番、いいなと思ったのは、終盤に向かってハリウッド要素が強くなっていく中でも、伊坂先生の原作を大事にしてくれているな、と思えたところ。家族の絆、人と人とのつながりをしっかりと描いているので、伊坂ファンにも、日本人にも受け入れてもらえるんじゃないかな。みんな守らなければいけないものを守っていて、そこに絆がある。テーマとして、それぞれ大事にしたいものがあるというのは、日本人にもウケるんじゃないかと思う。

 ギャグ的なところも、殺し屋の一人、レモンが「きかんしゃトーマス好き」という原作そのままの設定やせりふをうまい具合に取り入れていて。すべてのキャラクターが十人十色、すごい個性を持って登場してくるところにも原作へのリスペクトを感じます。

映画『ブレット・トレイン』2022年9月1日公開

 世界一運の悪い殺し屋レディバグが請けたミッション、それは東京発の超高速列車でブリーフケースを盗み、次の駅で降りること。簡単な仕事のはずが、次から次へと乗ってくる身に覚えのない殺し屋たちに命を狙われ、降りたくても、降りられない。最悪な状況の中、列車はレディバグと殺し屋たち、10人を乗せたまま終着点・京都に向かうが…乗り合わせたはずの10人は、偶然ではなく、仕組まれた罠だった。やがて明らかになっていく、殺し屋たちの過去と因縁。そして終着点で待ち受ける世界最大の犯罪組織のボス=ホワイト・デスと対峙したとき、思いもよらぬ衝撃の展開が待ち受ける!

 伊坂幸太郎のベストセラー小説「マリアビートル」(角川文庫)を、ブラッド・ピット主演×『デッドプール2』監督でハリウッド映画化。ノンストップでド派手なアクション・エンタテインメント。
原題: BULLET TRAIN
原作:伊坂幸太郎「マリアビートル」(角川文庫刊)
監督:デヴィッド・リーチ
脚本:ザック・オルケウィッツ

出演:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之、マイケル・シャノン、バッド・バニー(ベニート・A・マルティネス・オカシオ)、サンドラ・ブロック
日本語吹替版声優:堀内賢雄(レディバグ)、山本舞香(プリンス)、津田健次郎(タンジェリン)、関智一(レモン)、木村昴(ウルフ)、井上和彦(エルダー)、阪口周平(キムラ)、立川三貴(ホワイト・デス)、フワちゃん(ホーネット)、米倉涼子(マリア)

上映時間:2時間6分
レーティング:R15+
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

公式サイト⇒(外部サイト)

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