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見逃していたらもったいない! 近年『百想芸術大賞』で受賞した名作韓国ドラマ3選【ハングクTIMES Vol.56】

ハングクTIMES
K-POP、ドラマ、映画などさまざまエンタメコンテンツが盛り上がり、まさに時代は“第4次韓国ブーム”。現地の最新トレンドや話題のドラマ・俳優、グルメ・ファッション・コスメなど…“今”気になる韓国情報をお届けします!
きょう6日夜開催となる韓国のゴールデングローブ賞『百想芸術大賞』。毎年誕生する多くの韓国ドラマの中で、チャンネル問わず、芸術的に高評価された韓国ドラマが選ばれる見逃せない注目の授賞式です! 本記事では、そんな百想で近年作品関連の賞を受賞した、名作韓国ドラマ『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』、『椿の花咲く頃』、『怪物』の3作品をご紹介します! 「韓国ドラマ史に残る名作」と謳われている作品ばかりなので、是非チェックしてみてください。

『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』

本作は、過酷な人生を歩んできた一人の女性と、人生の重さに耐えながら生きるおじさん三兄弟が出会い、お互いの人生を癒やしていくヒューマンストーリー。建築会社で働くドンフンは、差出人不明の5000万ウォンの商品券を家族のためにうっかり受け取ってしまいます。窮地に立たされたドンフンですが、派遣社員ジアン(IU/アイユー)の画策で商品券はゴミ箱から発見され、逆に“大金を捨てた男”として評価が上昇。実はジアンは、ドンフンの妻ユニ(イ・ジア)と不倫関係にある社長ト・ジュニョン(キム・ヨンミン)からお金をもらうため、ドンフンを陥れようとスパイをしていました。そうとは知らず、ジアンがさまざまな事情を抱えていると知ったドンフンは、ジアンを助けるようになります。ドンフンの優しさに触れるたびに、ジアンの心は少しずつ揺らぎはじめていきます。
本作の登場人物は、ドンフンは職場、家庭の問題に苦しみ、ジアンは多額の借金を抱え、身体の不自由な祖母の世話に追われる日々、ドンフンの兄と弟は生計や未来の問題に苦しむなど、皆さまざまな事情を抱える大変な人々。生きることのやるせなさや虚しさが、画面を通してひしひしと伝わってきます。日々平凡にまっとうに生きていても、誰もがぶつかってしまう人生の壁。本作は私たちと同じように皆がそれぞれの痛みを抱えながらも、支え合い、懸命に生きていることを示し、「それでも大丈夫」と大きな慰めを与えてくれる作品なのです。
序盤は、目を背けたくなるような人生の暗い部分の描写と、重くどんよりした雰囲気に挫折しそうになる人も多いかと思いますが、後半は人と人のつながりや優しさ、幸せについて考えさせられ、「ファイティン!」の一言にじんわりあたたかい涙が流れる…大変な今を生きる全ての人におすすめしたい宝物のような一作です。
本作を執筆した名脚本家、パク・ヘヨン作家の新作『私の解放日誌』が、現在日本でも配信されているので、こちらも是非チェックしてみてください! 名作『まぶしくて ―私たちの輝く時間―』のキム・ソクユン監督との名作メーカータッグで、穏やかな物語の中にも人間の揺れ動く感情を繊細に描き出し、大きな共感と感動の物語を紡ぎ出しています。
▼配信情報
U-NEXT、Netflix、Prime Videoほか配信中

『椿の花咲く頃』

2020年の百想で、日本でも大ヒットを記録した『愛の不時着』や『梨泰院クラス』を抑え、TV部門の最高賞、大賞を含む四冠を達成した『椿の花咲く頃』。本国では20%を超える高視聴率を記録し、「ドラマ史に残る名作」と謳われる一作です。
田舎の村オンサンで若い女性のドンベク(コン・ヒョジン)は、“カメリア”というパブをオープンすることに。幼い頃、母親に捨てられた傷を抱え、8歳の息子ピルグ(キム・ガンフン)を育てるシングルマザーのドンベクは、オンサンの人々の偏見の目にさらされながらも、一直線で誠実な警察官ヨンシク(カン・ハヌル)と出会い、熱心に求愛されるうちに、徐々に心を溶かしていくように…。本ドラマはドンベクとヨンシクの恋愛物語、オンサン村の住民との友情、そして“ジョーカー”と呼ばれる謎の連続猟奇殺人犯という存在が絡み合う複合的なストーリーが展開していきます。
なんと言っても本作の魅力は、ロマンス、コメディー、サスペンス、田舎町を舞台に繰り広げられる温かな人間ドラマまで、目まぐるしくさまざまなジャンルが絡み合っていく実に見応えあるストーリー。遺体発見現場の衝撃的なシーンからスタートし、「誰が殺されたの?」「犯人は誰なの?」というミステリー要素にハラハラドキドキしつつも、心安らぐ田舎町を舞台に繰り広げられる濃厚な人間ドラマに思わず涙ぐんでしまう。ロマンスにキュンとしていたり笑っていたかと思えば、突然鬼気迫る展開が繰り広げられるため、ラストまで夢中になってしまうのです。
そして険しい世の中で、自分の価値を忘れた人々が、周囲の人々の応援と励ましを通して自我を取り戻す過程を丁寧に描くことで、たとえ平凡であっても「人は誰かの奇跡になりうる」という慰めのメッセージを伝え、じんわり心をあたためてくれます。
ヨンシクを演じた若き俳優カン・ハヌルは、ヒョンビンやパク・ソジュン、ナムグン・ミン、チュ・ジフンといった錚々たる演技派たちが並び、大激戦と言われた百想で最優秀男性演技賞を受賞。“純朴セクシー”などと呼ばれた真っ直ぐな愛と、“応援語録”と呼ばれた名台詞の数々は癒しを与え、きっと自己肯定感を高めてくれるはず。
▼配信情報
Netflixシリーズ『椿の花咲く頃』独占配信中

『怪物』

昨年21年の百想で「作品賞」を始め、「脚本賞」「最優秀演技賞(シン・ハギュン)」と三冠を達成し、まさに2021年を代表するドラマとなった『怪物』。本国ドラマファンからも、「アナザーレベルの作品」と高い評価を受けた一作です。
本作はある田舎町を舞台に、連続殺人事件の謎を追う心理スリラー劇。20年前に妹を連続殺人事件で失い、その容疑者となった過去を持つ片田舎のマニャン派出所勤務ドンシク(シン・ハギュン)のもとに、次期警察庁長官の有力な候補である父親を持つエリート警察官のジュウォン(ヨ・ジング)がやってきます。そんな中20年前と同じような猟奇殺人事件が発生。秘密や傷を抱えた住民たちは、全員がどこか何かを隠している様子。ジュウォンとドンシクはお互いに疑いの目を向けながら、腹の中を探り合いながら、パートナーとして捜査を共にします。
「他のよくある刑事モノのドラマと何が違うの?」と思う人も多いと思います。本作は一見すると、誰もが一度は見たことがある“よくある推理劇”なのです。加えて終始地味で陰気な雰囲気を纏い、“キラキラした韓ドラ”のイメージとは対極にあるような「渋い」作品であるため、敬遠してしまう人も多い作品かもしれません。ですが逆にこれまで何度も使われてきた、一見地味でありきたりな題材にも関わらず、俳優たちの「怪物級」の演技と、緻密な脚本、そして一貫したメッセージ性で、ここまで多くのドラマファンたちを魅了したことが、本作のすごみであるとも言えます。
通常のドラマのように主演を彩る助演達とは異なり、主演助演関わらず全ての登場人物にしっかりとスポットライトが当たることに加え、全俳優陣が凄まじい“怪物演技”を全身全霊で体現してくるため、本当に村の人全てが怪しく見えてくるんです。そのうえ犯人が判明してからも、また想像の斜め上を行く展開が続き、ラストまでミステリーの楽しみと緊張感を失わなかったのが本作のすごいところ。
赤く充血させた目で震えを表現し、“目の血管で演技する俳優”と称えられたシン・ハギュンの怪演には、感嘆のため息がもれてしまいます。さらには20代で最高の演技力を誇ると言っても過言ではないヨ・ジングの熱演、新人俳優でありながら恐ろしい演技力を披露したイ・ギュヒや、それぞれ百想で新人賞と助演賞にノミネーを果たしたチェ・ソンウン、チェ・デフンなど、彼らの熱演を見るだけでも本作は観る価値があると言っても過言ではありません。俳優陣の演技力は近年のドラマの中では圧倒的だったと思います。
そして本作の最大の魅力は、単なる“犯人探し”に留まらず、人間の根底にある欲望と心理、恐ろしさに迫りながら、人間の様々な両面性、二面性を引き出したこと。全編を通して「誰もが“怪物”になり得る」というメッセージを投げかけます。本作が伝えるメッセージは、スリラーというジャンルを超え、最後には大きな気づきと感動を与えてくれるはず。小さな町の密度の濃い人間関係の中で、“義理と人情”が溢れる、実に韓国ドラマらしい一作です。
▼放送・配信情報
フジテレビTWO 5/5(木)24:00〜放送開始
ほかPrime Videoで配信中
ライタープロフィール
Dramawriter Nana
韓国ドラマをこよなく愛するドラマライター。
WEB媒体を中心に、ラジオ、雑誌等で韓ドラ愛を叫ぶ記事執筆中。Twitterでは推しドラマ愛を暑苦しく配信中。
マニアックで隠れた名作なら任せて下さい。
Twitter:https://twitter.com/Nana_writer76

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