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“♪しなきゃなんてないさ”差別など社会課題扱うCMが“炎上”でなく“感動”生んだ理由、「無責任な未来を描かない」企業の覚悟

株価にも影響するSDGsへの取り組み、日本でも企業姿勢が問われる時期に

 企業姿勢が問われるメッセージCMは、今回のようにポジティブに伝わる場合もあれば、そうでない場合も多々あり、ある意味リスクと隣り合わせといえる。だが、それにも関わらずそういったCMが増加している背景には何があるのか。これには2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(エス・ディー・ジーズ)が関わっている。SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、貧困や飢餓、福祉、教育、ジェンダー平等などの17の解決を2030年までに解決しようとする世界の“目標”だ。

 「SDGsにどのように取り組んでいるかが企業の評価基準となり、アメリカではそれが株価にまで影響するようになっています。日本でも、徐々に同様の動きが見られますね。SDGs が解決を目指す2030年まであと10年弱。コロナ禍で価値観が変化している中で、企業と社会との接点は必要不可欠であり、企業が取り組むSDGsやダイバーシティー&インクルージョン(多様性を受け入れ生かし合うこと)といった企業姿勢に賛同して、プロダクトやサービスを購入する・利用するという人が日本でも増えているのも事実です」

 メッセージ性のあるCMは、このような意味でも企業側へのメリットとなる。では、実際の売上や事業の成長にも、目に見える形で表れているのだろうか?

 「事業にも良い影響があるだろうと試算しています。LIFULLというグループ全体のブランド認知やイメージ向上によって、各事業が成長していくはずだという考え方です。また、実際に入社希望者が増加するなどの現象が起こっています」

戦略でなく、「心が動くようなエモーションを届けられるCMを作りたい」

 多くの人々の琴線に触れた今回のCM。制作した川嵜さんは、前述のような様々な背景や問題を含みながらも、エモーションを大事にしたという。

 「個人的にですが、P&Gさんの『Thank You,Mom』というCMがとても心に残っていて。五輪選手をサポートするお母さんに焦点を当てた内容で、とても感動し、P&Gというブランドに愛着を覚えました。通常、製品コマーシャルはマーケティングに則った戦略ベースで進むところ、このCMはそういった調査を一切行わずに作ったと聞いています。資本主義の中で、直接的に商品を売るコマーシャルはもちろん必要ですが、LIFULLが「世界をどう見ているのか」という視点で、涙が出るような感動を覚えるもの、心が動くようなエモーションを届けられるCMを作りたいとずっと考えていました。今回、そうやってグッとくるポイントをしっかり作れるように、プロデューサーたちと話しながら制作しましたね」

 人々が抱える問題を扱う上で、企業として無責任な未来を描かず、その問題に向き合っていること。今回は、そうしたLIFULLの企業理念が、エモーショナルなストーリーと聞き馴染みのある音楽に乗り、しっかりと届いた結果だ。現在、『しなきゃ、なんてない。2021年』篇はテレビでの放送を終えたが、特設サイトでは歌詞とともに映像を観ることができる。今後も、様々な企業が “世界を良くしよう”とする姿勢を打ち出し、CMに反映させてくるだろう。どんな作品が生まれてくるのか、楽しみだ。

(文:衣輪晋一)

CM『しなきゃ、なんてない。2021年』篇

■LIFULL特設サイトはこちら(外部サイト)

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