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「お父さんは“毒”を作っているの?」葉たばこ農家の苦悩、禁煙社会の逆風の中でも“枯れぬ誇り”
ここ10年で生産量も4分の1に…減少する葉たばこ農家
2019年以降も、度重なる増税、2020年4月に全面施行された改正健康増進法などにより、喫煙者はさらに減少していると見られる。この動きに連動して、たばこの原料である「葉たばこ」の生産量は、2005年が4万6800トン、2020年が1万3700トンと、15年で4分の1ほどに減少。栽培する耕作面積は、1万9200ヘクタールから6200ヘクタールに、農家数は1万5000人から4400人にと、大きく目減りしている。
喫煙者人口に比例して縮小し続ける葉たばこ農業だが、意外にもその分布は北海道以南の全国にかなりの数が分散しており、沖縄やその離島にも多い。
「そこまで嫌うのか…」、排除されるたばこを作り続けるジレンマ
「たばこだけが病気の元凶と言われたり、吸った後30分はエレベーターに乗ってはいけないと貼り紙をされていたり。ちょっとやり過ぎではないかなと思うし、そこまで嫌うのか…という気持ちはあります。以前、学校で『たばこは毒だ』と教わってきた自分の子どもから、『お父さんは毒を作っているの?』と言われ、なんとも言えない気持ちになりました」(伊禮さん)
「こんな状況で、たばこ農家を続けていて大丈夫か?という思いはあります。自分の子どもが大人になる10年後には、一体どうなっているのか。やる気があるなら継いでほしいですが、たばこを取り巻く状況がどうなっているかわかりませんよね」(山城さん)
台風に後継者不足も…、容易ではない葉たばこ栽培
また、沖縄という場所がら、「台風で葉や茎が折れることもあり、気象によっては生育にかかわる。以前、5月に台風が発生したときは、育てていた葉たばこが全滅してしまったこともありました」(伊禮さん)と、栽培の苦労を明かす。
現在、195人の葉たばこ農家がいる沖縄県。他の地方に比べ、大規模農家が多く、働き手も若いと言われている。とはいえ、県南部(糸満市と八重瀬町)でも、もともと22人いた農家は7名に減少。「後継者不足もあり、年々減っていっている」(伊禮さん)という。