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SixTONES初のフルアルバム『1ST』をレビュー、「彼らの表現力は従来のアイドルグループのイメージを刷新するに十分だった」

 SixTONESが2021年1月6日、初のフルアルバム『1ST』をリリースした。『2020 FNS 歌謡祭』『ミュージックステーション ウルトラ SUPER LIVE 2020』、『第71回NHK紅白歌合戦』など、2020年の年末に放送された音楽番組でも、海外の音楽シーンと同期した楽曲と高い身体能力を活かしたパフォーマンスで大きな注目を集めた彼ら。シングル「Imitation Rain」「NAVIGATOR」「NEW ERA」のほか、ロック、ヒップホップ、R&B、EDMなどを取り入れた多彩な新曲を収めた本作には、“世界”を視野に入れた音楽性とメンバー自身の豊かなボーカル表現がたっぷりと注ぎこまれている。現代的なポップセンスが存分に活かされた本作は、アイドルファンのみならず、幅広い音楽ファンにアピールするはずだ。

「世界がSixTONES(ストーンズ)という名前を知るようになると信じている」メディアでも高く評価されたポテンシャル

 まずはSixTONESのこれまでのキャリアを振り返っておきたい。2020年1月22日にYOSHIKI(X JAPAN)のプロデュースによるロックバラード「Imitation Rain」でCDデビュー。初週売り上げ枚数132.8万枚を記録し、派手なデビューを飾った。さらに近未来的なイメージのダンスロックチューン「NAVIGATOR」(アニメ『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』オープニングテーマ)、和のテイストを取り入れたミクスチャー系ラウドロック「NEW ERA」(アニメ『半妖の夜叉姫』オープニングテーマ)をヒットさせ、一気に音楽シーンのど真ん中に突き進んだ。幅広いジャンルを果敢に取り入れた音楽性、幅広い表現力に裏打ちされたパフォーマンスは、従来のアイドルグループのイメージを刷新するに十分だった。

 SixTONESのポテンシャルの高さは、様々なメディアでも高く評価された。『GQ MEN OF THE YEAR 2020』でSixTONESが「ポップアイコンオブザイヤー賞」を受賞した際、鈴木正文編集長は、「日本の今の新しい世代を代表して、キーワードになるのは“国際的な普遍性を持っていく”ということだろうと思います。そこを正面から見据えて、音楽的にそれを目指している。いずれ、そう遠くない将来、世界がSixTONESという名前を知るようになると信じてます」コメント。新世代アーティストとして、海外での活躍に大きな期待を寄せた。

 また、ジャニーズグループとして初めてYouTubeアーティストチャンネルを開設。2020年12月にはチャンネル登録者数が100万人を超えるなど、プロモーション的にも大きな効果を上げている。YouTube、InstagramなどのSNSを駆使し、ファンと双方向のコミュニケーションを取るスタンスもまた、(ジャニーズのグループとしては)画期的だし、より質の高いファンダムを形成することにつながっていると思う。

リードトラック「ST」、「歌い出しを担当するジェシーは、“伝える力”が抜群」

 では、1stアルバム『1ST』の内容を紹介していきたい。まずはリードトラック「ST」。ヘビィなギターサウンド、重厚なリズムセクション、エレクトロ的な音響が融合したミクスチャー系ラウドロックチューンだ。“Wow、wow、wow”というシンガロング必至のコーラスで始まるボーカル、“限界を突破し、新しい世界に向かって突き進め”というメッセージを含んだ歌詞もインパクト十分。すべてのフレーズに濃密な意思を刻むことで、楽曲に強い説得力を与えているのだ。

 メンバー一人一人の声を体感できるのも、この曲の魅力。歌い出しを担当するジェシーは、“伝える力”が抜群。一つ一つの言葉にリアルな感情を込めるスタイルこそが、彼の武器だろう。さらに松村北斗のセクシーな手触りの低音ボーカル、森本慎太郎の少年性をたたえた声質、高地優吾のややハスキーな歌声、京本大我の独特のハイトーンボイス、田中樹のラップのスキルが組み合わさり、SixTONES特有のケミストリーが生まれるのだ。言うまでもなく、全員で歌うサビのパートの迫力もこの曲の聴きどころだ。
 
 アルバムの新曲もカラフルな魅力に満ちている。
「Special Order」はエキゾチックな雰囲気のサウンドと攻撃的なビートがひとつになったアッパーチューン。起伏に富んだトラックを乗りこなし、官能性をたたえたボーカル/ラップを繰り広げるこの曲は、SixTONESの音楽的な運動神経の高さ(リズムを掴む能力、自由にフロウを変化させるセンス)をたっぷりと感じられる楽曲だ。作曲、編曲はMONSTA X、TWICEなどにも楽曲を提供しているスウェーデンのクリエイター、Albin Nordqvist。最新のグローバルポップと同期したSixTONESのスタンスを改めて示す楽曲と言えるだろう。

 海外と日本のクリエイターがコライトした「Dance All Night」は、全編英語詞によるEDM系ダンスチューン。煌びやかなアレンジ、徐々に高揚感を増していくビート、ポップに開かれたメロディとドープなラップのバランスを含め、まさに海外基準のナンバーに仕上がっている。SixTONESが海外での活動を目指すのであれば、英語詞の楽曲は不可欠。英語の発音やフロウなど、まだまだ向上させるべき要素は多いが、「Dance All Night」は、彼らがグローバルなグループになる第一歩なのだと思う。

 アルバム本編を締めくくる「Lifetime」にも触れておきたい。壮大なシンセサウンド、神聖な雰囲気のピアノなどを織り交ぜたトラックのなかで、ドラマティックな旋律が鳴り響くこの曲のテーマは、愛する人との絆、そして、未来に向かって一緒に進んでいきたいという決意。“君”と“Lifetime”を重ねていきたいというメッセージは、ファンに対する思いとも結びついているはずだ。

Jr.時代の楽曲も収録「彼らの原点そのもの。一生懸命な歌いっぷりに心打たれる」

 共通する10曲以外の収録曲は、通常盤、初回盤A、初回盤Bでコンセプトが異なる。通常盤には、新たなジャンルに挑戦した新曲 2 曲を収録。「うやむや」はピアノ、ギター、ベース、ドラムが緻密に絡み合うアップチューン。起伏の激しいメロディ、言葉数を詰め込んだリリックの対比を含め、ボカロ系の楽曲の流れを汲むナンバー。世界に向けて“日本発のポップミュージック”を届けたいという意思を感じ取ることができる楽曲だ。「MAD LOVE」は低音を強調した超ドープなトラックとセクシーなフロウが溶け合うヒップホップ。最新鋭のトラックとともに響く、メンバーの官能的な歌声にも注目してほしい。さらに大人気曲「Telephone」“1ST ver.”として収録。バウンシーなビートと“君とつながっていたい”という思いが共鳴するこの曲は、ファンとSixTONESの結びつきを示唆しているようだ。

 “原石盤”と名付けられた初回盤Aには、ジャニーズJr.時代のオリジナル曲5曲が収められている。爽やかさ、瑞々しさに溢れた記念すべき初オリジナル曲「この星のHIKARI」、“エッジの効いたロック×ド派手なEDMトラック”というSixTONESの方向性を決定付けた「BE CRAZY」、2020年のツアーのオープニングを飾った解放感に満ちたロックナンバー「Rollin‘」といった楽曲は、まさに彼らの原点そのもの。メンバーの粗削りで一生懸命な歌いっぷりにも心を打たれる。

 “音色盤”とタイトルされた初回盤Bには、メンバー内のユニット曲3曲を収録。
「EXTRA VIP」(Jesse×Juri Tanaka)はジェシーの高いボーカル力、田中樹の切れ味鋭いラップがぶつかり合うヒップホップ。心地よい口笛から始まる「My Hometown」(Yugo Kochi × Shintaro Morimoto)は、“久しぶりに地元に帰って友達と会う”というシチュエーションを描いたオーガニックなナンバー。そして、「ってあなた」(Taiga Kyomoto×Hokuto Matsumura)は京本のハイトーンと松村の低音の響きが溶け合う切なくてメロウなミディアムチューン。メンバー同士の才能とセンスから生み出される化学反応を堪能できる曲ばかりだ。

 様々なジャンルをハイブリッドさせた音楽性、6人の個性を活かした構成を軸にした1stアルバム「1ST」によって彼らは、新世代ボーイズグループとしての魅力、メンバー個々のポテンシャルの高さを改めて証明したと言っていい。国内の音楽ファンだけではなく、海外のリスナーにも訴求できる可能性を秘めた本作によって、SixTONESの可能性はさらに開けるはず。2021年の彼らの飛躍を大いに期待したい。

(文:森朋之)

『1ST』

We are SixTONES!
ロック、ダンス、ポップス、アイドル、全ての概念が変わる歴史的「1ST」アルバム
SixTONESの名前の由来ともなった、「原石」「音色」の名を冠した初回盤2仕様と、通常盤の全3形態でリリース。

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