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あの『ガラスの仮面』も?? 名作マンガのコラボCMによる相乗効果とその意義とは?

 近年、CM業界では「巨人の星」「スラムダンク」「アルプスの少女ハイジ」など、往年の名作マンガやアニメと様々な企業のコラボ作品が話題を集めている。そんな中、新たに話題となっているのが、「バンホーテンココア」と「ガラスの仮面」のコラボCMだ。何故、名作を再び蘇らせるに至ったのか。その意義や効果とは?

パロディや芸能人との共演、続編……バリエーション豊富なコラボのかたち

 往年の名作漫画あるいはアニメと企業のコラボCMというと、まず「家庭教師のトライ×アルプスの少女ハイジ」のCMを思い浮かべる人が多いだろう。ハイジはもともと素朴で素直で明るいキャラクター。にもかかわらず、同CMではやましい思いを隠したり、勉強してないと言ってクララをあざむいたり……。さらに、おんじがラップまで始めたりと、意外性だらけのなんでもありの設定は、強烈なインパクトを残した。

 また、「au×巨人の星」のCMでは、剛力彩芽などの芸能人がアニメキャラクターと共演。巨人の星の独特の世界観はそのままに、芸能人がその世界に飛び込むかたちで両者の魅力が最大限に生かされていた。

 「資生堂×スラムダンク」のコラボでは、漫画が終了してから18年後、ファン待望の「物語の続き」がCMで描かれた。そこには、ケガを克服して少し髪が伸びた桜木花道や、バッシュが新しいモデルに更新された流川楓などが登場。「懐かしい」「かっこよすぎ!ほんとに続編やらんかな…」といったファンからの反響が多数あった。

 アニメや漫画とコラボすることで、かつて作品に親しんだ大人たちには“懐かしさ”を引き起こさせ、リアルタイムで見られなかった層にはCMそのもののユニークな作りで訴求できる力を示したのだ。

作品の世界観をコミカルに表現「バンホーテン×ガラスの仮面」のコラボ

 漫画やアニメと企業のコラボCM自体は1つのパターンとして定着した感もある昨今。そんな中にあって、ひと際注目を集めているコラボCMがある。「バンホーテン×ガラスの仮面」だ。

 「ガラスの仮面」といえばご存知、美内すずえ原作のご長寿漫画で、「少女漫画の金字塔」とも呼ばれる作品。平凡な少女・北島マヤが、大女優の月影千草に演劇の才能を見出され、役者として成長していく物語だ。

 この意外なコラボの初お目見えは2017年。今回で3回目のコラボとなる。2018年のバンホーテンココア190周年では、マヤがココアのCMに抜擢され、さらにココアが美味しくなったということを伝えるというものであった。そこでは、迫真の演技を目の当たりにしたライバル・姫川亜弓が、白眼で「おそろしい子!」と呟いたり、劇中劇『忘れられた荒野』で演じた狼少女が美味しさを表現していたりと、ファンの間ではおなじみの原作の名場面がギャグ満載で登場している。

 Twitterでは「懐かしい」「鬼アツ!全巻読み返したくてたまらない……」といった声から、「ココアのCMだけど、北島マヤと言えばどんぶりでカフェオレ飲んでたよね」という原作の細かい設定を掘り起こしてくるツイートまで散見された。

北島マヤがツッコミ役にまわる? CMだからこそできる“名作コンテンツの継承”

 さらに昨年末に公開された最新作が、「バンホーテンで最高点」篇だ。

 ここでは北島マヤに加え、原作の男性キャラとして人気を二分する北島マヤのボーイフレンド・桜小路くんと、「紫のバラの人」速水真澄が登場。この二人のキャラがすでに、イイ意味で壊れてしまっている。

 マヤと二人で受験生への応援コメントを撮影するうち、突如、台本にないセリフ「バンホーテンで最高点」を口にする桜小路くん。戸惑うマヤに向けて、冷たい白眼を見せたかと思えば、キラキラの爽やかな笑顔でココアうんちくを早口で語り倒す。さらに、わけがわからず混乱するマヤを包み込むのは、大人の余裕たっぷり(?)に自分だけの愛称で「チビちゃん」と呼ぶ速水真澄だ。原作ではいつも「おそろしい子!」と言われてばかりのマヤが、ツッコミ役にまわっているのも、新鮮である。

 今回CM制作を担当した東急エージェンシー クリエイティブ局 第2クリエイティブ部の林 俊美氏は、本コラボCM「バンホーテンで最高点篇」について「ガラスの仮面を楽しまれて来た方々が、ココアを飲まれる主なターゲットとほぼ同じ世代だったことから、ファンの方々が作品へ注ぐ愛情を『バンホーテン ココア』にも注いでいただきたいという想いで今回のコラボにいたりました。“おもしろおかしい”ということは狙っておらず、原作のキャラたちがそれぞれ個性的なので、あり得なくもないことを、言いそうな言葉で展開することを意識しました。あらためて今回のコラボで、ファンの方々の原作への深い愛情と作品自体の懐の深さを感じました」と語っている。

 早口言葉のような早いテンポで面白いやりとりが展開されるため、子どもや原作を知らない若年層も思わず画面に釘付けに。また、懐かしさと言う意味ではリアルタイムで原作を楽しんでいた“大人”にも刺さる。もちろん原作ファンは「あの場面をここで?」「あのキャラがさらにこんなことに」という意外性から、思わずクスリとさせられる。

 昨今、様々な制約により、親世代が幼少期に観ていた名作アニメの地上波での再放送が難しくなり、日本が誇る“名作コンテンツの継承”が希薄になっているのは、寂しい限りだ。しかし、このような現状において、名作と呼ばれるコンテンツを再びピックアップする新たなアプローチとして、コラボCMは重要な責務を果たしているのではないだろうか。

≫バンホーテン公式サイトはこちら https://vanhoutencocoa.jp/
≫シリーズCMを全て観る https://vanhoutencocoa.jp/feature/

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