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木村拓哉が心動かされた瞬間とは? 初共演の二宮和也の演技に「ありがとな」

 映画『検察側の罪人』でエリート検事・最上を演じる木村拓哉。大ヒット作『HERO』と同じ検事役だが、人間性や展開はもちろんまったくことなる。現在の木村だからこそ演じられる、その葛藤と悲哀とは? ジャニーズ事務所の後輩ながら、初めて共演することとなった二宮和也との演技、そして現場のエピソードも語った。

『HERO』と同じ検事役、「まったく異なるポジションの役柄をいただけたことは名誉」

――本作で演じた最上毅は、『HERO』シリーズと同じく検事役。とはいえ、多くの後輩から尊敬される刑事部きってのエリートという、真逆のキャラクターです。
木村拓哉 作品自体がまったく別物なので、比較をすることはなかったです。もし、役職やキャラ的に『HERO』と同じような設定であったなら、「まだそんなことやっているの」と言われてしまうんじゃないかな。そうならないように、まったく異なるポジションの役柄をいただけたことは嬉しくもあり、名誉なことではあります。

――最上は木村さんの実年齢に近い設定でもあり、感情移入しやすかったのでは?
木村拓哉 それも含めて、いろいろ細かい部分まで監督が空気作りをしてくださったので、その中で自由に演じていこうかなと。

――仕事では後輩に師と仰がれるエリートですが、家庭では妻と娘に疎外される存在。
木村拓哉 仕事をしている時の最上はしっかり立っていられるけれど、「ただいま」と家に帰った瞬間に、その軸がまったくなくなる。要は、それを一緒に支える夫婦関係ではなくなっているんです。それが寂しいなと思いながら、撮影をしてはいました。ただ、ドクターもそうですが、仕事で優秀な方ってわりと家庭がうまくいってない方も多いようで…。そのへんはリサーチして臨みました。

二宮の取調べシーンに心動かされ…「あの空気感は素晴らしかった」

――最上は、別の事件の被疑者・松倉(酒向芳)が、すでに時効となった女子高校生・久住由季殺害の犯人であることを確信。松倉を罰することに執着していきます。最上の心境をどのように考えましたか?
木村拓哉 最初は、由季がどれほどの存在だったのか? というのがわからなくて。由季は、大学生だった最上が住んでいた学生寮の寮母の娘。慕ってくれてはいたけれど、恋人でもなかったし、気持ちをやり取りしたわけでもない。なので、その関係について、メンタルな部分の色や質量がなかなか計れなかったんです。

――模索する中で、“怒り”のスイッチが入ったのは?
木村拓哉 ニノ(二宮和也)が演じた検事・沖野が、松倉から引き出した自供ですね。あの内容はひどすぎた。

――最上はそれを別室で聞くはずが、途中で部屋を飛び出してしまった。
木村拓哉 松倉と沖野の対峙シーンは先に撮ってあって、僕は後日、その音源だけを聞いて撮影をしたんです。実は、台本では最上は最後までその自供を聞くことになっていました。でも、あまりに内容がひどすぎて、演じている僕自身が聞いていられなくて…。思わず、イヤホンを外して席を立ってしまいました。台本とは違うけど、時系列的にはOKだし、ここは自分の心に正直にやらせてもらっていいかな、と。

――あの取り調べシーンの二宮さんの迫力には圧倒されました。
木村拓哉 彼があのシーンを先に撮っておいてくれて、本当に助かりました。あの空気感は素晴らしかった。あとで「ありがとな」って連絡しました。

初共演の二宮との関係は?「自分が魅力を感じる作品に、彼が求められている」

――二宮さんとの初共演の感想は?
木村拓哉 普段目にする二宮和也は、嵐の一員であり、5人のうちの1人です。でもその一方で、映画『硫黄島からの手紙』や『赤めだか』しかり、ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)しかり。二宮ならではの、1人でバン!と発揮する瞬発力は実在していたんだなと、あらためて感じました。本当に、安心できる共演者だと思います。

――撮影中にはどんなコミュニケーションを?
木村拓哉 演技の話とかはまったくなく、たわいのないことばかり話していたなぁ。僕がニノの作品を観た話をしたら、「マジっすか!」って驚いてましたけど、たぶんリップサービスでしょう(笑)。後輩の作品は全部を観ているわけではないですが、作品として自分が魅力を感じるものに、彼が求められている。そういうことかな、と思います。

――最上と沖野は対立し激突しますが、そのシーンについては?
木村拓哉 クランクイン前に、監督がリハーサルをさせてくださって。監督は「この2人が並んだら、どんな全体が見えてくるか」と確認していたようです。でも、並んだ僕らを見て、「へぇ〜、わかった。あとは現場で」って、それだけでしたね。そのあとにニノと話し合うこともなく、撮影でも最上側と沖野側の切り返しを1回ずつ、さっと撮っただけです。

――お互いの正義を賭けてぶつかるわけですが、木村さんにとっての“正義”とは?
木村拓哉 相手の立場に立って考えること、ですかね。自分としては信念に基づいた武装をするけど、相手にとってみたらその信念は間違っているかもしれない。先日のこと(西日本豪雨被災地での炊き出し)もそうですけども、相手の立場に立つことがまずは大切だと思います。

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