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(更新: ORICON NEWS

「なんとかしてくれる男」勝俣州和、バラエティ界最強のバイプレイヤー 

 デビューから30年以上に渡りテレビに出演し続けるタレント・勝俣州和。芸能界における彼のポジションはかなり特異だ。冠番組を持つわけでもなく、視聴者が勝俣だけを求めてチャンネルを合わせることも、おそらくないだろう。テレビ番組の企画では“勝俣のファン0人説”も囁かれる一方、どんな大御所によるMC番組でも、ふと気がつけば勝俣がいる。そして視聴者もそれが当たり前だと感じている。そんな勝俣州和の唯一無二の“存在感”はバラエティ界最強のバイプレイヤーという言葉が相応しい。

SMAP的アプローチの元祖ともいうべき人気アイドルを経て、現在の特異なポジションへ

 勝俣はもともと劇男一世風靡(一世風靡セピアの母体)のメンバーであり、その後、萩本欽一司会の『欽きらリン530!!』(日本テレビ系)のオーディションを経て、1988年にCHA‐CHAを結成、欽ちゃんファミリーの一員として「歌って踊れてお笑いもできるアイドルグループ」という形で売り出された。

 CHA‐CHAの前身の茶々隊は、さまざまな芸能事務所のいわば“寄せ集め”であり、実は木村拓哉や草なぎ剛も在籍し、オーディションはSMAP全員が受けていたという衝撃の事実もある(木村、草なぎはCHA‐CHAになる前に脱退)。勝俣本人も“当時はSMAP並みに人気があった”と自称しており、実際、「確かにそのころは、女子たちにかなりキャーキャー言われていたなあ…」という記憶がある方も多いのではないか? CHA‐CHAはメンバーの西尾拓美(トロリンこと元アイドル・西村知美の夫)などがバリバリのアイドル路線をいく一方で、勝俣と松原桃太郎というメンバーがお笑いを担当するという“分業制”をとっていた。こうした“アイドル+しゃべり(笑い)”というスタイルは、後のSMAPなどに引き継がれるわけで、“しゃべれるアイドル”のルーツでもあり、今のアイドルの活動の礎を築いた元祖的グループと言っていいかもしれない。

 お笑い担当だった勝俣もアイドル的な人気があり、1989年には柴門ふみ氏のマンガを原作としたトレンディドラマ『同・級・生』(フジテレビ系)に俳優として出演。当時、フジテレビのアナウンサーだった中井美穂とカップルになるという、重要な役を演じていたりもする。CHA‐CHA解散後の1992年には、堀部圭亮とともにお笑いユニット『K2』を結成して活動の場を広げると、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)や『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ系)などにレギュラー出演するようになり、現在に至るわけだ。

大物芸能人との共演も縦横無尽 誰とでもからめる“かっちゃん”の汎用性

 しかし、勝俣の代表作は何か?と言われて、すぐに答えられる人はいないだろう。でも、テレビを観るといつもそこにいるのである。しかも特筆すべきは、どんな大物MCや大物お笑いタレントの番組にも出演していることである。欽ちゃんファミリーの出身ながら、『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』(フジテレビ系)に出演すれば、時を同じく『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』(日本テレビ系)にも出演、『ダウンタウンDX』(同)でも欠かせない準レギュラーとしての地位を築いている。さらには、『アッコにおまかせ!』(TBS系)、『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)、『中居正広のブラックバラエティ』(同)などにも出演。タモリ、ウッチャンナンチャン、とんねるず、和田アキ子、みのもんた、中居正広にダウンタウンといった、そうそうたる大物MCたちと絡んできており、冠番組によってどこか“派閥”がありそうな芸能界を縦横無尽に行き来しているという、非常に“稀有”な存在と言えるだろう。

 実際、本人も2017年10月放送の『良かれと思って!』(フジテレビ系)では、バラエティ番組の“派閥”について持論を展開。勝俣は20年前、ウッチャンナンチャンの番組に出演していた際、とんねるずの番組のレギュラーが決まるとスタッフから、「どっちを選ぶんだ?」と迫られたという。当時は“スタッフがそういう風に気を利かせる時代だった”と回顧。悩んだ末に勝俣は、「だったら、もうそっち(スタッフ)で決めてくれと。僕がいらなかったら外していいですって。レギュラーも、ゲストにも呼ばないでくださいって」と告げた。そして、「それを続けて、そうしたらいろんなところが呼んでくれて…。だから、僕だけOKみたいな時代だったんですよ」と語り、バラエティ番組で幅広い活躍を続けている理由を自ら分析して見せたのだ。

 それにしても、なぜ勝俣は番組に呼ばれ続けるのか? ネットの声でも「勝俣州和ってよく出ているけど、いつもハーパンで、いつも元気で、声がでかい。彼の本業ってなんなの?」といった評価なのだが、芸人でもなく俳優でもない。だからこそ何色にも染まれるし、どんな番組にも溶け込めるという“ザ・タレント”なのである。

 実際、特番や新番組の初回ゲストに呼ばれることが多く、これから「番組がどうなるかわからない」という状況でも、勝俣がいると何となく番組が落ち着くから不思議だ。つまり、“何とかしてくれる”感があるわけで、“困ったときのかっちゃん”が最大のセールスポイントではないだろうか。

 特にトークが苦手な著名人(スポーツ選手や話題の文化人、若手俳優など)が出演し、話に妙な間ができてしまったときなどは、すかさず勝俣が入ってきて場の空気を温めてくれる。そうしたナイスなアシストは『ダウンタウンDX』などでよく見受けられるが、自らがしゃしゃり出ることはなく、スタジオの空気を読みながら、あくまで元気に舵を取るという安定感がある。しかも視聴者が気づかないほど自然に流していく。そのあたりにも勝俣が大物たちから“寵愛”される理由といえる。また、元同僚(?)の柳葉敏郎や哀川翔などがバラエティ番組に出演する際も欠かせない存在だ。コワモテの俳優だった哀川翔がバラエティ番組に多数出演するようになったのも、勝俣が果たした功績が大きい。

おぎやはぎ・矢作の提唱する『勝俣のファン0人説』が、勝俣の立ち位置ものがたる

 そんな勝俣の存在を物語る“説”がある。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で浮上した“勝俣のファン0人説”だ。いつも周囲を和ませてスムーズに番組を流す勝俣に、後輩芸人のおぎやはぎ・矢作兼が得意の意地の悪いネタをぶち込んだのだ。これまでの勝俣にはあまり見られないポジションだが、この企画は好評を博し、今では矢作が勝俣を小馬鹿にしまくったあげく勝俣がキレるという、『勝俣州和シリーズ』として定着している。

 しかし、いみじくもこの“勝俣のファン0人説”こそが、彼の芸能界における立ち位置を示す“象徴”ともなっていると言える(実際は勝俣のファンだと名乗り出た者がいたが)。映画もドラマも演劇も、主役を引き立てる脇役の存在があって初めて成立するもの。“バイプレイヤー”には熱狂的なファンはいらないのだ。むしろ、熱狂的なファンが少ないにもかかわらずここまで継続した活躍が出来ることが驚愕なのだ。そういう意味では“ファン0人”の勝俣は、タレントとしては最高の誉め言葉と言えるのである。

 現在53歳にして、相変わらずのハーフパンツ姿に元気なガヤっぷり、短髪のツンツンヘア。今日も勝俣州和はテレビに出るだろうし、これからも「バラエティ界の名バイプレイヤー」として、芸能界に“君臨”し続けていくことだろう。

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