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国民的アニメ『サザエさん』の“普遍性” 東芝CM降板でどう変わる?
経済にも影響!? 国民生活と常にリンクしてきた怪物番組
日曜夕方6時の顔として定着した『サザエさん』は、1979年9月16日には最高視聴率39・4%を記録(ビデオリサーチ社調べ、関東地区)。これはアニメ歴代視聴率3位で、その冠名に恥じぬ「国民的番組」と言える。「家族で見られる」「日曜日の時報的存在」などと言われるほか、『サザエさん』の視聴率が上がると株価が下がり、逆だと上がるとされる通称「サザエさん効果」(大和総研レポート)、夫が妻の実家で生活する夫婦の状態を「マスオさん状態」、日曜の夜に月曜の到来を憂う「サザエさん症候群」など、『サザエさん』が鉱脈の流行語が次々と誕生。それほどに、国民生活とリンクする“圧倒的安定感”が支持されてきた。
そんな“国民的な人気番組”として、アニメとしては驚異の数字である視聴率2桁をマークしてきた『サザエさん』だが、2016年からは1桁台も増加。視聴率的に苦戦を強いられているが、メディア研究家の衣輪晋一氏は「いまの時代、“家族で観る”という以外に、“ネットで盛り上がる”という別の楽しみ方が生まれている。視聴率だけが評価の指標ではない」と話す。
“昭和”を引きずり続けるのに、ネットとの親和性は抜群!? 楽しみ方に変化が
“物言わぬスポンサー”に徹した東芝の矜持
その“普遍性”を支えてきたのが、他ならぬ東芝ではないだろうか。黒電話に昔ながらの家電製品…『サザエさん』の番組内では約半世紀にわたって“変わらない日常”が描かれてきた。衣輪氏は「それは、スポンサーとしての“影響力”を番組内で行使しなかった東芝の“矜持”ではないか。そして『サザエさん』を国民的番組として愛され続ける要因のひとつと言って過言ではない」とも。仮にスポンサーによる作風の変化や露骨な商品訴求があった場合、ファンから反発の声があがることは想像に難くない。
実際、東芝のスポンサー降板が取り沙汰されてから、ネット民は「サザエさんがどう変わるか?」と蜂の巣をつついたような騒ぎに。SNS上では次のスポンサーを予想したコメントも多く寄せられ、「保険会社がスポンサーになったら磯野一家がやたらと怪我しそう」「不動産会社だったら花沢さんの出番が急増したりして…」など、さながら大喜利合戦の様相を呈した。
また11月初旬には、美容外科「高須クリニック」が新スポンサーに名乗りを上げたことも大きな話題に。「波平に髪の毛が生えそう」「サザエが豊胸しそう」「花沢さんが美容整形して、ついに磯野をゲット!?」など、こちらもネタ合戦になった。しかし、衣輪氏は「こういったネット上の動きはあくまで“ネタ”であり、実際は『サザエさん』が変わることを望んでいる人は少ないはずです。時代は変われど、サザエさん一家の“変わらぬ家族の風景”が描かれているからこそ、その“普遍性”が愛されている」と話す。
新スポンサーに問われる“介入しない”覚悟とは!?
とはいえ、そう遠くない時期に新スポンサーは明らかになる。どの会社がスポンサーになったとしても、『サザエさん』を『サザエさん』たらしめる“普遍性”がどう継続されてくのかに注目したい。
(文:中野ナガ)