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2015-05-20

運転中の“ヒヤリ・ハット”を未然に防ぐ!知っているようで知らない、自動車「自動ブレーキ機能」の進化

運転中の“ヒヤリ・ハット”を未然に防ぐ!知っているようで知らない、自動車「自動ブレーキ機能」の進化

 5月20日は何の日だかご存じだろうか。じつは「交通事故死ゼロを目指す日」であり、同時に今年の春の全国交通安全運動の最終日でもある。だが、それでも連日のように流れるのが、いたましい交通事故の報道。もちろん飲酒運転などもってのほかだが、いくら安全運転を心掛けていても、ニュースの当事者になってしまう可能性は誰にだってある。

いくら安全運転をしていても交通事故は避けられない Q1. あなたは運転中に「ヒヤリ」「ハット」した経験がありますか

 実際、運転中にヒヤリとしたり、ハッとしたりした経験を持つドライバーも少なくないはず。ORICON STYLEが1000人のドライバーにアンケート調査を行ったところ、なんと827名、82.7%にも上る人が、【経験あり】と回答。運転をするということはイコール、事故と隣り合わせにあるということを肝に銘じるべきだろう。

Q2.あなたが運転しているとき、どのようなシチュエーションで危険を感じたことがありますか

 では、その経験はどんなシチュエーションで起こっていることが多いのだろうか? 続けて具体例を聞いたところ(※複数回答)、最も多かったのが【歩行者が飛び出したとき】(464名 56.1%)、次いで【強引な割り込み・追い抜きをされたとき】(431名 52.1%)、そのほか【自転車が飛び出したとき】(415名 50.2%)【前方車が急ブレーキをかけたとき】(299名 36.2%)が続いた。

 スピードや注意の仕方など、どの人がどんな運転状態であったかは不明だが、上記の具体例をそのまま読めば、すべて他者の動きが要因となっていることがわかる。ここからも、たとえ安全運転をしていても交通事故は防ぎきれないかもしれないという事実が見えてくる。

自動ブレーキ機能、各社のシステムや性能の違いは?

 しかし、最近の自動車の進歩は目覚ましい。さまざまな安全運転支援システムが多くのクルマに標準装備されつつある。安全運転にこれらの新しい機能が加わることで、従来は事故になっていたような状況が、事故にならなかったという事例も増えていることだろう。統計によると交通事故の発生件数も死傷者数も、ここ10年は右肩下がりで減少を続けているが、これはクルマの進化とまったく無関係ではないはずだ。

Q3. あなたは自動ブレーキ機能を搭載の自動車でも、自動ブレーキ機能の性能に違いがあることをご存知ですか

 なかでもありがたい存在が、自動ブレーキ機能だろう。説明は不要だろうが、クルマに設置されたカメラやセンサーが危険を察知すると、自動的にブレーキをかけてくれる仕組み。自身の目に加えて、クルマ側も周りに気を配ってくれるのだから、本当に心強い。ただし注意すべきは、どのクルマにも同じような機能、性能のシステムが導入されているわけではないということ。どのシステムにも少なからず長所、短所があり、どんな状況にも完璧に対処してくれるわけではない。前述の1000人の方へのアンケートで、「あなたは自動ブレーキ機能を搭載の自動車でも、自動ブレーキ機能の性能に違いがあることをご存じですか」という質問を投げかけたところ、残念ながら、知っていると答えた人は全体の19.5%にとどまった。

 では実際のところ、どんな差、違いがあるのか、専門家のお話を聞いていただこう。自動車評論家・まるも亜希子さんによると、現在、前方の危険を察知する方式には、「大きく分けて、ミリ波レーダー、赤外線レーザー、カメラがあります」とのこと。

 「ミリ波レーダーは、他の方式よりも遠方まで認識できるので高速走行に向いており、天候や明るさなどに左右されにくいのが利点。ただ障害物の形や大きさなどの詳細を判別するのは不得意で、システムも大きく、車両に搭載する際にスペースをとってしまいます。赤外線レーザーは、低コストでシステムがコンパクトなのがメリットですが、監視できる距離が数十m程度と短く、あまり高い速度域では作動が難しいのがデメリットです。そしてカメラ方式は、単眼カメラやステレオカメラなどの種類がありますが、前方の障害物が車両なのか歩行者なのか、あるいは自転車なのかといった詳しい判別が可能で、車線や道路標識を読み取ることができるものもあります。以前は逆光や霧など悪環境で作動しにくいのがデメリットでしたが、最近は改善されてきています」(まるもさん)

各メーカーがしのぎを削る“自動ブレーキ機能”の進化

 もちろん自動車各社、そして自動車の大きさなどで採用しているシステムに違いがある。「たとえばトヨタは、中型〜大型車にミリ波レーダー方式を採用し、作動速度域が時速約15〜180kmと高いのが特徴。一方、小型車には時速約10〜80kmまで作動可能な赤外線レーザーを採用しています。ホンダも中型車以上にはミリ波レーダー+カメラ、小型車には30km/h以下で作動可能な赤外線レーザー。日産は上級車にはミリ波レーダー+カメラ、小型〜中型車にはカメラ方式を採用しています」と、まるもさん。

 なかでも注目はスバルだと、まるもさんは言う。「『アイサイト』と呼ばれるスバルのシステムですが、カメラ方式を突き詰め、広範囲で対象物を正確に識別可能なステレオカメラを採用しています。識別が難しい、動いている歩行者や自転車、バイクなども識別し、高い精度でブレーキ制御ができるためできるため大きな期待を寄せています。実際の交通事故では近年、歩行者や自転車が犠牲になる確率が高いことから、アイサイトによって助かる命が増えると考えます」

 性能に違いがあるとはいえ、「ここまで来ているのか!?」と感心せずにはいられない自動ブレーキ機能。では今後、この機能がどのようなクルマの未来をもたらすのだろうか。まるもさんは、事故の減少だけでなく、自動車保険などへの影響にも言及する。「近い将来、性能差はあっても全車にこのシステムが搭載されるでしょう。作動する速度域も高くなり、高速道路などでの大きな衝突事故が軽減されるのではという期待があります。そして、ABSやエアバッグの有無で保険料が変わったように、自動車の任意保険にも割引が適用されるようになるのではないでしょうか。また、衝突回避システムには運転支援機能も追加されてきているので、高齢者が運転できる期間が延びるかもしれません」

まるも亜希子さん

まるも亜希子さん

映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo )』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。現在は雑誌・ウェブサイト・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年、05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー(2005-2012等)選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)理事。

市販車の自動ブレーキ機能の礎となったスバル「アイサイト」

 スバルの「アイサイト」は、2008年にレガシィに搭載されてから現在まで、スバルの多くの車種に搭載されており、いち早く予防安全対応に取り組んでいる。まるもさんは、まさに「アイサイト」は、自動ブレーキ普及の先駆けだったと語る。

スバル「アイサイト」

 「各メーカーがこぞって自動ブレーキ機能を搭載するようになったのは、やはり『アイサイト』の影響が大きいと考えます。ひと昔前にもこうしたシステムは用意されていましたが、高額のため普及しませんでした。それを、『こうしたシステムは普及させなければ意味がない』と考え、約10万円という低価格で搭載可能にしたのがスバルです。少しすると、スバル以外のメーカー販売店に『このクルマにはアイサイトついてないの?』と尋ねるお客様が増えるという現象まで起こり、そこから各社がいっせいにシステム搭載に力を入れていったと認識しています」

 アイサイトは現在、ver.3まで進化。いまや自動ブレーキにとどまらず、完全に「運転支援システム」と呼べるものになっている。先ごろ、車の安全性能を評価するJNCAP(日本自動車アセスメント)の新たな試験「予防安全性能アセスメント」で、アイサイト搭載車は評価車種すべてで満点近い得点をあげ最高ランクを獲得。その安全性の高さを証明している。

 プリクラッシュブレーキは、高速から低速走行まで広い車速域で制御を行ってくれ、クルマだけでなく歩行者や自転車、バイクも制御対象として認識。横断歩行者や自転車のはみ出し対応も強化されている。また、ほかにも前走車を検知し、車間距離を維持するようブレーキやアクセル操作を自動で行ってくれる全車速追従機能付クルーズコントロール、車線からはみださないようにステアリングを制御してくれるアクティブレーンキープなどの機能があるが、最近話題に上ることが多い、「ブレーキとアクセルの踏み間違えによる事故」にも対応する、AT誤発進抑制制御があるのも、うれしいポイント。ver.3では、後進への対応も実現されており、Rレンジの状態でアクセルの急な踏み込みを検知し、制御してくれるというからすごい。

 同システム搭載のスバル車がJNCAPの「予防安全性能アセスメント」で最高ランクを獲得しているのも、充分頷ける。まさにいま、もっとも安全な日本車といえば、スバルのアイサイト搭載車と言っても言い過ぎではないだろう。

運転手いらずの自動運転の時代が目前に!?

 もう一方、自動車技術総合誌『日経Automotive』の林達彦編集長にもお話をうかがったところ、さらにもう一歩踏み込んだ意見を語ってくれた。「EU、日本において新型の大型トラック・バスに自動ブレーキが義務化された(EUは2013年、日本は昨年11月)ことで、2012年4月の関越道でのバス事故のような重大事故が減ることが期待できます。また、こうした機能が普及し、さらに運転支援システムが発展すれば、いずれ自動運転という方向に向かうでしょう。そのときは、タクシーやトラックが無人になるといった可能性もあります。ただし、法整備や道路インフラ、事故時の責任は誰がとるかといった課題があり、完全自動運転がすぐに実現するかどうかはわかりませんが」

 昔のSF作品で描かれたような世界が、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。

林達彦氏

「日経Automotive」編集長 林達彦

1988年日経BP社入社、「日経メカニカル」「日経デジタルエンジニアリング」「日経パソコン」など機械、コンピューター系の雑誌を経て、2005年より「日経Automotive Technology」編集部。


<調査概要>
調査名:「衝突回避システムに対する認知・理解度調査」
調査期間:2015年5月1日(金)〜5月8日(金)
調査地域:全国
調査対象:普通自動車運転免許保有の10〜60代 男女 計1,000サンプル
調査方法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ
調査企画:株式会社oricon ME

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