ミュージック インタビュー&コメント

ミュージックライブレポート
2010年4月7日
LIVE REPORT
木村カエラ
濃密な5年間の出来事、今も変わらない歌への思い

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1万人が熱狂!!アリーナツアー最終の日本武道館
 ベストアルバム『5years』が現在もロングヒットを記録中。デビュー5周年を迎え、ますます上昇気流に乗っている木村カエラが初のアリーナツアー『LIVE TOUR 2010 “5years”』を開催。ツアーファイナルとなった3月28日、東京・日本武道館は終始、1万人の歓喜に包まれた。

 オルゴールのノスタルジックな音色が響き渡るなか、ステージ後方のスクリーンには、カエラが5年の間に産み落としてきた大切な大切な子供達(楽曲)にまつわる小物や楽器達が飾られた部屋が映し出される。そして、ベットサイドの床に座り込み、無我夢中で絵を書いている女の子にカメラがクローズアップされる。

 その女の子とは、ベストアルバムのジャケットに写っている5歳の女の子=自らのキャンバスにさまざまな色彩を思うがままに色づけしていく、現在のアーティスト・木村カエラである。と両者がシンクロした瞬間、ステージ中央に登場したカエラは、まっすぐ左手を突き上げ、「イエイ!武道館ー!」と絶叫。べストアルバムと同じく「You bet!!」でライブは幕を開けた。

 1曲目から凄まじい熱量を放出する観客。それを受け、カエラ自身も「Yellow」「マスタッシュ」と曲ごとに拳を突き上げたり、宙を舞うような華麗なカエラダンスを披露したり……、と多面体のパフォーマンスで観客との距離を一気に縮めていく。

 「どうも木村カエラです!今日でこのツアーも最後でございます。寒いなか、待っていてくれてありがとう」とあらたまってご挨拶。しかし、そんな堅苦しい雰囲気も束の間。客席から「温めて〜」との声が投げかけられると「温めますよ、とことんね!」と無邪気な笑顔をみせる。「今日はみなさんが楽しめるように5年間作ってきた曲をたくさん用意してきたので、最後までよろしくね!」

めいっぱいの愛情を込めて

 この日はまさに彼女の5年の軌跡を象徴する数々のヒットシングルやライブでおなじみの25曲(アンコール含)が披露された。なかでも「私にとってとっても大切な歌を歌いたいと思います」と告げたあとに熱唱した「リルラ リルハ」は彼女の思いがそのまま歌声に反映。途中胸に手を当てながら、ひと言ひと言を自分の心に刻むように、丁寧に紡いでいくその姿、歌と真摯に向き合い、めいっぱいの愛情を込めて1人ひとりに投げかけていく健気な姿勢は、1万人の心の一番奥の引き出しを自然と解錠し、胸をジンと熱くさせた。

 その後の「dolphin」は、水深の世界を伸びやかな歌声で表現。また「You」ではほの暗い光のなか、力強い意思を持った歌声を轟かせ、彼女の歌声、感情の高鳴りとともに徐々に光が増大。その光景は大きな感動を呼んだ。

 以前のインタビューでもここ最近、歌に対する思い、捉え方が格段に変わったと言っていた彼女。そんな歌い手としての木村カエラの立ち位置、成長ぶりをこの日はまざまざと感じることができた。武道館が巨大なプラネタリウムとなった、このツアーで初披露された「リリアン」を筆頭に、「Circle」、そして、今や木村カエラの代名詞ともいえる彼女にとって大きな大きな楽曲「Butterfly」では、彼女の包容力のある歌声に会場の温かな<ラララ〜>の合唱が加わり、明確な言葉を交わさずとも観客とカエラとの心の深い深い部分でのつながりを感じたのだった。

 ライブの中盤、白いグランドピアノのもとへ行き、みずからの指でButterflyのメロディをゆっくりと奏でていったカエラ。決してお世辞にも流麗なピアノのメロディーとは言えないながらも、心をこめて1音1音を奏でていくカエラを温かなまなざしで見守る会場。いよいよエンディングを迎え、誰もがほっと胸を撫で下ろそうとしたその瞬間、別の鍵盤に指が触れてしまうというアクシデントが。しかし、いい意味でお互いに張りつめた緊張の糸がとぎれ、気持ちも新たに最後の部分を弾き直し。まさに「Butterfly」の歌詞にあるように、1番を弾き終えたときには<今日はどんなときより素晴らしい>微笑ましい空気、温かな風が会場に充満していたのだった。

 また、「どこ」ではまるで小さなスタジオでセッションをしているかのようなシンプルな照明、アコギの音色のなか、カエラの情感溢れる歌声がより際立ちを見せ、観客は1点の曇りもないまっすぐな歌声、ひたむきな彼女の思いに魅了され、ただただじっと聴き入っていた。

これから先の10年、20年に向けて

 けれど、木村カエラはザ・多面体アーティスト!後半戦はそれまでの神妙な雰囲気はどこへやら!?まずはMCで脱線。「私、タモさん並みの締めをしたいと思います」ときゃしゃな体を最大限のジェスチャーで大きく動かし、観客に拍手喝采をあおる。アリーナ、1階、2階と順番にやっていくのだが、全員のピッタリと揃った呼吸に「超〜〜楽しい〜〜!!みんな可愛い!食べちゃいたい!」とハイテンション。再びトライするもやはりバッチリのコンビネーションに「ウワ〜〜〜なんて気持ちいいんだろう、これ〜!」とノリノリ。

 さらにノリは増し、上下に手を揺らしながら声のウエーブを促したりと、童心に返ってノリノリのカエラ。そんな壁を作らない気さくで明るい性格、遊び心があるのも木村カエラの魅力のひとつ。その勢いを保ったまま、「Ground Control」から「BEAT」「BANZAI」とビートがうねりまくり、アグレッシブなロックチューンで一気に駆け抜け、グルーブ感満載の「TREE CLIMBERS」で本編は終了。

 アンコールでは「お子さんの大好きなこの歌を歌いたいと思います!」と「おどるポンポコリン」をスクリーンのなかでスチャダラパー、ダンディー坂野、そして、ちびまる子ちゃんと夢の共演を果たし、熱唱。映像内ではまる子から5周年おめでとうのケーキのプレゼントが!?

 そして、「Jasper」「Magic Music」で再び熱気に包まれたあと、カエラから最後のMC。「みなさん、今日は本当に来てくれてありがとうございました!次で最後の曲です!……なんて言いたくないんだけど、本当にあっという間でビックリしています」(会場から「ありがとう」の声が)「こちらこそありがとう!(拍手)。私にとっては初めてのアリーナツアーで、武道館も2年9ヶ月ぶりだけど、すごく今日はみんなが近くに感じられました。すごく感動するなって思いながら歌っていました」。残り少ない1万人との時間を惜しむように、感謝の気持ちを切々と語るカエラ。そして、いよいよこの日ラストの楽曲へと時間は進んでいく。

「“君のために歌い続けるから”と歌詞にあるんですけど……。今もずっと変わらないその気持ちを最後に心を込めて歌いたいと思います」

 この日の最後を飾ったのは、アーティスト・木村カエラの出発点となったデビュー曲「Level 42」。今日、ここに集まってくれた1万人の大切な仲間達、1人ひとりに向けて、そして、この濃密な5年間で経験した1つひとつの出来事、感じた思い、関わった人達……、アーティスト・木村カエラを形成するすべてに向けて、彼女は最後まで気持ちがぶれることなく、ひたすら心を込めて歌った。きっとカエラのなかに宿るこの思いはこれから先の10年、20年も変わらないことだろう。

 彼女がアーティスト・木村カエラであり続ける限り。木村カエラが大好きな歌を歌い続けていく限り。
(文:星野彩乃)
【過去の特集&インタビュー】
■特集
 『5年間の軌跡!多彩なカエラワールドの魅力をひもとく』(2010/03/17)
■アルバム『5years』インタビュー
 『5年間の軌跡とワクワクする未来を感じさせるベスト』(2010/02/03)
■アルバム『HOCUS POCUS』インタビュー
 『一度聞いたら忘れられない可愛らしい“おまじない”』(2009/06/24)

そのほか、木村カエラの特集&インタビュー 一覧はこちら
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