デビュー以来、多くのファンが切望していたワンマンライブ。1stアルバム『
1st BEST』を引っさげた記念すべき初ツアーで、それはようやく実現した。今こそ、
Hi-Fi CAMPの真価を見せつける時!だが、そこで気負わないのがまた彼ららしいところ。緊張感は当然あったにせよ、東京・赤坂BLITZのステージには前のめりな気合よりも、むしろライブに対する純粋な喜びと、オーディエンスへの感謝の想いが溢れていた。『1st BEST TOUR〜大変恐縮です...〜』というコミカルなツアータイトルも、聞けばなるほど。「本来なら我々がみなさんのお宅を一軒一軒回らなければいけないところを、今日はお足もとの悪い中、お越しいただきまして、大変恐縮です(笑)」(SOYA)。
ポカリスエットのCMソングとして今年の夏を彩った「
だから一歩前へ踏み出して」で幕を開けたライブは、たびたび笑いを誘うMCを挟みながら、次第に熱を帯びた展開へ。生のバンドサウンドによってダイナミクスが増幅した楽曲たちが、終始パワフルに鳴り響き、それに誘発されるように、メンバーそれぞれの個性も今までになく際立った。
KIMとSOYA、全く個性の異なる2人のボーカルは、時に強く伸びやかなユニゾンで、時に色気をはらんだハーモニーで、オーディエンスの心を揺さぶる。AIBAの鍵盤もここぞとばかりに感情的な抑揚感を生み出していく。音源では控えめなことの多いTOSHIROのスクラッチだって、言わずもがなの大盤振る舞いだ。中盤に用意された“DJ Show”で、故・マイケル・ジャクソンさんへのオマージュを大々的に表現したあたりも、普段はなかなか見られない我らがDJの素顔だろう。ちょっと変わったパート構成のグループだからこそ、こうした面白いステージングがかなうのだ。
ずばり“カッコいい”ライブ。でも、曲間にフロアから盛んに飛んでくる黄色い声援になぜか毎回照れてしまう、そんな素朴さもHi-Fi CAMPならではである。アルバムに伴うツアーでありながら、しっかりと新曲を準備してきたというサービス精神もまたしかり。ちなみに、この新曲「Lost Love Song」は来年2月にシングルとして発表予定とのことだが、彼らの音楽の本質がギュッと凝縮した楽曲であるということだけ、ここに記しておこう。
ラストの「
キズナ」は、会場にいた全員で歌った。このデビュー曲は、こうして歌われるたびに、Hi-Fi CAMPとファンとの繋がりをどんどん強めてくれるのだろう。楽曲の力と、人の力。思えば、そんなことを感じ続けた2時間だった。だからこそ、終演後もずっと胸に残るあったかい気持ち。この心地よさを、今後、もっともっと多くの人に味わってもらいたいと思う。