次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』から生まれたリアルバンド・MyGO!!!!!(マイゴ)が、4thシングル「砂寸奏/回層浮」をリリースした。本インタビューでは、現在開催中の全国ツアー『MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」』でも披露されている同曲たちについて、羊宮妃那(Vo/高松 燈役)、立石凛(Gt/千早 愛音役)、青木陽菜(Gt/要 楽奈役)、小日向美香(Ba/長崎 そよ役)、林鼓子(Dr/椎名 立希役)の5人に話を聞く。
“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンドとして、2022年4月の始動から約1年にわたってキャストの顔や名前を明かさずにステージに立ってきたMyGO!!!!!。昨年4月の単独公演『MyGO!!!!! 4th LIVE「前へ進む音の中で」』でメンバー名とキャストが公表され、同年6月からはテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』が放送開始。1stアルバム『迷跡波』を完成させるなど、怒とうの勢いで2023年を駆け抜けた。
初の全国ツアーでは、初日の東京・Zepp Haneda (TOKYO)公演から進化した姿を見せつけ、今後への期待度をさらに高めた彼女たち。そのタイミングでリリースされた今回のシングルには、そうした進化を採り込みつつ、まさに三者三様と言える振り幅を持った3曲が収録されている。はたしてメンバーの5人は、この楽曲たちを表現する上で何を考え、どのような思いを自らの音に注ぎ込んでいるのだろうか?
■演奏面での“挑戦”に立ち向かい、魅せる新たな一面
――表題曲の「砂寸奏」(読み:さすらい)はツアー初日に披露されましたが、実際に演奏してみて手応えを感じましたか?
【林】「砂寸奏」は、楽器隊みんなで音を止める瞬間が多いんですね。私たちも顔を見合わせて演奏するのがすごく楽しかったですし、お客様からもそういったキメのシーンに対して「すごくかっこいい」「バッチリ」と言っていただけていてうれしかったです。
【小日向】当日のリハーサルで、凛ちゃんと「2番のAメロのキメで目を合わせてみよう」って話して、実際に目を合わせて弾いてみたらピタッと音が止められた感覚があったんです。みんなの目を見ながら演奏する楽しさが普段以上に実感できる曲だなと感じていて、これからライブで披露していくたびにどんどん成長していく曲なんだろうなとも思いました。
【立石】イントロのギターリフがすごく特徴的で、耳に残りやすいのかなと思うんですけど、そこを愛音ちゃん(※立石が作中で演じているキャラクター)が弾いているんです。曲の中で目立つ部分なので少し緊張してしまうんですが、初めて披露した瞬間からみなさんがクラップなどをしてくださっていて…すごくうれしかったですし、勇気をもらいました。
――キメの箇所は、通常のフレーズよりも綿密に練習を重ねたのですか?
【青木】音の切り方1つをとってもメンバーそれぞれにクセがあるので、例えばグリスを入れるか入れないかとか、ドラムの…。
【林】シンバルチョーク(シンバルを指で挟んで振動を止める奏法)もそうだったね。各楽器のミュートの仕方、音の余韻の長さまで細かくすり合わせました。
――3月19日の福岡公演では、もう1つの表題曲「回層浮」(読み:かいそう)も披露されました。
【林】私の中では「特殊な曲」という表現がしっくりきています。ポエトリーの曲は今までにもありましたが、曲展開などがすごく独特で。タイトルに入っている“回”という言葉通り、その場をずっとグルグルと回っているような感覚なんですよね。没入感と言いますか、楽曲の世界そのものに入り込まないと表現するのが難しい曲だなと思っています。
【立石】特殊な曲だなっていうのは私も思いました。あと、ギターフレーズの作りも今までと違うなと。愛音ちゃんはわりと歪ませた音でジャカジャカと弾くことが多いんですが、この曲に関しては半分以上をクリーントーンでアルペジオっぽいフレーズを弾いているんですね。それがすごく新鮮ですし、個人的にもまた新しいギターの弾き方にチャレンジさせていただけています。
【青木】この曲のギターに関しては、私と立石さんそれぞれにポイントがあるんですけど、フレーズ面だとたぶん立石さんの方が難しいです。私のパートは、演奏面よりも音色がポイントになっていますね。ライブでこの世界観を表現するにあたって、新しい音色を追加したんですよ。タイトルの“回”“層”や“浮く”という言葉のイメージに合わせて、深さや空間が感じられるようにコーラスをすごく深くかけていて。この音色でパキパキ弾きすぎてしまうとアンサンブルの中で浮いちゃうので、試行錯誤している最中です。
【小日向】ベースの面でも挑戦どころのある曲だと思います。今までも曲の中で強弱をつけるレッスンは受けてきたんですけど、「回層浮」は特に強弱を意識しないと全体的に平坦な印象になってしまうんですね。なので、この曲ではサビの入りでちょっと勢いよく行きたくなる気持ちを抑えめにして、その後にヤマを持って来た方がいいなと。そんな風にダイナミクスを繊細に作り込んでいます。ほかにも3本の弦を一気に弾く場面があって、そこも新しい挑戦でした。全部の音を綺麗に均等なバランスで鳴らすために指のタッチを優しくしなきゃいけなくて、初めての経験で最初はすごく難しかったですね。ただ、こうやって新しい奏法を使うことで新しい課題も見えて、より練習のモチベーションが高まる楽曲でした。
【羊宮】ライブでは、まだ全体の音の中でどこをガイドにしようか…と探っている最中ですが、レコーディングのときは「海にどんどん沈んでいくような」というディレクションしていただいたので、そういうイメージで歌っています。あと、MyGO!!!!!でポエトリーリーディングを押し出した楽曲で言うと「潜在表明」かなと思うんですが、「回層浮」ではもっとポエトリーの割合が高いので、平歌からしっかりと心情がつながっているように意識して歌っていました。
――3曲目の「処救生」(読み:こきゅう)は、初めて聴いた際にどんな印象を受けましたか?
【林】個人的に、MyGO!!!!!の曲の中で1〜2位を争うくらいに好きな曲なんです。ストーリーとしても、立希(※林が作中で演じているキャラクター)の心情が歌詞に表れているのですごく好きですし、 曲としても出だしのドラムとギターの絡み方がすごくよくて。ドラムにスポットライトが当たる曲だと思うので、すごくうれしくなったことを覚えています。MyGO!!!!!のドラムって難しいんですが、その難しさが伝わりづらいと言いますか…(苦笑)。
――ライブでも音源でも十分すぎるほど伝わっていますよ(笑)。
【林】その中でも、「処救生」はわかりやすく難しさが伝わるんじゃないかと…(笑)。あと、MyGO!!!!!には2ビートの曲が多くて、ジャンルで言うとメロコアやパンクに分類されるような曲が多いんですけど、この曲はどことなく女性らしい雰囲気があって、そこもちょっと立希っぽいなと感じたんです。
【青木】私はアルバムの2〜3曲目くらいに入ってくるような楽曲が来たなって思いました。今までのMyGO!!!!!のサウンドって、バッキングの上で私がオクターブを弾くような構成が多かったんですが、この曲では結構ギターが歌っていて、フレーズもいろいろなタイプのものが入っているんです。そのフレーズ自体も繰り返しではなく箇所ごとに違っていて。音色もすごく凝っていますし、ギターとしてとても聴き応えのある曲だなと思います。
【林】ドラムのフレーズも展開が多くなっていますね。様々なリズムパターンが入ってくる楽曲なので、聴けば聴くほど面白みを感じていただけると思います。
■キャラクターの成長を“同期”させるための試行錯誤
――今回のツアーでは、羊宮さんのステージングの変化にも驚かされています。『5th LIVE「迷うことに迷わない」』直前のインタビューで「アニメで描かれる高松燈(※羊宮が作中で演じているキャラクター)の成長と、作中以外(リアルライブなど)で成長していく燈の両面を表現したい」と仰っていましたが、どんなイメージで臨んでいるのでしょうか?
【羊宮】成長の部分は意識しましたし、ライブのコンセプト的にも初日はああいったパフォーマンスにしようと決めていました。成長の“過程”は省かせていただくきますが、初日としてはまず「もっと動けるようになっていること」もテーマの1つだったんです。
――「動けるようになっている」という成長は、『5th LIVE』以降のリアルライブで身につけたもの…?
【羊宮】言い方が難しいんですが、私が思っている“燈ちゃんの成長”だけでは燈ちゃんを成長させきれないので、周りのスタッフさんの意見もお聞きしながら、「ここまでやっていいだろう」というところまでを演じている感覚なんです。成長のイメージは頭の中にずっとあるんですけど、何をどう成長させたのかという部分について「ここをこうしたよ、ああしたよ」と言ってしまうと、全部が段取りのように聞こえてしまって…。ちょっと言葉選びが難しいんです(笑)。
――そこは燈を演じ、“同期”している羊宮さんだけが理解しておくべきことなのかもしれません。その上であえて聞きますが、羊宮さんの中で燈の“成長し切った”像は出来上がっているのでしょうか?
【羊宮】もともと描いていた像もありつつ、バンド練習でいただくアドバイスやボーカルディレクションを受け取って、自分の中でまた作り直している最中です。今回初めてツアーを回らせていただくにあたっても、ツアー全体を通してのコンセプトが内側にあるので、それをどうやって1つの形にしていこうかな…というところから、まず初日のパフォーマンスを考えていったんです。
■先輩との合同ライブ、最大規模のワンマン…絶え間なく続く“挑戦”へと向かう決意の言葉
――本作のリリースと現在開催中のツアーを経て、4月29日にはPoppin'Partyとの合同ライブ『Divide/Unite』、7月28日と29日には武蔵野の森総合スポーツプラザでの『MyGO!!!!! 6th LIVE』を控えています。
【林】ポピパさん(Poppin'Party)との合同ライブは、初めて先輩バンドと絡ませていただける機会なのですごく楽しみですし、それまでに「MyGO!!!!!ってこういうバンドだよね」というものを確立したいなと思います。それに、先輩と一緒にやらせていただくことでお勉強になるところもたくさんあると思いますし、MyGO!!!!!としても新しい表情が見せられる予感がするんですよね。MyGO!!!!!はポピパさんと全然雰囲気が違う子たちなので、きっと彼女たち自身にも何か変化があると思うんです。それを経た7月の『6th LIVE』ライブは初めての2Daysですし、一皮むけた姿も見せたいなと思っています。
【立石】意気込みとしてはもう「全力で楽しみたい」の一言に尽きるんですが、MyGO!!!!はいろいろな更新をし続けているバンドなので、ポピパさんとの合同ライブでも『6th LIVE』でも、もっともっと成長した姿をお見せできたらいいなと思います。今のツアーでも成長したいですし、5月には野外フェス『JAPAN JAM 2024』にも出させていただくので、そうしたライブの経験をすべて活かして、7月の『6th LIVE』は1つの集大成にしたいです。
【羊宮】まだツアーのことで頭がいっぱいで、どう臨もうかというところにまで至っていないんですが、意気込みとしては変わらず「がんばります」の一言です。
【小日向】憧れのPoppin'Partyさんとの合同ライブも、最大規模の単独公演も、全部のライブにおいて今までもこれからも「すべてを出し切る」っていう気持ちです。2023年までの私は、ステージに立つときに不安とか緊張の方が勝っていたのですが、2024年から楽しいの方が勝るようになってきたんです。なので、今後のライブもこの気持ちを大切に、楽しんで立てたらと思っています。そよちゃんと一緒に、MyGO!!!!!のみんなと一緒に、どんな景色が見れるのかなっていうワクワクがたくさんある1年なので、足を運んでくださるみなさんにもワクワクしていただける年にしたいなと思っています。
【青木】まだツアーの最中ですが、ライブハウス4公演を終えたMyGO!!!!!が今からすごく楽しみなんです。そして、そのMyGO!!!!!がポピパさんとの合同ライブで何を見せられるのかっていうのもすごく楽しみ。ポピパさんのファンの方々にMyGO!!!!!もいいなって思ってもらえるようにがんばりたいです。あと、『6th LIVE』は今までで一番大きな会場なので、やっぱり大きな会場で見るMyGO!!!!!もいいなって思っていただけるよう、どの会場でも楽しいライブをお届けできるようにみんなでがんばりたいと思います。
――みなさんにとって2023年は、メンバー名&キャスト公表やテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』の放映開始、1stアルバム『迷跡波』のリリースなど、激動の1年だったかと思います。そこで最後に、2024年をどういう年にしたいか、このシングルになぞらえて漢字3文字でお答えいただきたいです。
【林】じゃあ私から!『舞輝鼓』で「生きる」って読みます。まず、私たちはMyGO!!!!!のリアルライブもそうですし、個人のお仕事としてライブステージや舞台をやらせていただくこともあって。やっぱり役者としてそのステージの上で輝きたい。その思いを最初の2文字に込めました。そして、そんな私の姿でみなさんをドキドキさせたいし、生きる活力にしてほしいなという意味で最後に『鼓』を付けています。そういう役者でありたいですし、パフォーマーでありたい。今年は「役者として生きる」という意味でこの3文字にしました。
【立石】読み方まで考えてなかった…(笑)。漢字は『新進伸』です。MyGO!!!!!として、2023年は本当に新しい経験ばかりだったんですが、 2024年も変わらずいろいろな新しいことに挑戦できる年にしたいなという意味を込めています。あと、個人的に大学を卒業して新社会人になる年なので、心機一転でがんばりたくて。『進』はそのまま「迷子でも進め」の『進』で、『伸』は成長の意味を込めて、役者としてもっと成長したいという気持ちと、「MyGO!!!!!はまだまだ伸びしろがあるよね」という気持ちで付けました。
【小日向】私は『迷進盤(めいしんばん)』。MyGO!!!!!も私個人もこれまで迷いながら、ときに意見を出し合って進んできましたが、これからも羅針盤で目標を定めて進んでいくように、みんなと同じ方向に向かって迷子になりながらも一緒に歩んでいきたいという思いを込めて、この三文字にしてみました。
【青木】どうしよう…美香ちゃんとすごく似てる(笑)。私は『迷進鳴(めいしんきょう)』です。MyGO!!!!!はモットーとして「迷子でも進め」を掲げてきていて、これからもその姿勢でやっていきたいですし、個人的にも「わからないことや悩むことがあっても、とりあえず進んでみる」というのがモットーなので、それを2024年もやっていきたいなと。最後の『鳴』は、今までの「バンドで音を鳴らしていこう」というところからステップアップしていって、お客さんと共鳴し合う、音と音でコミュニケーションが取り合える瞬間を増やしていきたいので付けました。今年はみんなで『迷進鳴』したいと思います。
【羊宮】私は白を3つ、『白白白』で「はじまり」って読みます。真っ白なキャンバスにみんなでいろいろな色を塗っていきたい。その場その場で描かれるキャンバスはすべて違っているけれど、いつでも初心に戻ることができる白がいいなって。いつでもどこからでもまたスタートを切ることができる。戻っていても進んでいても関係なく、いろいろな方向に答えがある…という意味を込めてみました。
“現実(リアル)”と“仮想(キャラクター)”が同期するバンドとして、2022年4月の始動から約1年にわたってキャストの顔や名前を明かさずにステージに立ってきたMyGO!!!!!。昨年4月の単独公演『MyGO!!!!! 4th LIVE「前へ進む音の中で」』でメンバー名とキャストが公表され、同年6月からはテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』が放送開始。1stアルバム『迷跡波』を完成させるなど、怒とうの勢いで2023年を駆け抜けた。
初の全国ツアーでは、初日の東京・Zepp Haneda (TOKYO)公演から進化した姿を見せつけ、今後への期待度をさらに高めた彼女たち。そのタイミングでリリースされた今回のシングルには、そうした進化を採り込みつつ、まさに三者三様と言える振り幅を持った3曲が収録されている。はたしてメンバーの5人は、この楽曲たちを表現する上で何を考え、どのような思いを自らの音に注ぎ込んでいるのだろうか?
■演奏面での“挑戦”に立ち向かい、魅せる新たな一面
――表題曲の「砂寸奏」(読み:さすらい)はツアー初日に披露されましたが、実際に演奏してみて手応えを感じましたか?
【林】「砂寸奏」は、楽器隊みんなで音を止める瞬間が多いんですね。私たちも顔を見合わせて演奏するのがすごく楽しかったですし、お客様からもそういったキメのシーンに対して「すごくかっこいい」「バッチリ」と言っていただけていてうれしかったです。
【小日向】当日のリハーサルで、凛ちゃんと「2番のAメロのキメで目を合わせてみよう」って話して、実際に目を合わせて弾いてみたらピタッと音が止められた感覚があったんです。みんなの目を見ながら演奏する楽しさが普段以上に実感できる曲だなと感じていて、これからライブで披露していくたびにどんどん成長していく曲なんだろうなとも思いました。
【立石】イントロのギターリフがすごく特徴的で、耳に残りやすいのかなと思うんですけど、そこを愛音ちゃん(※立石が作中で演じているキャラクター)が弾いているんです。曲の中で目立つ部分なので少し緊張してしまうんですが、初めて披露した瞬間からみなさんがクラップなどをしてくださっていて…すごくうれしかったですし、勇気をもらいました。
――キメの箇所は、通常のフレーズよりも綿密に練習を重ねたのですか?
【青木】音の切り方1つをとってもメンバーそれぞれにクセがあるので、例えばグリスを入れるか入れないかとか、ドラムの…。
【林】シンバルチョーク(シンバルを指で挟んで振動を止める奏法)もそうだったね。各楽器のミュートの仕方、音の余韻の長さまで細かくすり合わせました。
――3月19日の福岡公演では、もう1つの表題曲「回層浮」(読み:かいそう)も披露されました。
【林】私の中では「特殊な曲」という表現がしっくりきています。ポエトリーの曲は今までにもありましたが、曲展開などがすごく独特で。タイトルに入っている“回”という言葉通り、その場をずっとグルグルと回っているような感覚なんですよね。没入感と言いますか、楽曲の世界そのものに入り込まないと表現するのが難しい曲だなと思っています。
【立石】特殊な曲だなっていうのは私も思いました。あと、ギターフレーズの作りも今までと違うなと。愛音ちゃんはわりと歪ませた音でジャカジャカと弾くことが多いんですが、この曲に関しては半分以上をクリーントーンでアルペジオっぽいフレーズを弾いているんですね。それがすごく新鮮ですし、個人的にもまた新しいギターの弾き方にチャレンジさせていただけています。
【青木】この曲のギターに関しては、私と立石さんそれぞれにポイントがあるんですけど、フレーズ面だとたぶん立石さんの方が難しいです。私のパートは、演奏面よりも音色がポイントになっていますね。ライブでこの世界観を表現するにあたって、新しい音色を追加したんですよ。タイトルの“回”“層”や“浮く”という言葉のイメージに合わせて、深さや空間が感じられるようにコーラスをすごく深くかけていて。この音色でパキパキ弾きすぎてしまうとアンサンブルの中で浮いちゃうので、試行錯誤している最中です。
【小日向】ベースの面でも挑戦どころのある曲だと思います。今までも曲の中で強弱をつけるレッスンは受けてきたんですけど、「回層浮」は特に強弱を意識しないと全体的に平坦な印象になってしまうんですね。なので、この曲ではサビの入りでちょっと勢いよく行きたくなる気持ちを抑えめにして、その後にヤマを持って来た方がいいなと。そんな風にダイナミクスを繊細に作り込んでいます。ほかにも3本の弦を一気に弾く場面があって、そこも新しい挑戦でした。全部の音を綺麗に均等なバランスで鳴らすために指のタッチを優しくしなきゃいけなくて、初めての経験で最初はすごく難しかったですね。ただ、こうやって新しい奏法を使うことで新しい課題も見えて、より練習のモチベーションが高まる楽曲でした。
【羊宮】ライブでは、まだ全体の音の中でどこをガイドにしようか…と探っている最中ですが、レコーディングのときは「海にどんどん沈んでいくような」というディレクションしていただいたので、そういうイメージで歌っています。あと、MyGO!!!!!でポエトリーリーディングを押し出した楽曲で言うと「潜在表明」かなと思うんですが、「回層浮」ではもっとポエトリーの割合が高いので、平歌からしっかりと心情がつながっているように意識して歌っていました。
――3曲目の「処救生」(読み:こきゅう)は、初めて聴いた際にどんな印象を受けましたか?
【林】個人的に、MyGO!!!!!の曲の中で1〜2位を争うくらいに好きな曲なんです。ストーリーとしても、立希(※林が作中で演じているキャラクター)の心情が歌詞に表れているのですごく好きですし、 曲としても出だしのドラムとギターの絡み方がすごくよくて。ドラムにスポットライトが当たる曲だと思うので、すごくうれしくなったことを覚えています。MyGO!!!!!のドラムって難しいんですが、その難しさが伝わりづらいと言いますか…(苦笑)。
――ライブでも音源でも十分すぎるほど伝わっていますよ(笑)。
【林】その中でも、「処救生」はわかりやすく難しさが伝わるんじゃないかと…(笑)。あと、MyGO!!!!!には2ビートの曲が多くて、ジャンルで言うとメロコアやパンクに分類されるような曲が多いんですけど、この曲はどことなく女性らしい雰囲気があって、そこもちょっと立希っぽいなと感じたんです。
【青木】私はアルバムの2〜3曲目くらいに入ってくるような楽曲が来たなって思いました。今までのMyGO!!!!!のサウンドって、バッキングの上で私がオクターブを弾くような構成が多かったんですが、この曲では結構ギターが歌っていて、フレーズもいろいろなタイプのものが入っているんです。そのフレーズ自体も繰り返しではなく箇所ごとに違っていて。音色もすごく凝っていますし、ギターとしてとても聴き応えのある曲だなと思います。
【林】ドラムのフレーズも展開が多くなっていますね。様々なリズムパターンが入ってくる楽曲なので、聴けば聴くほど面白みを感じていただけると思います。
■キャラクターの成長を“同期”させるための試行錯誤
――今回のツアーでは、羊宮さんのステージングの変化にも驚かされています。『5th LIVE「迷うことに迷わない」』直前のインタビューで「アニメで描かれる高松燈(※羊宮が作中で演じているキャラクター)の成長と、作中以外(リアルライブなど)で成長していく燈の両面を表現したい」と仰っていましたが、どんなイメージで臨んでいるのでしょうか?
【羊宮】成長の部分は意識しましたし、ライブのコンセプト的にも初日はああいったパフォーマンスにしようと決めていました。成長の“過程”は省かせていただくきますが、初日としてはまず「もっと動けるようになっていること」もテーマの1つだったんです。
――「動けるようになっている」という成長は、『5th LIVE』以降のリアルライブで身につけたもの…?
【羊宮】言い方が難しいんですが、私が思っている“燈ちゃんの成長”だけでは燈ちゃんを成長させきれないので、周りのスタッフさんの意見もお聞きしながら、「ここまでやっていいだろう」というところまでを演じている感覚なんです。成長のイメージは頭の中にずっとあるんですけど、何をどう成長させたのかという部分について「ここをこうしたよ、ああしたよ」と言ってしまうと、全部が段取りのように聞こえてしまって…。ちょっと言葉選びが難しいんです(笑)。
――そこは燈を演じ、“同期”している羊宮さんだけが理解しておくべきことなのかもしれません。その上であえて聞きますが、羊宮さんの中で燈の“成長し切った”像は出来上がっているのでしょうか?
【羊宮】もともと描いていた像もありつつ、バンド練習でいただくアドバイスやボーカルディレクションを受け取って、自分の中でまた作り直している最中です。今回初めてツアーを回らせていただくにあたっても、ツアー全体を通してのコンセプトが内側にあるので、それをどうやって1つの形にしていこうかな…というところから、まず初日のパフォーマンスを考えていったんです。
■先輩との合同ライブ、最大規模のワンマン…絶え間なく続く“挑戦”へと向かう決意の言葉
――本作のリリースと現在開催中のツアーを経て、4月29日にはPoppin'Partyとの合同ライブ『Divide/Unite』、7月28日と29日には武蔵野の森総合スポーツプラザでの『MyGO!!!!! 6th LIVE』を控えています。
【林】ポピパさん(Poppin'Party)との合同ライブは、初めて先輩バンドと絡ませていただける機会なのですごく楽しみですし、それまでに「MyGO!!!!!ってこういうバンドだよね」というものを確立したいなと思います。それに、先輩と一緒にやらせていただくことでお勉強になるところもたくさんあると思いますし、MyGO!!!!!としても新しい表情が見せられる予感がするんですよね。MyGO!!!!!はポピパさんと全然雰囲気が違う子たちなので、きっと彼女たち自身にも何か変化があると思うんです。それを経た7月の『6th LIVE』ライブは初めての2Daysですし、一皮むけた姿も見せたいなと思っています。
【立石】意気込みとしてはもう「全力で楽しみたい」の一言に尽きるんですが、MyGO!!!!はいろいろな更新をし続けているバンドなので、ポピパさんとの合同ライブでも『6th LIVE』でも、もっともっと成長した姿をお見せできたらいいなと思います。今のツアーでも成長したいですし、5月には野外フェス『JAPAN JAM 2024』にも出させていただくので、そうしたライブの経験をすべて活かして、7月の『6th LIVE』は1つの集大成にしたいです。
【羊宮】まだツアーのことで頭がいっぱいで、どう臨もうかというところにまで至っていないんですが、意気込みとしては変わらず「がんばります」の一言です。
【小日向】憧れのPoppin'Partyさんとの合同ライブも、最大規模の単独公演も、全部のライブにおいて今までもこれからも「すべてを出し切る」っていう気持ちです。2023年までの私は、ステージに立つときに不安とか緊張の方が勝っていたのですが、2024年から楽しいの方が勝るようになってきたんです。なので、今後のライブもこの気持ちを大切に、楽しんで立てたらと思っています。そよちゃんと一緒に、MyGO!!!!!のみんなと一緒に、どんな景色が見れるのかなっていうワクワクがたくさんある1年なので、足を運んでくださるみなさんにもワクワクしていただける年にしたいなと思っています。
【青木】まだツアーの最中ですが、ライブハウス4公演を終えたMyGO!!!!!が今からすごく楽しみなんです。そして、そのMyGO!!!!!がポピパさんとの合同ライブで何を見せられるのかっていうのもすごく楽しみ。ポピパさんのファンの方々にMyGO!!!!!もいいなって思ってもらえるようにがんばりたいです。あと、『6th LIVE』は今までで一番大きな会場なので、やっぱり大きな会場で見るMyGO!!!!!もいいなって思っていただけるよう、どの会場でも楽しいライブをお届けできるようにみんなでがんばりたいと思います。
――みなさんにとって2023年は、メンバー名&キャスト公表やテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』の放映開始、1stアルバム『迷跡波』のリリースなど、激動の1年だったかと思います。そこで最後に、2024年をどういう年にしたいか、このシングルになぞらえて漢字3文字でお答えいただきたいです。
【林】じゃあ私から!『舞輝鼓』で「生きる」って読みます。まず、私たちはMyGO!!!!!のリアルライブもそうですし、個人のお仕事としてライブステージや舞台をやらせていただくこともあって。やっぱり役者としてそのステージの上で輝きたい。その思いを最初の2文字に込めました。そして、そんな私の姿でみなさんをドキドキさせたいし、生きる活力にしてほしいなという意味で最後に『鼓』を付けています。そういう役者でありたいですし、パフォーマーでありたい。今年は「役者として生きる」という意味でこの3文字にしました。
【立石】読み方まで考えてなかった…(笑)。漢字は『新進伸』です。MyGO!!!!!として、2023年は本当に新しい経験ばかりだったんですが、 2024年も変わらずいろいろな新しいことに挑戦できる年にしたいなという意味を込めています。あと、個人的に大学を卒業して新社会人になる年なので、心機一転でがんばりたくて。『進』はそのまま「迷子でも進め」の『進』で、『伸』は成長の意味を込めて、役者としてもっと成長したいという気持ちと、「MyGO!!!!!はまだまだ伸びしろがあるよね」という気持ちで付けました。
【小日向】私は『迷進盤(めいしんばん)』。MyGO!!!!!も私個人もこれまで迷いながら、ときに意見を出し合って進んできましたが、これからも羅針盤で目標を定めて進んでいくように、みんなと同じ方向に向かって迷子になりながらも一緒に歩んでいきたいという思いを込めて、この三文字にしてみました。
【青木】どうしよう…美香ちゃんとすごく似てる(笑)。私は『迷進鳴(めいしんきょう)』です。MyGO!!!!!はモットーとして「迷子でも進め」を掲げてきていて、これからもその姿勢でやっていきたいですし、個人的にも「わからないことや悩むことがあっても、とりあえず進んでみる」というのがモットーなので、それを2024年もやっていきたいなと。最後の『鳴』は、今までの「バンドで音を鳴らしていこう」というところからステップアップしていって、お客さんと共鳴し合う、音と音でコミュニケーションが取り合える瞬間を増やしていきたいので付けました。今年はみんなで『迷進鳴』したいと思います。
【羊宮】私は白を3つ、『白白白』で「はじまり」って読みます。真っ白なキャンバスにみんなでいろいろな色を塗っていきたい。その場その場で描かれるキャンバスはすべて違っているけれど、いつでも初心に戻ることができる白がいいなって。いつでもどこからでもまたスタートを切ることができる。戻っていても進んでいても関係なく、いろいろな方向に答えがある…という意味を込めてみました。
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2024/03/20