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“ヒール役”長澤まさみの存在感 西川美和監督も信頼「これくらいの悪役は跳ね返してやってくれる」

 俳優の役所広司が主演を務める映画『すばらしき世界』(2月11日公開)。本作には、女優の長澤まさみが“テレビプロデューサー”役で出演しているが、彼女が演じたヒール役の存在感に注目したい。

映画『すばらしき世界』より長澤まさみの場面写真(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

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 長澤は、2000年にデビュー以来、シリアスからコメディー作品まで色を変えてさまざまな役柄に挑戦。人気シリーズ『コンフィデンスマンJP』のダー子役ではキャラクターを確立させ、昨年公開された『MOTHER マザー』では、一筋縄ではいかない“毒親”を演じきった。

 本作で長澤が演じる吉澤は、若手テレビマンの津乃田(仲野太賀)と刑務所の受刑者の経歴を細かに記した台帳「身分帳」を送り、13年ぶりに出所した三上正夫(役所)をテレビ番組のネタとして取材するようたきつける。三上の密着映像を目にすると「もう最高じゃん!」と不敵な笑みを浮かべたり、三上と対面するや、本音と建前を使い分け言葉巧みにそそのかそうとするなど、利益のためなら下世話さや冷徹さが前面に出る“嫌な役”だ。

 メガホンをとった西川美和監督は“この役は長澤まさみしかいない”と思ったといい「年齢と共にどんどん幅が広くなっている。画面的にもナンバーワンの美しさだと思います。きれいな女優さんであればあるほど、なかなかヒール(悪役)を受け入れることに時間がかかると思うんです。でも今の長澤さんなら、これくらいの悪役は、跳ね返してやってくれるだろうなと思ってお願いしました」と長澤を抜てきした思いを語る。

 長澤自身、西川組や役所の芝居に対する姿勢にふれ「常に緊張感があり、コツコツと積み重ねる仕事だとあらためて思いました。求められているものが、どんどん明確になっていくのが楽しかったです」と振り返る。続けて「台本はのめりこむようにあっという間に読んでしまいました、時代の流れと共に変わっていく人間の感覚について考えさせられましたね。(三上は)時代錯誤な人に感じられるけど、そういう時が経ったことに気付いていない人はじつは世の中にはたくさんいると思います。最後はふしぎと心が温かい気持ちになる作品です」と思いをはせる。

 そして、役所演じる三上については「どこか愛らしくてかわいらしい一面があるので、感情移入していけると思います。過激なシーンもあるんですけど、それがクスクス笑えるシーンになるんです。お芝居を重ねるうちに三上の別の顔をもっともっと見たいと思っていました。西川監督の作品に出てくる男性たちは、どこか欠点があって、完璧でない部分が人間らしさにつながっていると思います」と語る。

 一見、吉澤というキャラクターは嫌な面にスポットが当たるが、実は彼女の放つ言葉には社会の不寛容や憤りに問題点を感じ、この世の中に一石を投じてやるという確固たる信念も垣間見える。ただのヒールでおさまらないのは、長澤の演技力のたまものであり、強くしなやかな女性を演じる彼女の一面を本作で堪能できるだろう。

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  • 映画『すばらしき世界』より長澤まさみの場面写真(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
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