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和田彩花、26歳誕生日に集大成のワンマンライブ 3度延期の末に実現

 昨年6月にハロー!プロジェクトのアイドルグループ・アンジュルムを卒業した和田彩花が、26歳の誕生日である1日に東京・Zepp Tokyoでワンマンライブ『和田彩花 2020 延期の延期の延期』を開催した。

ワンマンライブ『和田彩花 2020 延期の延期の延期』を開催した和田彩花

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 和田は、2月から3月にかけて初のソロツアーを実施する予定だったが、初日の愛知・Zepp Nagoyaは開催できたものの、新型コロナウイルスの影響でその後の大阪公演は中止、東京公演は延期に。本公演は、3回の延期の末に実現した東京でのソロ初ワンマンライブ。新型コロナウイルス感染拡大防止を考慮し、キャパシティー2800人の会場に400人の観客を動員。今回のライブで披露された楽曲は、全て和田が作詞を担当、公演自体もセルフプロデュースした。

 和田はバンドメンバーとともにステージに登場すると、オープニングのインスト曲に続けてフランス語詞の「Une idole」を歌唱しライブをスタート。透明度の高いミディアムポップチューンで、観客は一気に彼女の世界観に引き込まれていった。そして「少しの寂しさとともに」では切ないメロディをうねりのあるサウンドを届けていく。観客は、歓声の代わりに和田へ熱い拍手を送った。

 アンビエントなサウンドに乗せて、和田はポエトリーリーディングを行う。「(一部抜粋)もう、抵抗のためだけに仕事が一番だなんて示す必要はないし、私生活がないかのような態度を示す必要もない。複雑な思いを一旦吐き出し、表現できる場と環境を大切にする姿勢を貫くことが彼女には必要で、『今日は誕生日だから、仕事が終わったら早く帰る』そう口にすることも必要だ」という詩は、現在の彼女のスタンスを表す言葉のように感じられた。

 ステージの大きなスクリーンに映し出されるほとんどの映像は、本人が撮影を行ったもの。このライブでは、音楽と映像のマッチングが絶妙だった。モノクロの首都高の映像とともに披露されたシティポップフレイバーの「空を遮る首都高速」は、ゾクゾクする高揚感が感じられた。「メロウなサウンドのホットラテ」は、彼女が制作したミュージックビデオ(MV)とともに演奏が行われる。温かいメロディに乗る歌詞は、個々の価値観を認め合う思いが歌われている。

 ブレイクを挟んで、ドゥルッティ・コラムのようなディレイのギターサウンドから始まるのは「それでも愛を信じるのは」。愛することをテーマにしたこの楽曲は、キーボードの楢原がバイオリンを奏で、トラッドミュージックとして届けられた。淡々としたイントロから徐々にテンポがアップしていく「スターチス」は、静と動が交差するミッドポップチューン。和田から投げかけられるさまざまなタイプの楽曲を、観客は真正面から受け止め、曲が終わるごとに大きな拍手で応えた。

 ここからライブはさらに深みを増していく。日本のジェンダーギャップ世界指数に対しての思いをつづった「121位」は、グルーミーなボーカル、ダビーなサウンドは凄まじい迫力が感じられた。スクリーンが青一面に染まって披露されたのは「マリッジブルー」。オータケが鉄琴、劔がコントラバスを演奏。まどろみ感のあるサウンドは後半熱を帯びていき、バイオリンのソロからまたひとつ違う世界へと誘って行く。ライブの雰囲気をチェンジするかのように「届けられたのは無題」。アップテンポのサウンドで、和田は音と一体化したダンスを見せた。

 VTRを挟んでからのライブ後半戦は、悲しみを乗り越えていく思いを力強い歌で伝える「For me and you」、運命の巡り合わせを歌う疾走感あふれるナンバー「あれは運命的な出来事」を歌唱。「この気持ちの行く先に」では、さまざまな意見がある人間同士だが、いつかは分かり合って未来を作っていきたいという歌詞を、和田は熱い思いを吐き出すように言葉に感情をしっかりと込めて歌っていく。

 そして、ミディアムチューン「あなたが選んだものあなたが選ぶもの」が披露された。和田は人それぞれの選択を尊重していこうというメッセージを温かいメロディで歌唱する。広がりのある歌と演奏には、大きな愛で包み込んでいくような力強さを感じ取れた。優しさと強さのこもったドラマチックな世界観が会場に響くと、観客はこれまで以上の大きな拍手を送った。

 笑顔の和田は「短い時間でしたがありがとうございました」とシンプルな言葉で観客に感謝を伝える。そして繊細なピアノの音色から、あなたという存在の大切さを歌う「#15」が届けられた。続けてギターのアルペジオがループしていき、オープニングで演奏されたインスト曲に歌詞が乗った「エピローグ」が披露される。

 優しさにあふれたボーカルとサウンドが会場を包むと、最後には会場の上空にある花のロープが観客の頭上の近くまで降りてきた。以前から和田は「ステージと客席の境目を無くしたい」という思いを公言していたが、コロナ禍でそれを実現するのは難しい現状だ。そこで自分の気持ちを、演者と観客をつなぐ花の架け橋として表現。ピースな思いをしっかりと観客に伝えて、ライブは終了となった。

 昨年8月1日にソロのキャリアをスタートした和田。このライブは、ハロー!プロジェクトから卒業し、全て1から学び築き上げてきた1年間の集大成的な内容だった。自身が今感じる思いを音楽として届ける。シンプルでありながらとても難しい作業を、ひとつずつクリアしながらたどり着いたZepp Tokyoワンマン。彼女の成長と未知なる可能性を感じられる濃密な時間だった。

 またライブの模様は『uP!!!オンラインライブ』で有料配信され、全国のファンが和田のステージを観覧した。

■ワンマンライブ『和田彩花 2020 延期の延期の延期』セットリスト
01. Une idole
02. 少しの寂しさとともに
03. 空を遮る首都高速
04. ホットラテ
05. それでも愛を信じるのは
06. スターチス
07. 121位
08. オリーブをくわえた鳩が飛ぶ日には
09. マリッジブルー
10. 無題
11. For me and you
12. あれは運命的な出来事
13. この気持ちの行く先に
14. あなたが選んだものあなたが選ぶもの
15. #15
16. エピローグ

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