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「プラバン消費量日本一」「ドラマ性を再現」二人が魅せられた空母の“強さ”と“悲哀”

 1958年に国産プラモデルが誕生してから60余年。戦車や軍艦、飛行機など対象となる物の形状をスケールに基づいて忠実に再現した模型「スケールモデル」は、プラモ誕生当時から不動の人気を誇っている。中でも、第二次世界大戦(WW2)における日本海軍空母のプラモが醸す“儚さ”や“悲哀”に魅せられるモデラーは少なくない。今回、プラバンを使って骨組みから作り上げていくフルスクラッチ(完全自作)を得意とするモデラー・けんちっく氏と、軍艦や空母はもちろん、その情景をスクラッチビルドで再現する実力派モデラー・宮崎日出雄氏の二人を取材。艦船模型に魅せられた原体験や空母を作り続ける理由について聞いた。

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■空母はまるで『サンダーバード』の秘密基地(けんちっく)

 WW2において、旧日本海軍の主力を担った航空母艦。一方で、大戦末期においては“搭載する航空機”も“燃料も満足にない”、という苦難の道を歩んでもいる。そんな悲哀に満ちた空母を作り続ける、モデラー・けんちっく氏。

 空母を制作する理由について聞くと、「戦艦や巡洋艦ももちろん好きです。でも“空母への愛”のほうがはるかに上回っているんでしょうね」と回答。普段は格納庫の中で翼を休める艦載機が、「出撃!」の号令とともに飛行甲板上にせり上がり一斉に飛び立って行く。そして任務を終えると帰艦し、また格納されていく…そんな一連の流れが他の艦種には無い空母の恰好良さだと説明する。それはまるで「『サンダーバード』の秘密基地みたいで子どものころから大好きでした。昔から男の子はみんな秘密基地が大好きですよね」と笑った。

 そんなけんちっく氏にとって一番好きな空母とは。

 「WW2後期になって登場してきた『雲龍型』と呼ばれる旧日本海軍の空母が大好きです。無駄を削ぎ落したスマートな船体と直線を基調としたシャープな構造物。そして奇怪なデザインの対空、対潜迷彩など、全てが私のツボにハマりました」と語るけんちっく氏。雲龍型で実際に竣工されたのはわずか3隻だけだが、その時にはすでに搭載する艦載機も無く、もちろん実戦での活躍は皆無。「そこがまた悲哀に満ちて感情を揺さぶるんです」と、“空母愛”を力説した。

 実際、けんちっく氏は大好きな空母を、プラバンで骨組みから作り上げていくフルスクラッチ(完全自作)という技法で制作。そして今では、模型用の名刺に「プラバン消費量日本一の男」という別称を用いるほど。そんな氏にとって、雲龍型空母の2番艦天城は一番好きな作品だという。

 「天城は1/350で制作しました。実際の天城は艦載機も燃料も無く、空母として全く機能しないまま呉軍港に停泊中に米軍の攻撃を受けて損傷しその場で横転、戦後寂しく解体処分されました。そんな悲運の空母を、模型では艦載機満載の威風堂々たる姿で再現してあげたかったのです」

 そして、今後の夢として「いつかは1/100の空母模型を作ってみたい」とコメント。「200m級の空母だと2メートルの大きさになります。5年くらいかけてじっくりと取り組んでみたいですね。ただ住宅事情がそれを許さないんですよ(苦笑)。だから、いつか専用の制作工房を持つのも夢ですね」と、“モデラーあるある”を笑顔で話してくれた。

■空母の艦載機や整備スタッフが一体となって醸し出す“ドラマ性”(宮崎日出雄)

 軍艦や空母はもちろん、その情景をスクラッチビルドで再現する実力派モデラー・宮崎日出雄氏。艦船模型に魅せられた幼き日の原体験や、プラモ制作を通じて歴史を学ぶ意義を聞いた。

 空母愛が目覚めた原体験について宮崎氏は、映画『ミッドウェイ』(1976年制作)の存在をあげた。「中学の時にTV放送で見て、空母(および艦載機)の魅力にハマりました。戦艦より高い攻撃力を持ちながら脆弱さも併せ持った“悲哀”さ、“儚さ”に心惹かれるものがありました。日本語吹き替えの妙も手伝っていると思います。特に米空母攻撃隊のセリフが格好良かったですね」

 そして、一番好きな空母については、「一番に絞るのは非常に難しいのですが…」と悩みつつも、イギリス空母『フューリアス』の名前を挙げた。

 「当初巡洋戦艦として46センチ単装砲を備える計画でしたが実験空母に改造され、その構造は日本空母の設計にも影響を与えています。独特の外観や迷彩塗装の姿に魅力を感じます。フルスクラッチで1/700姿を再現できた時の満足感は非常に大きいものでした。日本の空母なら『飛龍』でしょうか。映画『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』(東宝/1960年公開)の飛龍オープンセットのインパクトが強いのと、ミッドウェイ海戦の時のドラマ性にも惹かれます」

 数多くの空母を制作してきた宮崎氏。空母に魅せられた最大の要因とは。

 「空母には、強さ、儚さ、脆さがあります。それゆえ、模型的に捉えた時に“ジオラマ映え”すると感じます。艦船そのものの格好良さに加えて、魅力的な艦載機、それを整備、操縦するスタッフや様々な甲板作業者が一体となって醸し出す“ドラマ性”にも惹かれます」

 数多くのプラモデルを作ることで艦船の歴史を学び、軍艦や空母への思い入れも強くなっていったと振り返る宮崎氏。「歴史の“ひとコマを切り取って模型で再現したい」という思いが“模型制作の原動力”だと力強く語った。

関連写真

  • 作品:イギリス海軍の航空母艦アーク・ロイヤルIV 制作:宮崎日出雄
  • 制作:宮崎日出雄
  • 制作:宮崎日出雄
  • 制作:宮崎日出雄
  • 制作:宮崎日出雄
  • 制作:宮崎日出雄
  • 制作:けんちっく
  • 制作:けんちっく
  • 制作:けんちっく
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