テレビ朝日系で放送中のドラマ『緊急取調室』(毎週木曜 後9:00)。可視化設備の整った特別取調室を舞台に、天海祐希演じる取調官・真壁有希子をはじめ、「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」のメンバーが、訳ありの容疑者から真実を聞き出し、難解な事件を解決に導いていくドラマ。今回、一進一退の心理バトルが繰り広げられる取調室や、キントリメンバーが円陣を組む控室のセットに潜入。人気ドラマを裏側から支えている美術セットのこだわりを美術進行の石橋麻穂さんに聞いた。
【記者】キャストが誰もいないからでしょうか、取調室やキントリメンバーのデスクが並ぶ控室は意外と広いですね。
【石橋さん】そうですね。私はシーズン2から携わっていますが、セットはシーズンごとに作り直しているので、変わっていないようで、よく見るとちょっとずつ違うところがあります。シーズンを重ねるごとに、カメラマンや照明さんなどが仕事しやすいように工夫と改善が加わっているんです。
【記者】そうだったんですか! 実際の警視庁にもこういう取調室があって参考にしているんですか?
【石橋さん】警視庁にあるかどうかは、わからないですし、あっても見せてもらえないと思います(笑)。このドラマの特別取調室は完全にフィクション、オリジナルデザインです。通常の取調室にカメラなどの機材を設置すると、それでなくても狭い空間がさらに狭くなってしまうということで、急きょ、地下1階の機械室を改装して特別取調室を作った…というバックストーリーがあるので、壁はコンクリート打ちっぱなし、電気系の配線もそのまま見せて、元機械室らしさをあえて出したセットになっています。天井の配線は、テレビ朝日の改修工事で撤去された配線をもらったものなんですよ。
【記者】カメラは何台設置されているのですか?
【石橋さん】天井に1台、机に1台、取調官側と容疑者側にそれぞれ1台ずつ、合計4台あります。カメラはすべて取調控室のモニタとつながっていて、実際に録音録画もしています。控室のモニタ画面はハメコミ合成だと思っている方もいらっしゃると思いますがリアルな映像を使っているところが『キントリ』の特徴です。さらに、取調室のカメラで撮った映像を本編で使うこともあります。この4台のカメラの配置が、容疑者の表情やしぐさ、取調官とのやりとりを捉える仕組みとしてベストなんじゃないかと、現在の配置に落ち着きました。
【記者】ひそかに実際の警察も参考にしているかもしれないですね。
【石橋さん】そういうことで、世の中の役に立てたらうれしいですね(笑)。取調室の4台のカメラの映像はセットの裏側にあるモニタともつながっていて、裏からコントロールすることもできるようになっています。磐城刑事部長(大倉孝二)がデスクで見ている四分割画面は4台のカメラで録画した映像を編集して作っています。
■『キントリ』らしいスタイリッシュさを出す工夫
【記者】シーズン3から新たに加わった第2取調室は?
【石橋さん】台本上、第2取調室が必要になって、機械室前の搬入エレベーターホールを改造して取調室にした、ということにして、急ごしらえ感を出しました。エレベーターホールなので、AED(自動体外式除細動器)がそのままあったりして(笑)。
【記者】第2取調室は録音録画設備のない、オーソドックスな取調室なのかもしれないですが、エレベーターの扉とか、なんかカッコいいですね。
【石橋さん】はい。あくまでもフィクションですから、作品の世界観として、スタイリッシュな感じは出したいと思って。なので、本来ならパイプ椅子のところをオシャレなシルバーの椅子にしています。
【記者】言われてみれば、取調室の椅子もシルバーで黒革の背もたれがあって、オシャレでした!
【石橋さん】タブレットで入退室管理をするところも、ちょっと進んだ感じがしてオシャレかな、と思ってシーズン2から採用しています。
【記者】取調控室にあるキントリメンバーのデスクには、それぞれの個性がさり気なく出ていますね。有希子の席には、亡き夫・匡(眞島秀和)の写真があるし、菱本(でんでん)の机は…飴でいっぱいですね。
【石橋さん】パソコンやモニタ、机など備品にはすべて備品番号が入ったステッカーが貼ってあります。キントリメンバーが使っているスマートフォンにも貼ってあるんですよ。
【記者】過去に起きた事件の資料などもきちんとファイリングされているんですね。
【石橋さん】サーバールームは、1台だけ本物のサーバーが入っていて、ほかは写真パネルに電飾しています。サーバーから取り出した保存データを保管するハードケースはドラマオリジナルです。
【記者】有希子がいつも粋なタイトルを書いている…。このハードケースはどこに置いているんですか?
【石橋さん】終わった事件は、ほかの資料などと一緒に専用のダンボール箱に入れて保管倉庫に行くのではないでしょうか?
【記者】それって『未解決の女』のいる…!?
【石橋さん】そうかもしれませんね(笑)。
【記者】そういうつながりを考えるのも楽しいですね。ありがとうございました。
キントリ班の存在やストーリーはフィクションだが、美術スタッフさんの工夫や努力で、リアリティ(現実味)が生まれているのがよくわかった。そして、取調室では、ゲストキャストも含めて、俳優たちの芝居をセットの中のカメラ4台と撮影用のカメラが余すところなく撮っているからこそ、ほかの刑事ドラマにはない、一瞬たりとも目が離せない独特の緊迫感が生まれているのではないかと思った。
【記者】キャストが誰もいないからでしょうか、取調室やキントリメンバーのデスクが並ぶ控室は意外と広いですね。
【石橋さん】そうですね。私はシーズン2から携わっていますが、セットはシーズンごとに作り直しているので、変わっていないようで、よく見るとちょっとずつ違うところがあります。シーズンを重ねるごとに、カメラマンや照明さんなどが仕事しやすいように工夫と改善が加わっているんです。
【記者】そうだったんですか! 実際の警視庁にもこういう取調室があって参考にしているんですか?
【石橋さん】警視庁にあるかどうかは、わからないですし、あっても見せてもらえないと思います(笑)。このドラマの特別取調室は完全にフィクション、オリジナルデザインです。通常の取調室にカメラなどの機材を設置すると、それでなくても狭い空間がさらに狭くなってしまうということで、急きょ、地下1階の機械室を改装して特別取調室を作った…というバックストーリーがあるので、壁はコンクリート打ちっぱなし、電気系の配線もそのまま見せて、元機械室らしさをあえて出したセットになっています。天井の配線は、テレビ朝日の改修工事で撤去された配線をもらったものなんですよ。
【記者】カメラは何台設置されているのですか?
【石橋さん】天井に1台、机に1台、取調官側と容疑者側にそれぞれ1台ずつ、合計4台あります。カメラはすべて取調控室のモニタとつながっていて、実際に録音録画もしています。控室のモニタ画面はハメコミ合成だと思っている方もいらっしゃると思いますがリアルな映像を使っているところが『キントリ』の特徴です。さらに、取調室のカメラで撮った映像を本編で使うこともあります。この4台のカメラの配置が、容疑者の表情やしぐさ、取調官とのやりとりを捉える仕組みとしてベストなんじゃないかと、現在の配置に落ち着きました。
【記者】ひそかに実際の警察も参考にしているかもしれないですね。
【石橋さん】そういうことで、世の中の役に立てたらうれしいですね(笑)。取調室の4台のカメラの映像はセットの裏側にあるモニタともつながっていて、裏からコントロールすることもできるようになっています。磐城刑事部長(大倉孝二)がデスクで見ている四分割画面は4台のカメラで録画した映像を編集して作っています。
■『キントリ』らしいスタイリッシュさを出す工夫
【記者】シーズン3から新たに加わった第2取調室は?
【石橋さん】台本上、第2取調室が必要になって、機械室前の搬入エレベーターホールを改造して取調室にした、ということにして、急ごしらえ感を出しました。エレベーターホールなので、AED(自動体外式除細動器)がそのままあったりして(笑)。
【記者】第2取調室は録音録画設備のない、オーソドックスな取調室なのかもしれないですが、エレベーターの扉とか、なんかカッコいいですね。
【石橋さん】はい。あくまでもフィクションですから、作品の世界観として、スタイリッシュな感じは出したいと思って。なので、本来ならパイプ椅子のところをオシャレなシルバーの椅子にしています。
【記者】言われてみれば、取調室の椅子もシルバーで黒革の背もたれがあって、オシャレでした!
【石橋さん】タブレットで入退室管理をするところも、ちょっと進んだ感じがしてオシャレかな、と思ってシーズン2から採用しています。
【記者】取調控室にあるキントリメンバーのデスクには、それぞれの個性がさり気なく出ていますね。有希子の席には、亡き夫・匡(眞島秀和)の写真があるし、菱本(でんでん)の机は…飴でいっぱいですね。
【石橋さん】パソコンやモニタ、机など備品にはすべて備品番号が入ったステッカーが貼ってあります。キントリメンバーが使っているスマートフォンにも貼ってあるんですよ。
【記者】過去に起きた事件の資料などもきちんとファイリングされているんですね。
【石橋さん】サーバールームは、1台だけ本物のサーバーが入っていて、ほかは写真パネルに電飾しています。サーバーから取り出した保存データを保管するハードケースはドラマオリジナルです。
【記者】有希子がいつも粋なタイトルを書いている…。このハードケースはどこに置いているんですか?
【石橋さん】終わった事件は、ほかの資料などと一緒に専用のダンボール箱に入れて保管倉庫に行くのではないでしょうか?
【記者】それって『未解決の女』のいる…!?
【石橋さん】そうかもしれませんね(笑)。
【記者】そういうつながりを考えるのも楽しいですね。ありがとうございました。
キントリ班の存在やストーリーはフィクションだが、美術スタッフさんの工夫や努力で、リアリティ(現実味)が生まれているのがよくわかった。そして、取調室では、ゲストキャストも含めて、俳優たちの芝居をセットの中のカメラ4台と撮影用のカメラが余すところなく撮っているからこそ、ほかの刑事ドラマにはない、一瞬たりとも目が離せない独特の緊迫感が生まれているのではないかと思った。
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2019/06/05